ここ数か月で、急激な盛り上がりを見せているVRChat。有名配信者の参入や、関連する動画がバズったことも影響して新規ユーザーがどんどん増えており、VRChatそのものの知名度が上昇中。いわば「バブル」のような状況になっています。
そんな中で「自分も始めてみようかな」と思いWebサイトを開いてみても、英語や知らない単語ばかりで諦めてしまった……という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで本記事では、VRChatのアカウント作成方法からできる環境、基本操作までを徹底解説!
現実世界ではできないような体験が、VRChatの世界にはたくさんあります。初めは難しく感じるかもしれませんが、ここで諦めず、新しい世界に飛び込んでみましょう!
VRChatの基礎知識
「メタバース」と聞くと、話題になったのは最近だと感じる方も多いでしょう。しかし意外にも歴史は長く、VRChatの早期アクセスが始まったのは2017年。約7年の期間をかけて多くのアップデートを重ね、今の形になりました。
VRChatでは友達を作って遊ぶのはもちろん、ワールドを作成したり、アバターをカスタムしたり、好きなコミュニティに所属したり、多様な活動ができます。
遊び方は無限大ですが、その入り口に立つための基本的な情報をご紹介します。
ユーザーの活動が積極的
VRChatの基本的な楽しみ方は、人と交流すること。仲良くなったフレンドと雑談したり、一緒にワールドを巡ったり、もっとも想像しやすい遊び方でしょう。
しかし、それだけではありません。VRChatではユーザーの活動が積極的におこなわれており、さまざまなコミュニティやイベントが開かれています。ユーザー発のイベントにはかなり人気の高いものも多く、VRChatの世界を楽しむには欠かせない要素です。
ほんの一部ですが、VRChatで開催されているイベントをご紹介します。
「トークを楽しみたい!」という方におすすめなのが接客系イベント。メイドカフェやホストクラブなど色々な形態のイベントがあるため、まずは興味があるものを探してみましょう。
「トークよりも見ることに集中したい!」という方にはライブやステージを楽しめるイベントがおすすめ。VRChatで活動しているミュージシャンも多く、VRならではの演出にも注目です。
今配信や動画で話題になっている
前述のように、最近では有名配信者がVRChatで活動する場面も目立っています。
Twichをメインに活動するスタンミや、YouTuberグループ「2BRO.」の弟者がVRChatでコラボしたのも記憶に新しいでしょう。
スタンミがYouTubeに投稿した動画の数々は、約2か月で再生数100万回を優に超え、広く話題になっている様子がうかがえます。VRChatは、今や一般的な存在になりつつあるのかもしれません。
企業の参入もいくつかある
VRChatでは、企業によるイベントも多く開催されています。代表的な例として、バーチャルマーケットやサンリオVFes、META=KNOTなどが挙げられます。
バーチャルマーケット(Vket)はメタバース上で3Dアイテム・リアル商品の売買ができる世界最大のVRイベントで、その来場者数はギネス記録に認定されています。年2回開催されており、会場を見る側としても、出展する側としても楽しめるでしょう。
株式会社サンリオが主催するサンリオVFesでは、キティちゃんなどのサンリオキャラクターに会えるだけでなく、さまざまなライブパフォーマンスを開催。パレードやステージなどの多くは無料で楽しめるため、初心者にもおすすめです。
META=KNOTは、2020年に惜しまれつつ閉館となったライブハウス「マイナビBLITZ赤坂」をVRChatに再現したイベント。
今年の春に4日間に渡って開催された「META=KNOT 2024 in AKASAKA BLITZ」では、総勢16名のバーチャルアーティストが出演し話題を呼びました。
VRChatの出来る環境を学ぼう
現在、VRChatをプレイする方法は大きく分けて4通りです。
環境によって行けるワールド・見えるアバターに差があるため、どんな遊び方をしたいかによって、どの機材を購入するか選ぶと良いでしょう。
デスクトップ
「VR」と名前につきますが必ずしもVR機器は必要ではなく、デスクトップ単体でもプレイは可能。すでにVRChatの最低要件を満たしたゲーミングPCを所有している方であれば、マイク・イヤホンを繋ぐだけで始められます。
デスクトップ単体の場合ワールド・アバターに制限はありませんが、VR上で体を自由に動かせないため、デメリットに感じる方もいらっしゃるかもしれません。
