みなさんは、特上あどれちゃんをご存知でしょうか? BOOTHショップ「Add+Re:collection」のオーナーと聞くと、ピンとくる人も多いでしょう。
衣装クリエイター、VRアイドルと幅広い活動を展開してきた特上あどれちゃんですが、なんと12月28日にVTuberデビュー!大きな晴れ舞台を記念して、今回メタカル最前線は、特上あどれちゃんに単独インタビューを実施。デビューまでの経緯や、これからの展望などをお伺いしたロングインタビューの模様をお届けします。
(インタビュー・執筆:柘榴石まおりん、編集・撮影:浅田カズラ)
VTuberにハマって、VTuberになろうと決意!
――まずは、なぜVTuberを始めようと決めたのか、理由を教えてください。
特上あどれちゃん いまさらながらですが、VTuberにハマったのがきっかけです。一番最初はホロライブの宝鐘マリンさんから入ったのですが、そこから切り抜きやコラボなどを見ていき、好きなVTuberさんが増えています。特に、さくらみこさんはずっと好きですね。
――ハマってからどのくらい経ちましたか?
特上あどれちゃん 今年の自分の生誕祭が終わったタイミングです。2月に「Cinderella Fes 2nd.」に出演した際、宝鐘マリンさんの『美少女無罪♡パイレーツ』を歌うと決めてから、3Dライブ映像を中心にホロライブの配信を見ていたのですが、5月ごろに「うわー!さくらみこちゃん可愛い!」と感じちゃって、そこから急ピッチで好きになっていきました。
――そこから、ご自身もVTuberになりたいと思ったのですか?
特上あどれちゃん その後、生誕祭も終わったタイミングで次にしたいことを考え始め、思いついたのはVTuber活動でした。そして、VTuberになるにはどうしたらいいだろうと、友達のVTuberで、衣装の3Dモデリングを担当したイバラ・デビルローズちゃんに相談したところ、「いまから準備したら年内にギリギリできるかどうかじゃない?」とアドバイスをもらいました。
――二人三脚で走る仲間がいるのですね!
特上あどれちゃん デビューまでの伴走をお願いしている形ですね!ショート動画の投稿の仕方など、アドバイザーのように支えてもらっています。
あどれちゃんの表現活動の原点
――あどれちゃんはこれまで、『VRChat』で衣装クリエイターやVRアイドルといった活動をされていました。それ以前には、どのような表現活動をされてきましたか?
特上あどれちゃん もともと地下アイドルや、ダンスや歌、あとは「ニコニコ生放送」など、様々なことをしてきました。多分、目立ちたがり屋なんだろうなと思います。
――ちなみに、いつごろから表現活動に目覚めたかおぼえていますか?
特上あどれちゃん あ、あどれはいま3さいなんですけど……(笑)遡ると幼稚園ぐらいのころから、親から与えられたマイパソコンで、ネットにはずっと触れていました。ブログを書いたり、ラジオをやっていたり、ネットを通した表現活動はずっと続けていますね!
――ものを作ることだけでなく、発信活動もお好きだったのですね。
特上あどれちゃん でも、実はお話しすること自体は苦手なんです。大勢の人と話すことも、このインタビューのように一対一で話すことも、あまり得意ではないです。どちらかと言えば文面でのやりとりが得意で、文章で届いたものに対して、言葉にして返すことがすごく楽しいですし、好きですね。ネット文化の中で生きてきた人間なので。
VTuberデビューは自尊心のためにも重要?
――「Add+Re:collection」オーナーに、VRアイドルと、様々な活動を展開してきたあどれちゃんですが、今回のVTuberデビューには戦略的な要素はありますか?
特上あどれちゃん 戦略的、あるいは希望的な考えによる展開かといえばそうでもなく、どちらかと言えば悲観的な考えが根っこにあります。衣装クリエイターとして活動してきたこの2年間は怒涛でした。クリエイターの数も増えて、クオリティもすごい上がりました。そして、ライバルも増えてきたことで、「Add+Re:collectionとしてこのままごはんを食べていけるのだろうか」と、ちょっと心配になったんですよね。
今後も衣装クリエイターとしてもがんばっていきたいので、2025年も「Add+Re:collection」からお洋服は出していくつもりですが、もうひとつ、お金というより自尊心が保たれる活動がもう一個あると嬉しいなって思ったんです。
――「自尊心を保つためにVTuberを始める」は、ユニークな理由です。あどれちゃんが自尊心を大事にしようと思うのはなぜですか?
