巨大な女神様に逢いに行こう。「神酩の宴」潜入レポート。榎宮祐先生の書き下ろしストーリーをメタカル限定公開!

Club Sara’sBuddy、Do Now、逢曲時など、数え切れないほどの店舗型イベントを企画しているSara azuraさんが率いるCSBグループをご存知でしょうか。

saraさんは商業漫画家や有名ラノベ作家などの協力を得て、常に新しいイベントを考案しており、イベントは日々満員の人気ぶりです。

今回ご紹介するイベント「神酩の宴(しんめいのうたげ)」は、昨年秋頃からClub Sara’sBuddyの企画で不定期に開催されるようになりました。

このイベントの世界観設定・考案者は、「ノーゲーム・ノーライフ」などで知られるイラストレーター・漫画家・ライトノベル作家の榎宮祐先生です。

特別に、榎宮祐先生のイベント書き下ろしストーリーと合わせて、イベントレポートを公開させていただきます!

筆者は実際にイベントにご招待いただき、体験してまいりましたので、ぜひご覧ください。

夜の渋谷で待ち受ける、巨大な女神様

イベント会場に入ると、まるで時間が止まったような渋谷の街が広がります。案内役の方に誘導され、他のお客様と一緒に待っていると、数十メートルもある女神様がやってきて挨拶をしてくれます。

イベントの内容を簡単に説明すると、参加者は女神様にひょいと持ち上げられ、ビルの上にある指定の会話場所に連れて行かれます。

女神様たちと1対1で語り合い、それぞれの得意分野で参加者が神様に相談したり、アドバイスをもらったりなど、さまざまなお話をすることができます。

時間になると、新たな女神様が交代で参加者の元へやってきます。

筆者も女神様にひょいと持ち上げられましたが、これがまた今までに体験したことのないような不思議な感覚でした。VR酔いしやすい方は少し注意が必要かもしれません。

たとえビルから落ちても、女神様の指につかまって持ち上げてもらうことができます。話によると、女神様によじ登ることもできるとか……!

神様たちも、落ちぶれたような、いわゆる「みそっかす」の神様たちで、様々な種類がいます。筆者がヤンデレの神様と会ったときには、どうしていいかわからずドキドキしてしまいました。

榎宮祐先生 書き下ろしミニストーリー「神酩の宴」

――疲れた。

 雑踏喧しい、夜の渋谷駅改札を通る者が例外なく思っているだろう内心を、溜息と共に小さく零す。

 今日も残業して、仕事を終えて、僅かな睡眠時間を得るため満員電車に揺られるべく改札にSuicaをかざす。

 形ばかりのタイムカードを切らされる心境で改札を通る――毎日の繰り返しが、だが今日は少し違った。

 改札は開かず、代わりに目眩に襲われた。

 ――いよいよ疲れ過ぎたのだろうか。

 先程まで聞こえていた雑踏は静まりかえり、静寂に包まれたモノクロの渋谷駅に立ち尽くしていた。

 人の気配も色も消えた、あり得ない景色の中、背後から響いた声に肩を跳ね上げた。

『やれやれ……今宵も人の子が迷い込みましたか』

 ――それは、人魂? のような何かだった。

 表情どころか顔さえもない。だが明らかに困った様子で人魂は続ける。

『失礼。〝彼女達〟が一処に集まるものですから、どうしても空間が不安定になりまして』

 だが、人魂はこちらの顔を覗き込んで、どこか優しげに告げる。

『しかし、あなたも随分お疲れの御様子。いかがでしょう。〝彼女ら〟に少しお付き合い頂くというのは』

 そう言って歩き出した――訂正。漂い出した人魂を、追うように慌てて駅構外へ引き返す。

 そこはやはり人一人いない、静寂に包まれた無人モノクロの渋谷駅前の光景が広がっていた。

 だが、構うことなく進み続ける人魂が続けた言葉と、

 

『彼女達も、飲んだくれの神格底辺とて、腐っても〝神〟ですので。〝お憑かれ〟を払えるかもしれませんよ』

 そして――数十メートルはあるだろうか。

 ビルの合間からひょこっと顔を出した巨大な美少女に、ついに言葉を失った。

「――ごきげんよう人の子♪ ようこそ神々の路上飲み――もとい『神酩の宴』へ♪」


ほろ酔い気分で、神様たちの秘密の飲み会に参加してみてはいかがでしょうか。

●参考リンク
Club Sara’sBuddy 公式X(旧Twitter)