影響を受けた作品
──周りの影響を受けている話が出ていると、唯野さんが授賞式のスピーチで話されていた、他の作品を見て差を痛感した内容は本当に切実だったと感じます。
唯野みき 完成してからのほうが色々あるなって驚きました。てっきり、完成したらそこで終わりだと思っていたのですが、公開した後の盛り上がりや見た人の感想、反応が得られると思いませんでした。
他の人の作品を見ると、「まだまだ突き詰めるんだ」と感じる余地を感じられて成長できるなと感じました。
──影響を受けたといくと、他の作品を見て印象的だったものは聞いてみたいですね。
唯野みき 『OUR TESTAMENT』ですね。最初の始まりがもうオシャレなんですけども、カメラが引いたときにどういった世界観が伝わってきて、そこから怒涛の展開なんですよね。
Luvdelic あのクオリティはコンテと音楽が大きいと思ってます。コンテだと「このシーンではこの意図が伝わればいい、こんなキャラクターで、こういう画が伝わればいい」って絶対に妥協できないラインをコンテで決めてくれるわけですね。だからこそ、撮影するとコンテで決めた以上になるわけです。
もう一つの音楽は、作品全体のテンポを決めてくれました。最初のジングルからドラムロールまでを駆け足で纏められましたし、映像も音楽に合わせてカットを載せると気持ちよく仕上がりました。
じぇーゆー 『連邦における旅路』がよかったです。元々動くものが好きで飛行機などの戦闘シーンとか大好きなんですけども、あの夕暮れの中を飛行機が発進する様や、橋が崩壊していくシーンは容赦なく映像の迫力で殴ってくるスタイルでめちゃくちゃ好きでした。VR映像作品ならではでした。
いすぷびたみん 僕はリーチャ隊長の『地下鉄にて』が良くって、監督やキャラクターの「生き様」が色濃く出ている作品が好きなんですよね。泥臭く見えるかもしれないですけども、僕の中ではすごくカッコいい姿を描いていて良かったと思いました。
──リーチャ隊長でいくと、『推し』で出ていたリーチャ隊長が衝撃的だったんですよね。自分の中で、『地下鉄にて』のような泥臭さはもちろん、普段現場で会うときも結構内気で腰の低い人な印象なんですよ。でも、『推し』に出ているリーチャ隊長は、そんなことを感じさせない外向的で衝撃的でしたね。
唯野みき 「チャラチャラした大学デビューした大学生なんです」ってリーチャ隊長に伝えたところ、リーチャ隊長なりに解釈してくれたキャラクターですね。

唯野みき 台本で考えていた声の演技とは違ったものを出してきたのですが、リーチャ隊長が「前後のシーンを考えて喋ってみました」と伝えられて変更することがありました。なので……リーチャ隊長は俳優でした。
主演のめどうさんと一緒に褒め合っていました。現場自体が褒め合いの雰囲気ではあったのですが。
──なんというか、VRChatの映像作品って特にロールプレイが基盤にある映像作品だと持ちキャラであることが多いので、当て書きだったり演じやすいパーソナリティが多いのかなといった印象だったのですが、その中でも本人のパーソナリティとは違ったものを物にしていたのは衝撃的でした。
唯野みき リーチャ隊長は叫び声が結構いいなって思って、セリフを書いたのもあるので本人に合わせていますね。

RGBこーぼー 正解でしたね。
唯野みき そのうえで肉付けしてくださったので完璧でした。
じぇーゆー 化学反応ですね。
唯野みき 相手が演技をメインで活動されているめどうさんだったのも、全員が気合入っていい感じになったのかなと思います。
──めどうさんもいい人ですよね。過去のVRCムービーアワードでも、一人芝居で演じ分けする作品で応募されていて地力ある方ですよ。
Luvdelic 自分はカキノキさんの『からっぽの記憶』ですね。ショートの3分尺でシナリオがよく出来ているんですよね。自分の作品だとスケジュールなどもありシナリオ面が詰められなかった部分ではあったので。「感じ取らせる上手さ」と、世界観、シナリオとしてバシッと短くまとまっているので光って見えました。
──カキノキさんは、その前にも出されていた『未然探偵』でも10分尺でフルに活かしきった作品を出していたので、尺のコントロールばっちりですよね。
じぇーゆー 今回10分でまとめようとしたのは、カキノキさんの存在が大きいですね。
──影響を受けている話でいくと、『EAT OR DEAD』のアクションは応募作品全体で見ても独特な印象だったのですが、どこから影響が来ているのでしょうか。
いすぷびたみん FPSのゲームでの戦闘なんですね。
──たしかに冒頭の戦闘シーンでは、主観のカットも降り混ざっていますね。

いすぷびたみん 色々抑えた結果ではあるですけどもね。ミリタリーやSci-Fi、ポストアポカリプスなどの要素も入っているのですが、そもそも被甲連合がFPSのゲーム好きの集まりが大きいです。
唯野みき ホラー全般いっぱいあるのですが、出来上がったものがテレビで放送されている再現VTRになりましたね。見た人から聞いたのですが、「あなたの映画は画角が正解だよ」と言われたんですよね。
シネスコサイズなど色々あるのですが、ホラー映画って上下の線がないんですよ。無意識で選んだものだったのですが、自然と自分にとって馴染のあるテレビのホラーになったのかなと思います。 一応見返した作品を具体的に挙げると、『リング』とか『呪怨』、『仄暗い水の底から』みたいなジャパニーズ・ホラーですね。
RGBこーぼー 色々作品はあったのですが、背中に押され漫画は『サイバネ飯』ですね。世界観や食事風景が描かれていて、「これを俺もやりてぇ」ってなって作る流れになりましたね。それに「VRChatに飯食っている映像もねぇし」って思ったのもあります。
いすぷびたみん 僕も食をテーマにしたのは同じ発想ですね。
RGBこーぼー 「どうやって美味しく見せるのか、腹減ったなと思わせればいいか」考えました。
Luvdelic 『コンスタンティン』は大きいですね。他に『レオン』や『HELLSING』などもあります。エクソシストものや宗教の要素が元々大好きで。それらに影響を受けて自分なりに世界観を出力したものが『Dust to dust』ですね。
──知っている人にとっては分かるよ……ってラインですね。
じぇーゆー 『ISLAND』の影響が大きいです。スターウォーズでお馴染みユアン・マクレガー主演の映画で、クローンに関する内容なんですね。「自分の殻を破って新しい未来に進んでいく」といったテーマは、自分がカメラマン以外にも挑戦するといった意味も込めて映画を作りました。
RGBこーぼー 『ISLAND』は世界の背景がしっかりしているので影響を受けますよね。
