月灯りの霧の向こうへ、ショタホストクラブ『Campanella』で銀河鉄道の旅に行こう

皆さんは、星空に思いを馳せて色々考えた事や、はたまた銀河に鉄道が走っているという話を聞いたことがあったりするでしょうか。

この書き出しで、もしかしたら宮沢賢治の小説である『銀河鉄道の夜』を思い出した方もいるかもしれません、そんな『銀河鉄道の夜』をモチーフにしたイベント、ショタホストクラブ『Campanella』というイベントについて今回はご紹介します。

ショタホストクラブ『Campanella』は、VRChatから行くことの出来る世界観や、雰囲気がとても凝ったイベントになります。

Campanellaはまず、X(旧Twitter)から定期的にお知らせされる、次回の銀河鉄道の旅に予約する必要があります。 フォーラムから予約し、もし当選することができれば、銀河鉄道の旅に行くことができます。当選した場合は同伴の方を1人呼ぶことができるため、連れていきたい人がいる場合は、当選後に届くDMで同伴者のVRChatのIDもお伝えしておきましょう。

さて今回メタカル最前線では、そんな銀河の旅行にやってきた記者『ふれあ。』のお話をお送りいたします。

『僕は遠くの遠くの空の向うに行ってしまおう』

「あなたは、もう露の降りかかった小さな林のこみちを、どんどんのぼって行きました。 まっくらな草や、いろいろな形に見えるやぶのしげみの間を、その小さなみちが、一すじ白く星あかりに照らし出されてあったのです。」 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』より

針が10を冷たく刺す頃、銀河鉄道への案内が私に届いた。 銀河鉄道の旅に行くのは、二回目になる。「カムパネルラ」への旅を待ち望んで何時かもう一度少年たちに会えればと手紙を書いた。 そして運良く星の巡り合いで、わざわざ取材のために通常とは違う準備を用意してもらうことが出来て、行くことになるのだから、新人記者としても嬉しい限りだ。

手紙を受け取ると、前来た「ノーザンクロス」に辿り着いた。 いつもは人が沢山いるノーザンクロスも今日は私とボーイしか居なかった。 そこに立っていたボーイに名前を尋ねてみると彼はジョウヤと名乗った。 高い背丈と、優しげな雰囲気の男性で、この世界の案内をしてくれる、何時もこの坂を上がった駅舎から「ノーザンクロス発カムパネルラ行き」の汽車が出ることや、今日少年達はふらっと遊びに来てくれていることとか、そんな話を彼はしてくれた。

坂を上がれば駅舎につく、駅舎は綺麗に彩られていてここから切符を貰うことになる。バンカと呼ばれた青年は、慣れた手つきで切符を発行していく。私の名前が刻まれたキラキラと輝く切符は、銀河鉄道への旅を祝福しているようにも見えた。

駅舎からカムパネルラへの電車が出るまでには、まだ少し時間がある。 いつもは少年達について書かれているこの場所も、今日はお休みなようで見ることは出来ない。 もし私の短い冒険譚を見て来る人がいるなら、きっと少年についてここで理解を深めることが出来るだろう。

待っていると銀河鉄道が空中の線路を通り、蒸気を上げこのノーザンクロスにやってきた。長く走り続けているこの電車は、この場所と少年たちの居るカムパネルラを繋ぎつづけてきた。 ボーイの「右から乗ると移動中にカムパネルラを見ることが出来る」という案内に従い列車の先頭の右側に乗る。

鉄道の中のモニターには「かっこいい大人になりたい」と言っている少年の顔が映し出されていた。 モニターに映る自己紹介する様々な少年は、可愛らしくもかっこよくもあり、どこか素直な夢を追いかけている。そんな少年らしい姿を眺めていると、蒸気の音とともに、列車が揺れるのを感じる。