パソコンをこれから購入する方は、必要スペックを確認してから購入しましょう。
下記が公式が発表している最低要件です。
ただ、人が集まるイベントや豪華な演出のあるワールドなどでは、最低要件を満たしていても十分に稼働しない可能性も考えられます。
- OS: Windows 10/11
- プロセッサー: Intel® i5-4590 / AMD FX 8350 equivalent or greater
- メモリー: 4GB RAM
- グラフィック: NVIDIA GeForce® GTX 970 / AMD Radeon™ R9 290 equivalent or greater
- ストレージ: 1GB の空き容量
HMD単体
パソコンを所有していない場合、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)単体でもプレイが可能です。HMD単体でのプレイには一部制限があり、クロスプラットフォームに対応しているワールド・アバターのみ使用できます。
クロスプラットフォームに対応していないワールドやイベントに行けないデメリットはありますが、パソコンを購入するより安価でVRの体験ができるため、価格を抑えたい方にはおすすめです。
VRデバイスには単体でプレイできるもの(スタンドアローン型)と、パソコンへの接続を前提としたもの(PCVR)の2種類があります。単体でプレイする場合には、Meta QuestシリーズやPicoシリーズなどのスタンドアローン型を選びましょう。
PCVR
前述したHMD単体とは異なり、VRデバイスをパソコンに接続してプレイする方法です。この方法は、デスクトップとHMDの長所だけを組み合わせているのが特徴で、ワールド・アバターに制限はなく、VR体験との両立が可能になります。
VRデバイスがなくても遊べるVRChatですが、やはり、ヘッドセットを装着して実際にワールドにいるような感覚を味わっていただきたいところ。
ただ、VRの描画には高性能のビデオメモリが必要で、要求されるパソコンのスペックも高くなります。パソコンも、それなりのものを用意する必要がある点を頭に入れておきましょう。
パソコン選びに迷った際はこちらの記事もご参照ください!
また、パソコンへの接続を前提とすると、選べるヘッドセットの幅も大きく広がります。
先ほどご紹介したMeta Questシリーズ・Picoシリーズは単体だけでなく、PCVRとしても使用ができます。
トラッカー性能の高いVIVEシリーズや、ハイエンドHMDのVALVE INDEXなど、機材にとことんこだわるのも可能です。ヘッドセットに加えて、フルトラ用の機材を揃えても良いでしょう。
ほかにもPCVRで使用できる便利なソフトも数多く存在します。
アバターの高さを調整できるOVR (OVR Advanced Settings)や、VR上にパソコンの画面を映し出すVirtual Desktopはその代表例で、実際に使用している方も多くいらっしゃるでしょう。
スマートフォン
2023年8月から、VRChatのスマートフォン対応が始まりました。。当初はVRChat Plus(サブスクリプション)の加入者限定でしたが、現在では、対応機種を所有していれば誰でもモバイル版VRChatのプレイが可能です。
制限はHMD単体と同様で、クロスプラットフォームに対応しているワールド・アバターのみが使用できますが、アバターランクがVeryPoorの場合は表示されないので注意しましょう。
ただ、9月現在で対応しているのはAndroid版のみ。iOS版はクローズドベータテスト中で、実装されるのはまだ先のようです。
開発中のベータ版製品を調整するにあたり、限られた特定の団体やユーザーに試用してもらうこと。これに対し、参加者を限定せず、誰でも試用できるテストをオープンベータテストと呼びます。
アカウントを作ろう
では、実際にVRChatのアカウント作成の手順をご紹介します。
VRChatのアカウント作成
まず、下記Webサイトにアクセスし、「Creat an account」を選択します。すでにアカウントをお持ちの方は、メールアドレス・パスワードを入力してログインしましょう。
次の画面に進んだら、Display Name(表示名)にアカウント名を、メールアドレス・パスワード・生年月日をそれぞれ入力します。アカウント作成後、表示名は90日間に1度だけ変更が可能です。
情報を入力して「Create Account」をクリックすると、入力したアドレスへメールが届くので、記載されたURLをクリックしたら完了です!