特上あどれちゃん ぼくが楽観主義なのが大きいですね。アンチがいたとしても気にならないんですが、賞賛の声は100倍になって聞こえるんですよ。「自分には誰か一人でもぼくのことを応援してくれる人がいるんだ!」と思いたいのが、自尊心を大事にしてる理由かなと思います。
あと、評価自体がすごい嬉しいんですよね。ぼくにとって、自尊心は自分が作り上げるものじゃなくて、人からもらって満たされるものなんです。だから数字として見えるものが好きなんですよ。この世にいる存在意義を、誰かに見出してもらう方が嬉しいです。
――では、VTuberとしてデビューしてから、どのようなことをやりたいですか?
特上あどれちゃん やはりアイドルに重きを置きたいので、歌枠配信や、3Dで踊れる環境が自宅にあるので、踊ってみた動画や「踊り枠」をやってみたいですね。VTuberって、意外と踊る生配信ってないじゃないですか。あってもいいのに!と思うので、そうした活動をやりたいなと思います!
――ようこそ、ダンサーVTuberの世界へ!
特上あどれちゃん まおりん先生のダンス教室行かなきゃ!まだまだ体が固いし!
――ダンスはもともと経験があったのですか?
特上あどれちゃん ヒップホップを習っていた経験はあります。1年もしないうちにやめちゃったので、ちゃんと習いましたと言えるほどではないんですけど。
――地下アイドルをされていたときの経験は、現在の活動に応用されているのでしょうか?
特上あどれちゃん VRでのパフォーマンスは、トラッカーの動きの解像度も含め、どう動かしたらどう動くのか、どうしてもリアルとは勝手が違います。その意味で、パフォーマンス面ではこれまで培ってきたものが活きているとは思っていません。一方で、人との接し方などは、ネット上であっても対面であっても変わらないので、それは培ってきたものが活きているのかなとは思いますね。みんなにファンサをしようとか。
デバイスってどうしてる?
――少しお話が逸れますが、あどれちゃんのお部屋のデザインがすごく好きです。細かなところにあどれちゃんのこだわりを感じます。特に、VIVEトラッカーのドングルにひとつひとつリボンをつけているのが驚きで。「ドングルって飾っていいんだ!」って目からウロコでした。
特上あどれちゃん いまがんばってケーブルも取り寄せています!前までは壁に立てかけていたのですが、どうしても踊ってる時に殴ったり蹴ったりしちゃいまして(笑)。まずいなと思ってたときに「金網に取り付けるといいよ」とアドバイスを教えてもらったので、実行しつつリボンを巻いてみました。
――ケーブルとかも、とてもきれいにされているのはえらいなって……
特上あどれちゃん どうせここに何年も住むと思うと、今のうちにきれいにしたいなと思うんですよね!
――パフォーマンス時に使用している機材はどのようなものを選んでいますか?
特上あどれちゃん 今は、ヘッドセットはPICO 4で、そこにVIVEトラッカーを9つとベースステーション3台を組み合わせています。肘にもトラッカーをつけていて、頭にも調整用のトラッカーが1つあります。お金はかかりましたが、HaritoraXやmocopiとは精度が段違いで……!
――ヘッドセットはどのような使用遍歴をたどっていますか?
特上あどれちゃん もともとはMeta Quest 2を使っていました。このMeta Quest 2は、お父さんがクリスマスプレゼントに贈ってくれたもので、これがVRChatを始めたきっかけでもあるんです。
――理解のあるお父さんだ……!
特上あどれちゃん お父さんもオタクなんですが、ある日「VRChatっていうのがあって、市場もできあがっていると聞いた。そこでがんばってみなさい」と、Meta Quest 2をプレゼントしてくれたんです。その後、PICO 4を積みヘッドセットにしていたので、買い取らせてもらいました。
きっかけはお父さんのススメ!?市場を求めてVRChatに飛びこんだ
――VRChatを始めたきっかけもお父さんなんですね。でも、存在を知ったとしても、すぐには実際にやってみようって思う人は多くないと思います。初めてVRChatを知った時、どんな感想を抱いて、どのような形で訪れたのでしょうか?
