pixivが提案した創作コンテンツの未来とは?「VRChatとユーザー創作コンテンツ」講演をきいて

12月17日に、東京・秋葉原でVRChatの公式オフラインビジネスイベント「VRChat Japan Business Experience 2025」(主催:VRChat Inc.、企画・運営:株式会社V、GMOペパボ株式会社)が開催されました。

VRChatを取り巻くビジネスの最新動向や、今後の展望などを知ることのできるカンファレンスとして、大盛況のうちに幕を閉じたのは記憶にあたらしいところだと思います。今回のイベントでは、さまざまな企業が多様なテーマで講演をされていますが、その中でピクシブ株式会社(以下・pixiv)に焦点をあてていきます。

これまでBOOTHなどでVRChatと深い関わりを持ってきた同社。クリエイターたちが創作活動を続けていく上で重要な存在となっているいま、今後の展望や未来について推測していきます。

テーマは「もっと創作活動を楽しく」

今回の「Japan Business Experience 2025」(以下、JBE2025)で講演をされたのは、pixivのCPO・清水智雄(しみずのりお)さんです。これまでBOOTHやVRoidなどの新規事業の立ち上げを担当されました。

「VRChatとユーザー創作コンテンツ」というタイトルで始まった講演。広いステージへ大勢の人がスライドを注視しています。

みなさんもご存知の通り、クリエイターが販売している作品やグッズを購入することができる、創作物の総合マーケットプレイスとしてその地位を確実のものとしている感のあるBOOTH。
現在でこそ、VRChat内でもアバターやアイテムを購入することができるようになりましたが、それまではアバター・衣装や小物類を購入するには、ほぼBOOTHでしか購入することができませんでした。

2022年にはVRChat社との提携により、対応アイテムに公式タグがつけられるようになっていき、検索の利便性がよくなるなど、徐々に関係を深めていきます。

そうして次にVRChat内にBOOTHの名をつけたワールドを次々と発表。アイテムをVR内から見られるなど工夫をこらした計3つのワールドに訪れたユーザーは、合計250万Visitsを達成するなど、非常に注目を浴びました。

現在BOOTHではVRChat関連のアイテムだけで15000点以上揃い、そして2024年には3Dアイテムの取扱高が約58億円と推移するまでに市場が成熟していきます。

創作活動をもっとたのしく、そして創作活動で食べていけるようにする。
そんなテーマを掲げるpixivが、次に取る一手とは……?

新アプリ『BOOTH Library Manager』を発表。さらなる利便性を高められるか

今回の講演で、pixivは「BOOTH Library Manager」というツールを新規開発していることを発表しました。これはBOOTHからダウンロードしたファイルを効率的に整理・管理できるアプリです。ここから清水さんのお話は、アプリの機能説明へ移っていきました。

BOOTHで購入したアイテムをアプリ内にスムーズに取り込んでくれるインポート機能、カテゴリやタグなどで検索し、ソートができるフィルタ・ソート機能、自分の好みな条件で分類・管理ができるスマートリスト機能、画像・音楽・3Dモデル(FBX)をアプリ上でプレビューをすることができるプレビュー機能などがありました。

さらに更新通知機能なども盛り込まれているそうで、これまで購入したアイテムの整理が大変な方には非常に便利なアプリになりそうな印象をうけました。
そしてこの『BOOTH Library Manager』は、12月24日から公式Discordサーバーを通じ、先行体験が開始されています。
詳細についてはBOOTH内で案内が掲示されているのでごらんください。

そしてもっと積極的な関わりへ。BOOTHが初のオンラインイベントを開催!「BOOTH Festival VRChat Edition」

VRChat対応のアイテム販売からはじまり、ワールドの制作・公開などを通じてVRChatに関わってきたPixivですが、とうとう主催としてイベント開催をすることを発表しました。

その名も、「BOOTH Festival VRChat Edition」。

WebとVRChatが連動しているのが特徴で、BOOTH上でのWeb会場と、VRChat内での即売会を両方楽しめるイベントだそうです。

まずPV動画がはじまり、ふたりの参加者がVRChat内の会場を探索する様子が映ります。
その中で開催期間もすでに決定しており、2026年1月16日から1月25日までを予定していることが語られます。

3Dモデルを中心にしたVRChatに関連するアイテムを、BOOTHにて頒布されているユーザーであれば出展可能。出展エントリーはBOOTH内の特設サイトにておこなわれ、申し込みが終了するとWeb会場で閲覧・購入ができるようになります。

VRChat会場ではWebで出展登録がされたアイテムの中から抽選をされた上でアイテムが展示され、探索しつつ買い物を楽しむことができるでしょう。

カートにいれられたアイテムはカバンに袋詰めができるギミックがある様子が映像として流れます。細かい工夫や便利なギミックが他にも用意されそうな雰囲気で話されていました。
今後の情報や詳細は特設サイトにて更新されるとのこと。エントリーもそこからできるようです。

まとめ

VRChat社の基調講演のなかで、日本で創作活動をするクリエイター数が他の国々のそれよりも一番多いと話されていることから、当然Pixivもその事実を無視できるはずはなく、おそらく今回の展開に至ったのではないかと思われます。
果たしてこれがVRChatにとって新たなカンフル剤になるかどうかはまだ未知数ではありますが、とにかく高い期待を持たれているのは確かではないでしょうか。

創作活動をするクリエイターたちを応援したいという気持ちが強く伝わる、そんな講演でした。