VRChatでは、ユーザーが自由に「アバター」をアップロードし、他のユーザーと交流することができます。しかし、アバターのアップロードには、ゲーム開発エンジンであるUnityの操作が必要となるため、初心者にとってはハードルが高いと感じるかもしれません。
ですが、ご安心ください。全体の手順を把握して順番にこなせば難しくありません。この記事では、BOOTHなどで販売・配布されているVRChat向けアバターをそのままアップロードする方法を、分かりやすく解説します。
アバターのカスタマイズ(改変)をしてアップロードしたい場合は、下記の記事をご覧ください。
目次
アップロードに必要なもの
トラストランク
VRChatには、「トラストランク」と呼ばれる仕組みがあります。ランクは全部で5段階あり、最初はみんな「Visitor」からスタートします。アバターをアップロードできるのは、「New User」からです。
ワールドを探索したり、フレンドを増やしたりすると、トラストランクが上がっていきます。自分のトラストランクは、プロフィールで確認できます。
アバターのアップロードを目指して、VRChatで遊びまくりましょう!
Unity
VRChatにアバターをアップロードするには、「Unity」というソフトウェアを使う必要があります。本来はゲームを作るためのソフトウェアなので、いろいろな機能がつまっており、操作画面を見ただけで「もう無理!」と感じる人もいることでしょう。
どうぞご安心ください。アバターをアップロードするのに使う機能は少しだけです。
でも、手順を見ると、「やっぱり大変そう…」と思うかもしれません。
それで、まずはアバターを決めてしまいましょう。「このアバターを使いたい!」という想いがあれば、慣れない操作もきっと乗り越えられるはずです。
アバター
アバターを特集した記事を紹介します。見ているだけでワクワクしてきますよ♪
お気に入りのアバターは見つかりましたか?
筆者は「男性アバター特集」で紹介されていた「狛乃」を選びました。この記事では、狛乃くんを使って、アップロードまでの手順を一緒に進めていきたいと思います。
VCCとUnityをダウンロードしてアップロードの準備をしよう
VCCのダウンロード
まず、「VCC」をダウンロードします。
「VCC(VRChat Creator Companion)」とは、アバターやワールドを制作・アップロードする際に使うツールです。
VRChatの「Download」タブを開き、「Download the Creator Companion」をクリックしてVCCをダウンロードします。
ダウンロードした「VRChat_CreatorCompanion_Setup_2.3.3.exe」を開きます。
「I accept the agreement」を選択し、「Next」をクリックします。
「VCC」をインストールする場所を選択し、「Next」をクリックします。こだわりがなければ、場所はそのままで大丈夫です。
「VCC」のショートカットを置くスタートメニューフォルダーを選択します。こだわりがなければ、場所はそのままで大丈夫です。
「Next」をクリックします。
「VCC」をインストールできました。
Unity Hubのダウンロード
次に、「Unity Hub」をダウンロードします。(※「Unity Hub」はUnityを管理するためのツールであり、Unityそのものではありません。Unityそのものは、あとでダウンロードします)
「Settings」をクリックします。
「Install Now」をクリックします。
「Install Unity」をクリックします。
「Download the Unity Hub from Unity’s website」をクリックします。
Unityの公式サイトが開くので、「Windows 用にダウンロード」をクリックします。
ダウンロードした「UnityHubSetup.exe」を開きます。
「同意する」をクリックします。
「インストール」をクリックします。
「完了」をクリックします。
「Create account」をクリックして、Unityのアカウントを作成します。
既にアカウントを持っている方は「Unityのダウンロード」という見出しに進んでください。
こんなページが表示されます。
下に行くと言語を変更できます。「日本語」に変更してみます。
日本語になりました。フォームに必要な情報を入力します。
- メールアドレス:このメールアドレスに確認メールが届きます。
- ユーザーネーム:Unity用のユーザーネーム。VRChatのユーザーネームと同じにする必要はありません。
- パスワード:8~72文字。大文字、小文字、数字(または特殊文字)を最低1回ずつ使う必要があります。
- フルネーム:ユーザーネームと同じで構いません。
入力できたら、必須のチェックボックスと、「私はロボットではありません」にチェックを入れます。
「Unity IDを作成」をクリックします。
先ほど登録したメールアドレスの受信トレイを確認します。
こんなメールが届いているはずです。「Link to confirm email」をクリックします。
「私はロボットではありません」にチェックを入れます。
「検証」をクリックします。
サインインするためのページが表示されますので、先ほど登録したメールアドレスとパスワードを入力してサインインします。
「マイアカウント」ページが表示されます。これで登録は完了です。
「Unity Hub」に戻り、「Sign in」をクリックします。
ブラウザでこのメッセージが表示されるので、「Unity Hubを開く」をクリックします。
「Unity Hub」が起動し、次の画面が表示されます。「Agree」をクリックします。
Unity Hubの表示を日本語に変えてみます。左上にある歯車マークをクリックしてください。
「Appearance」を選択し、「Language」で「日本語」を選択します。
Unityを使うには、ライセンスが必要です。
「ライセンス」を選択し、「Personal」ライセンスがあることを確認します。
ライセンスがない場合は、「ライセンスを加える」をクリックし、「無料のPersonalライセンスを取得」を選択します。
「同意して Personal のライセンスを取得」をクリックします。
Unityのダウンロード
今度は、「Unity」そのものをダウンロードします。
VCCに戻り、「I have installed the Unity Hub」をクリックします。
「Install Unity 2022.3.22f1」をクリックします。
※このバージョンは、本記事の執筆時点でのものです。最新のバージョンを調べる方法については、番外編2「③ 正常にアップロードできない!」(後述)をご覧ください。
インストールが始まるので、しばらく待機します。
この画面が表示された場合(エラーが発生した場合)は、「Try Again」をクリックします。
インストールが完了しました!