特上あどれちゃん もともと、ぼくは別のメタバースにいたので、いろいろな人がバーチャルな世界で楽しんでいる空間自体には慣れ親しんでいました。そして、根っからのツイッタラーだったので、まずはTwitterでお友達を増やしていきました。おかげさまでよい案内人と出会えて、「Japan Tutorial World」で待ち合わせしてから、ぼくの好きな『ゆめにっき』のファンワールドなどを案内してもらいましたね。
――当時はまだ「Add+Re:collection」も設立されていない”ただのあどれちゃん”だったかと思いますが、当初はどんな遊び方をされていたんですか?
特上あどれちゃん これ、実は人とはちょっと順番が変わっていて。先ほどお父さんは「VRChatに”市場がある”」って言い方をしたと話しましたが、そもそもお父さんはぼくにVRChatでお金稼ぎをすることを勧めていたんです。
というのも、ぼくはもともと別のメタバースで衣装を作っていたのですが、そちらでは稼ぎもさほどなく、注目もされていませんでした。でも、その活動を見てくれていたお父さんは「技術がないわけではないのだから、それは市場が悪いな」「こっちなら日本人も多いみたいだし、売れるんじゃないか」と、VRChatを教えてくれたんです。
そして最初にTwitterでつながった人も衣装制作者が多く、VRChatについて教えてもらいながら、同時にBOOTHの存在や、BOOTHショップ開設の方法や、Unity Packageの作り方なども教わっていたので、実は”ただのあどれちゃん”だった期間はほとんどなかったのかなと思います。
――それはすごい!お父さんの目の付け所も鋭いですし、そこからしっかりと人に教わっていけたのは、VRChatの面倒見のいい文化を加味しても、あどれちゃんのコミュニケーションも優れていたのかなと思うところです。
特上あどれちゃん みんな優しくいろんなことを教えてくれましたね。なのでぼくも、できるだけ人の時間を取らないようにと思って、できるだけ自分で調べてから聞くようにしてました。その当時でも、VRChat関連の情報は調べればたくさん出てきてくれたので、助かりました。ちなみに今は、ChatGPTがお友達です!
――あどれちゃんのお父さんが「稼ぐことができる」という視点でVRChatを紹介したことも、とても面白いことだと思います。いわば”職場”として提案したのだと思いますが、なぜそうした提案があったのか、背景についてお聞きしてもよろしいですか?
特上あどれちゃん もともとクリエイティブなことが好きで、イラストなどは小学生や中学生の頃からやっていました。ただ、中学校の時に美術部に入ってから、すごい絵が上手い子が来ちゃって、それで諦めちゃって……といったことを繰り返していました。
でも、クリエイターとしてやっていくために、お父さんはクリエイター系の学校にも入れてくれて、「その道に進むんだろうな」って思ってくれていたのが、大きいんじゃないかなと思います。何でもやらせてくれて、応援もしてくれる、好きなお父さんです!
お洋服屋さんとしての今後は?
――こうした話を聞いていると、そのつもりはないのかなと感じるのですが、今後VTuber活動以外の活動を縮小する予定はありますか?
特上あどれちゃん 縮小するつもりはないですが、頻度はもしかしたら落ちるかもしれないです。今はなるべく月1で衣装をリリースしていますが、この納期を守ろうと思うと、どうしても周りのクオリティに追いつけないと思う時もあるので、作品に合わせて頻度が遅れる可能性はあるかもしれません。
――自分のショップに”納期”があるのは、ちょっと面白いですね。
特上あどれちゃん 自分で縛りをつけないと、永遠にやらなくなっちゃうので(笑)。怠けないためにも、この日までにこれをやると決めて、手伝ってくれてる子たちにも迷惑をかけないようにがんばっています。
――「Add+Re:collection」はいまチームでやっているんですか?