駅舎がどんどんと離れていく、宇宙空間の中を走る電車は小刻みな揺れと、大きな揺れを繰り返しながら、旅を続けていく……

消灯。

就寝していた事に気づき、焦りながらも目を開く、果たしてもうどこまで来たのだろうか、周りの色は別の宇宙の色に変化しており、Campanellaまでの道のりももう短い距離になっている。

そして見えてきたCampanellaの屋敷は、荘厳でけれど温かみのある光を放っていた。気づけば此処まで来てしまったのだと思いながら、到着を待つ。

到着した駅は、冷たい青と黒で作られている綺麗な駅だ。いつもは電車から降りてくる客と、ボーイでいっぱいになる駅も、今夜は客が一人と、数人のボーイが居ないからか何時もより寂しがっているかもしれない。けれど今日も階段は希望で灯されており、少年と、私を繋げる架け橋になっている。 

ボーイの話を聞き、階段を上がれば受付にたどり着く、何時も大盛況になる此処も、一人だけだと少し寂しく見えるかもしれない。 白い原稿用紙のような窓から覗き込む青色の夜光も今日は独り占めになっている。

そして、案内があり、どうやら準備が出来たようだ。 青色の光が漏れ出す道を、ただ一人で歩き出す。

歩いていき目を開けば、青色の学校、銀河を眺めるための望遠鏡が置かれた空間は誰かの思い出を映し出している。少し眺めた後に、あの星に従って歩いていく。

そして気づけば屋台の置かれた、祭りの地。

どこか温かい思い出は、誰かが描いた世界を映し出しているが、導かれるように僕はあの黒い丘へと歩き出す。まるで誰かを追いかけるように、銀河鉄道のやってくる黒い丘へと一歩一歩足を踏み進めていく。

黒い丘は、北の大熊星の下、遠く黒く広がる地上と空も一つになった空間だ。 

白い空の帯も、目の下の星の集まりは煙のように体を包みこんでいる。

僕は、ただ一人で銀河鉄道がたどり着くのを待ち続けるのだ。

…誰かの思い出が、頭の中を過るのを感じる。気づけば電車の中にいた。

そして僕を眺める少年が一人、彼に話しかけてみると、彼は「もうそろそろ席につくからね」と案内をしてくれた。

少し経ち、瞬きをしたその一瞬にこの宇宙の星を独り占めするような席へと気づけば辿り着いていた。 隣にはあの少年がいる。

少年に名前を尋ねてみると彼は「ミコト」と名乗った。

どこか暖かい雰囲気の彼に、此処に来た理由について訪ねてみると「お星さまがいっぱいみえる場所に気づいたら居て、ここどこだろうと探索してたらジョウヤに出会ったんだ」と言われた、彼曰くここに来るきっかけも覚えている少年と、覚えていない少年がいるらしい、謎は深まるばかりだが、この温かみのある場所について語る彼の姿は、とても楽しそうに見える。

 更に彼と、他の少年の関係性について聞いてみると、どうやらレオくんの事を弟のように思っているらしい。レオくんはいつも「お兄ちゃんみたいだ」と言い慕ってくれているとのことで、他の子達で兄っぽかったり、弟っぽい子はいるのか聞いてみると、少し悩んだうえで「ロードナイトはしっかりしているし、新しく来たレグルスくんも真面目でお兄ちゃんっぽい」と教えてくれた。

兄弟のような関係を語る彼に、とても微笑ましさを感じながら、ふと後ろを眺めてみると少年がぴょこぴょことこちらを眺めている。あの子は前に出会ったことがある「トワ」くんだ。 好きなものは星と本、メガネをかけた姿が特徴的な少年は、私に気づかれないようにするためか、目が合いそうになるたびに壁裏に隠れている。 

彼についてミコトくんに話を聞いてみると、何時も本の話をしたり、ここから見える星を一緒に眺めたりしているらしい。

そんな話を楽しく聞いていると、ボーイのジョウヤさんがやってくる、時計を見てみると思ったより時間が経ってしまっていた。 ミコトくんに感謝を伝え、中央のバーカウンターの方へと向かう、バーカウンターでは少年たちとボーイが気づけば沢山集まっていた。