「Continue」をクリックします。
「Open the Creator Companion」をクリックします。
「VCC」と「Unity」のインストールはこれで完了です。
関連ツールを用意しよう
ここまでは、どのアバターをアップロードするとしても “実行しなくてはいけないこと” と “ダウンロードしなくてはいけないもの” について説明してきました。
ここでは、絶対に使うわけではないけれど、いずれ使うことになるであろうツール(3つのシェーダーと、Modular Avatar)をインストールしておきたいと思います。
(1)シェーダー
シェーダーとは、かなりざっくり言うと、3Dモデルに特定の “質感” を与えるためのものです。色を付けたり、キラキラさせたり、アニメ調にしたりなんてことができるプログラムです。
例えば、狛乃くんですと「lilToon」というシェーダーが使われています。これをインストールしておかないと、アバターは正しく表示されません。
みなさんがアップロードしたいアバターにも、何かしらのシェーダーが使われていると思います。商品ページや、アバターの仕様書をチェックして、どのシェーダーをどのようにインストールすればよいのか、確認してみてください。
今回は、VRChatのアバターでよく使われている3つのシェーダー(lilToon、Poiyomi Toon Shader、UnlitWF Shader)をインストールしてみます。
lilToon
こちらのサイトで、「VRChat Creator Companion」をクリックします。
「CreatorCompanion を開く」をクリックします。
「I Understand, Add Repository」をクリックしてインストールします。
Poiyomi Toon Shader
こちらのサイトで、「Add to VCC」をクリックします。その後の手順は「lilToon」と同じです。
UnlitWF Shader
こちらのサイトで、「VCCに追加する」をクリックします。その後の手順は「lilToon」と同じです。
(2)Modular Avatar
「Modular Avatar」は、アバターに衣装やギミックを導入するのに使えるツールです。
「服を着せ替えてみたい!」という気持ちがわいてきたときに備えて、インストールしておきましょう。きっとそれは、遠くない未来のことです。
こちらのサイトで、「ダウンロード (VCC経由)」をクリックします。その後の手順はシェーダーをインストールした時と同じです。
今回インストールしたツール以外にも、アバターの改変やデータの軽量化といったさまざまなことを実現するための便利なツールがたくさん存在します。
そうしたツールの多くは、「VCC」を使ってインストールすることができます。「ほかにどんなツールがあるのか気になる!」という方は、こちらの記事をチェックしてみてください。
これで、アバターをアップロードするための準備が整いました。
Unityの操作に慣れていこう
プロジェクトを作ろう
アバターをアップロードするのに必要な「プロジェクト」というものを作ります。
VCCで「Create New Project」をクリックします。
「Avatars Unity 2022 Avatar Project」を選択し、「Project Name」にプロジェクト名を入力します。
この記事では狛乃くんをアップロードするので、「Komano kun」という名前にしてみました。
※注意:プロジェクト名は、半角英数字のみを使用してください。日本語で入力した場合、エラーが発生する可能性があります。
プロジェクト名を入力できたら、「Create Project」をクリックします。
プロジェクトができました。
シェーダーのインストールを確認しよう
先ほどインストールした「lilToon」(または自分のアバターで使う別のシェーダー)をこのプロジェクトに追加します。
下にスクロールすると「lilToon」が見つかるので、右の「+」ボタンをクリックします。
※もしこんな画面になっていたら、「Manage Project」をクリックしてください。上と同じ画面になるはずです。
いよいよUnityを起動します。右上の「Open Project」をクリックしてください。
Unityが起動しました。
画面の項目を確認しよう
まずは、Unityの画面についてざっくり説明しておきたいと思います。
- Project(プロジェクト):素材を置いておく(すべての素材が置いてある)場所。
- Hierarchy(ヒエラルキー):実際に使う素材を配置していく場所。
- Scene(シーン):素材を編集する場所。
- Inspector(インスペクター):選択している素材の詳細情報が表示される場所。
- Console(コンソール):エラーなどの情報が表示される場所。
※もっと専門的なことを知りたい!という方は、Unityのマニュアルをご覧ください。
アバターをインポートしよう
アバターを用意します。狛乃くんの場合、フォルダの中身はこんな感じです。
「Komano.unitypackage」を開きます。
(※アバターによってファイル名が異なります。たいていは、「(アバター名).unitypackage」という名前になっていると思います)
こんな画面が出てくるので、「Import」をクリックします。インポートされるまで気長に待ちましょう。
「Project」の中にある「Assets」という場所に「Komano」(または、自分がアップロードするアバターのフォルダ)ができていれば、インポート成功です。