特上あどれちゃん チームというほど多くはないですが、デバッグなどのクリエイティブに関わらない領域で、ずっと専業でお願いしている人がいます。自分だけで見ていると、「見ていないから気づいていない」ができちゃうんですけど、それを見逃さないためにも、人に依頼しています。
――いまはその方と二人三脚で活動している感じですかね?
特上あどれちゃん 二人三脚の一人に、スポットで活動してくれる人もいます。この規模はできれば大きくしていきたいですね。いろんな人たちとやりたいです。
――ちなみに、あどれちゃんはモデリングやデザイン以外にも、リギングやビジュアル設定もあどれちゃんがされているのですか?
特上あどれちゃん そうですね。サムネイルなどのデザインも該当します。他人にお願いしている部分は、アバターへの対応作業や貫通確認ですね。あと、商品ページの管理とかは専業の人にやってもらってます。問い合わせが来た時にもぼくが全部返答していますが、「問い合わせが来ましたよ!」ってアラートはその人に上げてもらっています。
――そこまでの体制となるとお金もかかるだけでなく、なにより信頼の置ける人じゃないとおまかせできないと思います。そこまでの人とどのように出会ったのですか?
特上あどれちゃん おっしゃるとおり、本当に信頼できる人じゃないとお願いできないので、高校時代からの親友に託しております!
――なんと!その方ってVRChatユーザーですか?
特上あどれちゃん ではないです。普通にお仕事をしている人なんですが、「給料は払うから一緒にやってくれないか」と頼んでお願いしている形です。最初はなにもわからない状況だったのですが、いまはすっかり成長して「ここ、貫通してますよ!ここどうなってんですか!」って伝えてくれます!
――ちなみに、先ほどお給料を支払っていると話がありましたが、あどれちゃんは法人化されていますか?
特上あどれちゃん いえ、まだ個人事業主ですね。先ほど挙げた人とは業務委託という形で契約を結んでいます。法人化してしまうと、株主総会もちょっと開催が微妙になってしまい……もしなくなったら、そういうことだと思ってください(笑)。
あどれちゃんのクリエイティブの原点
――VRChatに来る前は、モデリングはどのくらい経験があったのですか?
特上あどれちゃん 1年くらいですね。自分で取り組んでいた期間と、人から教わってもらっていた期間で構成されています。VRChatにきたときには、そこからしばらくブランクがありました。Blenderは独学でしたが、CADに近いモデリングソフトは学校でちょっとだけさわったことがありました。
――3Dでお洋服を作ろうと思ったそもそものきっかけはどのようなものでしたか?
特上あどれちゃん 以前いたメタバースで、ぼくが着せ替えにハマっていたのが原点ですね。そしていろいろな服を見ていて、「このリボンがもうちょっと自分好みの形なら買うのに……!」ってこだわりが生じてきて、これらを自分で作れたらどんなに素晴らしいだろうと思ったのが、服作りを始めたきっかけです。
――あどれちゃんの目指す「可愛い」の原点はどこにありますか?例えば、自分の記憶で一番最初に自分で選んだ、「これ可愛いな」って思うものは何ですか?
特上あどれちゃん 小学校に上がった時、学校へ着ていく服を、洋裁ができるおばあちゃんが作ってくれてたんですけど、その時に布選びを一緒にしたのが、一番最初ですね。「こういう形のワンピースがいい」「この色の布がいい」と言っていた記憶があるので、「可愛い」へのこだわりはそこにあるのかもしれません。
――小学生の時点で「自分のチョイス」があるのってすごいですね!
特上あどれちゃん こだわりも強かったですし、その変動もすごかったですね。めちゃくちゃフリフリなものを着たと思ったら、翌年にはボーイッシュな短髪になって、ズボンしか履かなかった時期もありました(笑)。
――そして、おばあちゃんも服を作っていらっしゃったことで、身近だったことも大きそうですね。
特上あどれちゃん ぼくも小さい頃からミシンが使えて、外に着ていけるようなものじゃないけど、自分で洋服を作っていましたね。
――あどれちゃんの歴史が全てゆるくつながっているのを感じます。ちなみに、「このような服にしたい」といったインスピレーションは、その当時なにから得ていましたか?