Webサイトではワールドやフレンドの検索や、アップロードしたワールド・アバターの確認ができます。とくに、慣れない状態でヘッドセットを被ってワールドを検索するのは手間がかかるため、あらかじめWebサイトでお気に入りに追加しておくと便利です。
HMD単体でプレイする場合でも、Webサイトからアカウントを作成しておくとVRでの操作が少なくおすすめです。
Steamのアカウント作成
デスクトップ・PCVRでプレイする場合はSteamアカウントの作成も必要です。
Steamアカウントの作成方法は2ステップ。下記のURLでメールアドレスの入力をしたら、届いたメールを確認し、ユーザー名・パスワードを設定しましょう。
アカウントの作成ができたらSteamからVRChatをダウンロードし、次はいよいよVRChatを起動します。
Meta Questシリーズの場合は、下記のURLか、ヘッドセットを被った状態でストアからインストールしましょう。
VRChatにログインしてみよう
VRChatを起動したら、まずはログインをおこないます。
最初の画面でログイン方法を尋ねられるため、「VRChat」を選択しましょう。Steamアカウントでもログイン自体は可能ですが、アバターのアップロードができないなどの制限があるため注意が必要です。
ログイン後、確認のメールが届くのでワンタイムコードを入力。ログインに成功すると、ホームワールドのロードが始まります。
これでアカウント作成・ログインは完了です。お疲れ様でした!
基本操作を確認しよう
VRChatにログインしたら、まずはホームを歩いてみましょう。
デスクトップではWASDで、VRの場合はスティックを倒すと移動ができます。
次に、パソコンではEscapeキー、Meta Questの場合はBかYボタンを押してLaunch Padを開きましょう。Launch Padはメニュー画面で、設定やワールド移動、フレンド追加などの操作はすべてここでおこないます。
ワールドを移動するには、メニュー画面を開いて「ワールド」を選択。
続いて左上の「ワールドを検索」を押して、まずはチュートリアルワールドに移動してみましょう。
最初のチュートリアルとチュートリアルワールド
先ほど開いた「ワールドを検索」に、「jp」と入力します。
トップに出てきた[JP]Tutorial worldを選択し、「入る」を押すとワールドの移動ができます。
チュートリアルワールドには、有志で初心者の案内をしている方がいる場合があります。声をかけられたら、コミュニケーションを取りながら案内をしてもらうのも良いでしょう。
下記は始めたばかりの方におすすめなチュートリアルワールドです。どちらもクロスプラットフォームに対応しているため、どの環境からでもアクセス可能です。
①[JP]Tutorial world
チュートリアルの定番ワールド。
②VRC-JP 初心者プラザ [JP]
必要な情報がスッキリとまとまったチュートリアルワールド。アバターの試着もできます。
VRChat自体には、初心者向けのチュートリアルはありません。しかし、上記のように有志の方が作成してくれているチュートリアルワールドがいくつか存在します。
初心者が覚えておくべきさまざまな情報を得られるため、まずはチュートリアルワールドを訪れてみましょう。
VRChatHomeの使い方
ログインした後に自動で飛ばされるワールドをホームといい、ここでは誰かを招待しない限り自分だけの空間です。操作の確認をしたり、移動に慣れたり、ひとりで作業するのに使っても良いでしょう。
また、ホームの中央にある鏡の横には、パブリック(無料)で使えるアバターが用意されています。初期のロボットから、気に入ったアバターに着替えてみても良いですね!