「Komano」フォルダを開きます。
次に「Prefab」を開きます。
狛乃くんの場合は、モデルが2体入っていました。
- Komano:服を着ているモデル
- Komano_Kaihen:自分好みの服を着せたい人用のモデル
今回は、服を着ているバージョンの「Komano」を使います。
「Komano」を、「Hierarchy」にドラッグアンドドロップします。
「Scene」にアバターが登場すれば成功です。
※「Scene」での操作方法
- 拡大・縮小:マウスのホイール
- 平行移動:マウスのホイールを押しながらドラッグ
- 回転:マウスを右クリックしながらドラッグ
基礎知識として、少しだけ画面の説明をします。
「Komano」の左にある「▶」をクリックしてみてください。
「Komano」の中にたくさんモノが入っていますね。
- GameObject(ゲームオブジェクト):「Hierarchy」に並んでいるもの。「Main Camera」「Directional Light」「Komano」「Armature」「Body」……。これらはすべて、GameObjectです。
- Prefab(プレハブ):いろいろなことが既に設定されているGameObject(青い箱のアイコン)。このアバターも、作者さんが素材や設定を一つにまとめて配布してくれているわけです。
※もっと専門的なことを知りたい!という方は、Unityのマニュアルをご覧ください。
アバターをアップロードしよう
アバターをVRChatにアップロードする時がやってきました。あともう少しです!
画面上部の「VRChat SDK」をクリックします。
「Show Control Panel」をクリックします。
VRChatのアカウント情報を入力します。入力できたら、「Sign In」をクリックします。
- Username/Email:VRChatのユーザーネーム
- Password:VRChatのパスワード
コードを入力する画面が表示されます。
こんなメールが届いているはずです。
メールに書かれているコード(数字)を「Code」に入力します。
こんな画面が表示されますので、「OK」をクリックします。
「Allowed to publish avatars」と書かれていれば、アバターをアップロードすることができます。
※「Not yet allowed」と書かれている場合は、トラストランクが足りません。詳しくは、この記事の「トラストランク」をご覧ください。
「Builder」をクリックします。
これが「Builder」の画面です。
必要な情報を入力・設定していきます。
- Name:アバターの名前。好きな名前で大丈夫です。日本語でもOKです。
- Description:アバターの説明。入力しなくても大丈夫です。
- Content Warnings:アバターについての警告ラベル。該当するものがあればチェックボックスにチェックを入れてください。
- Sexually Suggestive(性的なものを思わせる)
- Adult Language and Themes(成人向けの言葉やテーマ)
- Graphic Violence(写実的な暴力)
- Excessive Gore(過剰なゴア)
- Extreme Horror(極度のホラー)
- Visibility:「Private」を選択してください。
VRChat内のアバター一覧で表示されるサムネイル画像です。設定する方法は2つあります。
- パソコン内の画像を使用する方法
- 「Select New Thumbnail」をクリックして、パソコンに保存されている画像を選択する
- 「Scene」に映っているアバターのスクリーンショットを使用する方法
- 「Capture From Scene」をクリックする
- 「Capture」をクリックする
※サムネイルに表示されるアバターの大きさや角度を変えたいときは、「Scene」内で調整してください。調整方法については、上述の「「Scene」での操作方法」をご覧ください。
「Windows」を選択します。
※パソコンに接続せずVRデバイス単体でVRChatを遊ぶときは、アバターをQuest(mobile)対応させる必要があります。その際に「Android」もしくは「iOS」を選択することになります。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
必要事項をすべて入力できたら、「Online Publishing」のチェックボックスにチェックを入れます。
※注意:あとはアップロードするだけなのですが、「Visibility」が「Private」になっていることを改めて確認してください。
ここが「Public」ですと、ほかの人に使われてしまいます。ほとんどの有料アバターは、“ほかの人が使える状態にしておく” ことを利用規約で禁じているはずです。ご注意ください。
「Build & Publish」をクリックします。
※ボタンが押せない場合は、何かしらのエラーが発生している可能性があります。この記事の「最後のアップロードボタンが押せない!」(後述)を参照してください。
ここまでの間にシーンを保存していなかった場合、名前を付けて保存する画面が出てきます。
任意の名前を入力し、「保存」をクリックしてください。その後アップロードが再開するので、終わるまで待ちましょう。「Upload Succeeded!」と表示されれば、アップロード成功です!