特上あどれちゃん 最初におばあちゃんに「フリフリ作ってほしい!」と言った時は、店頭に置いてあった『ゴス・ロリ』って雑誌が決め手でした。ファッション雑誌ではなく、型紙つきの裁縫向け雑誌です。有名な芸能人が着ていたからではなく、パッと見で「これいいじゃん!」って直感したと思いますね。
――服そのものに興味があったのですね。そして、現在の「Add+Re:collection」での制作時のインスピレーションはどこから受けていますか?
特上あどれちゃん ひたすら、囲いを作らずにいろんなものをたくさん見ています。Xを見る時も、おすすめタブを眺めて、食わず嫌いせずいろんなものに触れています。自分で触れるものを限定してしまうと、得られる情報も限られてしまうので、できる限りいろんなものを見るようにしていますね。また、Xだけでなく、YouTubeやPinterestなども見るようにしています。検索ではなく、オーガニックに全部を見て、そこからいいと思うものをチョイスしています。
そして、膨大なインプットから、ピンッときたものを制作しています。これも、なにかを参考にしすぎるとそれに寄ってしまうので、できるだけ頭の中にメモって、それを思い出す形でデザインしています。本当に自分がグッときたものじゃないと、おぼえていられないじゃないですか。それだけを頼りに作っていますね。
女の子らしさ全振りで、「病み」はなし!「Add+Re:collection」のコンセプト
――一方で、「Add+Re:collection」の洋服にはピンクを中心にパステルカラーのものが多いと思います。それはなぜですか?
特上あどれちゃん 自分の中にあるショップコンセプトが「健全に可愛いものを作ろう」なのが大きいですね。今の時代は、「男の子でもピンクでもいい」「女の子でもこれを選んでいい」みたいな風潮はありますけど、そういう流れじゃなくて、女の子らしさ全振りな「女の子の可愛いらしさ」を目指しています。
そして、ぼくはあまり「病み」文化が好きではないので、そういうのを連想させないようなものをチョイスした結果、リボンとレースとフリフリのピンクに落ち着きました。どうしてもこうなっちゃう!
――なるほど!「病み」は「Add+Re:collection」にないんですね。
特上あどれちゃん なので、ナース服も1年目から作ろうかずっと迷っているんですけど、注射器や包帯は「Add+Re:collection」のコンセプト的にどうかなぁと思って、作っていません。少し厳しめに自分の中ではラインを引いてます。
――表に出ないこだわりもあるところも、「Add+Re:collection」が多くの人に愛される理由なのかなと思いました。そして、病み属性はいれず、でもヘルシーってわけでもないけど、やっぱり可愛いに着地してるのが、一貫しているところも感心させられます。
特上あどれちゃん 「Add+Re:collection」では、いわゆる地雷系も多くリリースしていますが、地雷系ってやっぱり病み文化、メンヘラを連想する人がいると思います。でも、ぼくは「地雷」っていう言葉のチョイスが好きではないんですよ。商品名には取り込むものの、それはこんなかわいい服なのに、「メンヘラみたいだ」と思われがちなのが悔しいので、そこにずっと抗ってきた結果なんです。
――己のこだわりとずっと戦っているのですね。なんというか、あどれちゃんはずっとなにかと戦っているような気がしてきました(笑)。
特上あどれちゃん 健全に着てください!地雷系!(笑)
悔しさは、新しいことを学んで乗り越える!
――今まで順風満帆に歩んできたあどれちゃんですが、ちょっと心が折れそうになった時はありますか?
特上あどれちゃん めちゃくちゃありますよ。それこそ、去年から今年はたくさん3D衣装ショップが出てきて、自分を超えてくるようなところも現れてきました。それが悔しくて、泣きながら衣装を作ってた時期もあります。「どうせ作ったところで、あのショップよりもスキはもらえないんだろうな」って。数字自体は好きなので、嫌ではないですし、数字を糧にがんばろうと思えるんですが、でもやっぱり悔しい時はありましたね。
――悔しさを噛み締めながらも「がんばろう」って思いたいとき、あどれちゃんなりの自分の励まし方やルーティンはありますか?