デフォルトのホームは公式が用意したワールドに設定されていますが、実は自由に変更ができます。設定方法はとても簡単で、ホームにしたいワールドを開き「ホームに設定」を押すだけ。
お気に入りのワールドが見つかったら変更してみましょう。
VRChatでできること
VRChatでは、「なんでもできる」と言っても過言ではないかもしれません。
ご紹介したようなイベントに参加したり、ワールドを回ったり、フレンドとおしゃべりをして楽しんだりはもちろん、世界を自分で創造することもできます。
ワールドやアバターを制作したり、コミュニティをつくったり、イベントを自分で企画しても良いですね。まずはVRChatの世界に慣れ、やりたいと思う何かを見つけてみましょう!
ここでは、初心者におすすめの遊び方をご紹介します。
ワールド巡り
初心者におすすめの遊び方のひとつがワールド巡り。VRChatには数え切れないほどのワールドが存在しますが、謎解きや探索系、ゲーム系、パーティクルライブ系、ホラー系などの大まかなジャンルに区分できます。
「まだフレンドもいないし、どこに行けばいいか分からない……」という方は、こちらの記事にまとめたワールドを巡ってみてはいかがでしょうか? 人との交流だけでなく、VRChatはひとりでも楽しめる要素がたくさんあります。
スタンミや弟者を見てVRChatにやって来た方には、配信・動画で登場したワールドがおすすめ。画面を眺めるのも良いですが、実際に自分の目で見るとまた新たな発見や体験ができるはずです。
イベント参加
VRChatでは、定期的に初心者向けのイベントも開催されています。
同じ時期に始めた方とフレンドになったり、ベテランの方が参加していれば、役立つ情報やおすすめのワールドなどを聞いても良いでしょう。
①Quest駆け出し集会 毎週火曜日 21~22:00
②水曜Quest初心者の集い 毎週水曜日 21~22:00
③VRC初心者ワールドツアー 毎週木曜日 21~21:55
ご紹介した以外にも、日々多くのイベントが開催されています。
イベントを探すには、有志の方が作成したイベントカレンダー(https://vrceve.com/)が便利です。気になるイベントを見つけたら詳細を確認してみましょう。
詳しい使い方はこちらの記事をご覧ください!
アバター周り
VRChatのユーザーランクがVisitorからNewUserにアップすると、Unityを使ってアバターのアップロードが可能になります。
アバターの多くはBOOTH(BOOTH – 創作物の総合マーケット)で販売されています。
9月現在、BOOTHにVRChat対応の3Dキャラクターとして販売されているアバター数は、約8000体。かわいい女の子からカッコイイ男性、不思議な生物まで、豊富なラインナップからきっとお気に入りのアバターが見つかるはずです。
また、購入したものをそのまま使うのではなく、衣装を変えたり、自分好みにカスタムしたり、見た目を変える「改変」はVRChatの楽しみ方のひとつです。
とはいえ、始めたばかりでは何をどのようにすれば良いか分からない方も多いでしょう。そこで、まずはBOOTHで配布されている無料アバターを使ってみるのもおすすめです。
メタカル最前線で調べて、VRChatの世界へ飛び込もう!
ご紹介したように、VRChatの始め方といっても実に多くの要素を含んでいます。そのため、実際に始めてみると別の疑問や悩みが出てくる方も多いでしょう。
メタカル最前線では、VRChatを始めたばかりの方はもちろん、慣れてきた方も楽しめる記事や、疑問を解決する記事をお届けしています。
ぜひ、VRChatの世界を楽しむ旅のお供にしていただけたら幸いです。
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パソコン・HMD単体・スマートフォンなど、異なるプラットフォームで同じ動作をすること。スマートフォンの対応が始まる以前は「Quest対応」と表記していましたが、「クロスプラットフォーム対応」と差す内容は変わりません。
ワールドやアバターのサムネイル右上に、青・緑どちらの色も表示されているものがクロスプラットフォームに対応しています。