「See it on the VRChat Website」をクリックして、VRChatにアップロードされていることを確認してみましょう。
無事にアップロードされています!
以上で、アバターアップロードの説明は終わりです。ほかのアバターもアップロードしたいというときは、「プロジェクトを作ろう」からの手順を繰り返してください。
お疲れ様でした!
番外編1:アバター改変をしてみたい!
「アバター改変」とは、服やアクセサリー、髪の色などを自分好みにカスタマイズすることです。改変にチャレンジしてみたい!という方におすすめの記事をピックアップしました。ぜひ参考にしてみてください。
番外編2:アバターアップロードのトラブルシューティング
アバターを改変したりアップロードしたりするとき、エラーが発生することがあります。エラーは、よくあることです。なにせUnityという高難易度のツールを使っているのです。エラーに出くわしたときは、「なるほど、これが噂のエラーってやつか」と、落ち着いて対処しましょう。
エラーが起きる原因はさまざまです。自分のやり方が間違っていることもあれば、そもそもツールにバグがあった、なんてこともあります。
ここでは、よくある問題とその対処法を4つ紹介します。しかし、これらに該当しないエラーにも遭遇することでしょう。そんなときは、インターネットで調べたり、誰かに助けを求めたりしましょう。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
① ピンク色になってしまった!
予想される原因:必要なシェーダーがプロジェクトに追加されていない。
対処法:この記事の「関連ツールを用意しよう」と「シェーダーのインストールを確認しよう」を参考にして、シェーダーを追加してください。
② 最後のアップロードボタンが押せない!
予想される原因:
- 必要な情報が入力されていない。
- エラーが発生している。
対処法:
- この記事の「アバターをアップロードしよう」を読み直してみてください。例えば、
- サムネイルは設定されているでしょうか?
- 「Online Publishing」のチェックボックスにチェックは入っていますか?
- 「VRChat SDK」の「Validations」を見ると、いろいろなメッセージが表示されているかと思います。
このアイコン(赤い八角形の中に白い「!」)は、解決すべきエラーが発生しているというメッセージです。この記事では “エラーアイコン” と呼ぶことにします。
エラーアイコン以外にも「!」が付いているメッセージがあるかもしれませんが、アップロードに支障はありません。
メッセージの右側に「Auto Fix」というボタンがあればクリックします。自動で問題を解決してくれます。
※注意:エラーアイコン以外のメッセージについては、「Auto Fix」ボタンがあっても押さないでください。押すことで逆におかしくなってしまう可能性があります。
この画像のように、「This avatar has mipmapped textures without ‘Streaming Mip Maps’ enabled.」というメッセージが出ることがよくあります。「Auto Fix」ボタンを押せば自動で解決します。
それでも問題が解決しない場合は、以下の記事を参考にして、対処方法を調べてみてください。
③ 正常にアップロードできない!
予想される原因:Unityのバージョンが違う。
対処法:正しいバージョンのUnityを使う。
Unityにはさまざまなバージョンがあるのですが、VRChatアバターのアップロードに対応しているバージョンは1つだけです。そして、時々そのバージョンが変更になります。現在のバージョンをチェックする方法について説明します。
こちらのページにアクセスします。「The current Unity version used by VRChat is」の右側に書かれているのが、現在VRChatに使えるバージョンです。
インストールしたUnityのバージョンが間違っていることに気づいた場合は、「click this link」をクリックして、現在のバージョンをインストールしてください。
※自分が今使っているバージョンは、VCCで確認できます。
④ どうしてもUnityや英語が無理……
「Unityって機能がありすぎて混乱するし、表記は英語だし、やっぱり使いたくない!」という方もいるかもしれません。分かります。Unityと友達になるのは、なかなかに至難の業です。
そんな方に朗報です。Unityを簡易化する「EAUploader」というツールがあるのです。表記は日本語です! 詳しくは以下の記事をご覧ください。