目をキラキラと輝かせるトワくん、青色の髪が綺麗に輝くレグルスくん、そしてそれを眺めるロードナイトくん……

少し嫉妬しているような彼の声が、とても可愛く思えてしまった。 折角だから写真を撮ろうとすると後ろからミコトくんも入ってきた。 「後ろに居ること気づいてる?」「気づいてるよ」 という二人の会話は、微笑ましく温かみを感じる。

そんな彼らを眺めると、更に少年達がやってくる。

どうやら、一人でやってきた唯一の客である私に興味を持ってきたようだ。 王子様のようなノアールくん、綺麗な赤い目でこちらを眺めるロードナイトくん、そしてかわいい角が特徴的なマオくん……

私の事を眺める少年たちは、色々と聞きたいことがあるらしく、ついつい色々と話を聞いてみたくなってしまう。このまま時間を忘れて、ずっと話していたい気持ちもあるが、どうやらこの世界に長居すると何が起きるかわからないらしい。 悲しい思いを抱えながら、「Bar ノーザンクラウン」へと移動する。

Bar ノーザンクラウンは、このCampanellaにお客がやってくる時にボーイが裏営業として営業している場所だ。

Campanellaで働いているボーイもほとんどは、少年達の可愛さや格好良さに惹かれやってきた人たちだ。そんな彼らが、同じ少年達の魅力に惹かれたお客と話すために開かれた場所がここ、Bar ノーザンクラウンだと言う。

帰りの駅にも、少年たちが来てくれた。 駅には電車が止まっていたが、降りた時に電車が行ってしまう。 どうやらまだ、この屋敷は私の事を離してくれないようだ。

また時間がある、少年たちにお別れの挨拶をし、電車の到着を待っていると前からロードナイト君が歩いてきて兎のぬいぐるみを渡してくる。 同じ兎仲間のよしみとして、私に持っていってほしいとの事だ。 ありがたく受け取り、電車へと乗り込む。

鉄道の車窓から、こちらに手を振る彼らが映る。 また会えるのは何時になることだろうか。 この暖かい場所から離れたくない、そんな心とは裏腹に電車が走り出す。

ゆったりと走る電車と、どんどん離れていくCampanella。

寂しい思いもある。 それでもこの思いを、この文字を見た誰かが受け継いでくれればそれで構わない。

「どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行こう」

気づけば、駅へとたどり着いていた。

ずっと抱きかかえていた兎も、線のようになってしまっている。 あの屋敷から物を持ち帰ることは出来ない。 そっとベンチに兎を置いていく。 

物は持っていくことが出来ないが、思い出は何時までも心のなかに残り続ける。

駅から歩道橋を上り、出口へとたどり着く。 少年たちとボーイの名前が書かれたこの場所。 そしてSpecialThanksに映る「ふれあ。」の名前。この世界に自分もいれたことに喜びを思っているとポケットの中にある切符に気づく。

切符には紫のりんどうの花と、今日話を聞かせてくれたミコトくんのサインが映っていた。 明るく輝く切符が、あの世界が夢ではなく、現実であった事を教えてくれた。

まだ冬風の残る世界、此処から歩く道は一人きりだ。

あの明るい少年たちの声、温かい屋敷、銀河鉄道の蒸気。

それも、この場所にはない。

だから、この切符は、手放してはいけないだろう、少し冷たいこの世界で、灯火として僕のことを導き続けてくれるだろうから。

『さあ、切符をしっかり持っておいて、お前はもう夢の鉄道の中でなしに本当の世界の火やはげしい波の中を大股にまっすぐ歩いて行かなければならない。天の川の中でたった一つの本当のその切符を決しておまえはなくしてはいけない。』

宮沢賢治『銀河鉄道の夜』第3次稿より