特上あどれちゃん できるだけ、新しいことを勉強するようにします。例えば、お洋服作りで悩んでいたとしたら、今までやってなかったシワの描き方にこだわってみたり、「Substance Paint」をもうちょっと使えるようにしてみたりすると、今までよりクオリティアップできて安心するじゃないですか。人と比べたら分からないですが、確実に、先月の自分よりはいいものが絶対に作れているはずです。
そして、できるだけ勉強した結果、その分野で勉強できることがなくなった時、どうしても成長が見込めないと思った時は、全く別のことをします。映像制作や、Twitterの新しい企画作りだったり。自尊心の話に戻ってきますが、自分が自分を認めてあげるために、自分のスキルを磨いていますね。
――悔しい気持ちを、自分が成長するためのガソリンに変えているのですね。ガッツを感じます。
「アイドルは偶像」――あどれちゃんが目指すアイドル像は?
――あどれちゃんの中で、アイドルとして大事にしたい心構えはありますか?
特上あどれちゃん よく、「アイドルは偶像だ」って言われますよね。語源が「偶像(idol)」ということもあり。それがすごく好きな概念なんです。最近は様々なアイドルがいると思いますが、ぼくは「あの子、アイドルじゃなかったらどうしてるんだろう?」が想像できないような人間であるべきかなと思っています。
特上あどれちゃん 「この子がアイドルじゃないなんて想像がつかない!」「アイドルが天職だよ!」と思ってもらえるような人間になることが大切じゃないかなって。キャラクターってほどではないにせよ、ある種の人間性を感じられない、ミステリアスなあり方が大切かなと。
――まさに王道のアイドルになりたいのですね。一方で、いま「キャラクター」という言葉が出てきましたが、実際のあどれちゃんとVTuberとしてのあどれちゃんには”差”をつける予定はありますか?
特上あどれちゃん 「特上あどれちゃん」としてのVRChatにおけるぼくは、こうしてインタビューを受けている時や、ライブに出演している時など、「人前に立つ形」をちゃんと自分の中で持っています。一方で、配信活動をしたときには、多分もうちょっと素の自分が出てきてしまうのかなと思っていて、それをできるだけいい意味で出せるようにはしたいですね。
――アイドルの日常っぽいところが垣間見えるのがグッときたりすることもありますからね。
特上あどれちゃん その気持ちもオタクとしてすごいわかるので、できるだけ夢を壊さない範囲でできたら嬉しいなとは思ってます。
――デビュー前からプロ意識高すぎる!
特上あどれちゃん 理想があるんだ!ぼくには!
「推し続けるのをやめたら後悔するVTuberランキング1位」を目指して!
――インタビューもいよいよ締めくくりなので、ぜひお聞きしたいことが。VTuberのあどれちゃんのキャッチフレーズは決まっていますか?
特上あどれちゃん いま使っている「歌って踊れるクリエイターアイドル!てんさいさんさいの特上あどれちゃんです!」が一番しっくりきますね!そのフレーズの通り、VTuberとして歌を歌い、ダンスもして、お洋服も作れて、動画編集もできて、諦めてたイラストもがんばっちゃうマルチにいろいろできる人として活動していきたいですね。
――まるで十徳ナイフみたいです(笑)。でも、VTuberは総合格闘技のようなジャンルですから、あどれちゃんのように手持ちのスキルセットを全て出しきってファンを獲得していくスタイルは、VTuberとしても王道かなと思います!
特上あどれちゃん なんでもやります!ホラーゲームはできないけど!
――ちなみに、コラボしたい人はいますか?
特上あどれちゃん VRChatつながりで、ペイリアンちゃんや二次元ちゃん、そしてぼくのオリジナル曲を作ってくれたmokzママとはコラボしたいですね。VRChat系VTuberとのコラボはファン層も近いでしょうし、見ている側も嬉しいはずなので、コラボはやっていきたいですね。
――最後に、ファンのみなさまに向けて、なにか一言メッセージをお願いします!
特上あどれちゃん 「推し続けるのをやめたら後悔するVTuberランキング1位」を目指しています!推すのやめるなよ!!
――私もぜひ推していきます!本日はありがとうございました!
特上あどれちゃんのVTuberデビュー配信は、12月28日 19時よりスタート!豪華二本立ての配信となる予定なので、お見逃しのないよう!
- 19:00~:超豪華3Dライブ
- 20:00~:初配信ファンミーティング