VRChatには、様々なワールドとギミックがあります。中には驚きのあるものもありますが、そのギミックのほとんどはそのワールドでしか使えず、他のワールドでは利用できません。
このような状況に打開策を見出した団体があることをご存知でしょうか。
VRC Connections API Project(以下、VCAP)という団体は、VRChatのワールドと外部をつなげるAPI「VCAPI」を作ることで、これまでにできなかったことを実現しようとしています。
QvPenの保存機能のように、これまでに実現できなかったこともあります。
本記事では、VCAPの広報とともに、次世代のインフラになる可能性を秘めたギミックを体験したので、その様子をお届けします。
ワールドやインスタンスをまたいでデータのやり取りができる
まず紹介するのは「ワールドやインスタンスをまたいでデータのやり取りができる」機能です。ワールドやインスタンスをまたいで、他のワールドやインスタンスにも影響を与えることができます。
QvPenの保存機能があります。本来、誰もいなくなったら消滅してしまうQVPenの描いた座標の情報をVCAPIに保存。再びVCAPIから呼び出すことで、描いた情報を復元できます。
保存のやり方は簡単。いつも通り、QvPenを使って文字やイラストを描きます。その後、使ったペンを決められたボックスの中に入れて、VCAPIに保存するだけ。サーバーの保存も、タイトルの入力と発行されたURLをコピーアンドペーストをするだけで、時間を使わずにできます。
そしてVCAPIから呼び出すと、ペンで描いた位置に簡単に復元されます。ボタン1つでおどろくほど簡単に呼び出しができました。もうこれで文字が消えることに怯えずに済みますね。
こちらのギミックは、7月15日から開催されるバーチャルマーケットで体験できます。実際に体験してみるとより驚くので、ぜひともブースに行ってみてはいかがでしょうか。
インスタンスやユーザーのデータを保存
ゲームワールドでスコアが表示されることがあります。そのスコアはパスワードの入力や写真を撮ることで保存することができますが、他のワールドやインスタンスに持ち越すことや共有することは難しいでしょう。
そこで登場するのが、「インスタンスやユーザーのデータを保存」する機能です。
VCAPIに事前にログインを行うと、ゲームをするだけでスコアや日付を記録できます。
これらの記録は別のインスタンスにも共有することができるため、複数のインスタンスにまたがって記録を競い合う大会を開くこともできます。会場が分散することで、参加者のパソコンに負荷がかからずに、大会を開くことができるかもしれません。
また、VCAPIの活用の仕方次第では、記録で1位が現れたらTwitterなどのSNSで通知することもできるとのこと。記録争いがより活発的になりそうで、ゲームワールドの幅が広がることに一役買うのではないでしょうか。
ワールドの中から外部のサービスやデータにアクセス
VCAPIは、外部のサービスやデータにアクセスすることができます。アクセスできるのは、TwitterやDiscordなどのものからChatGPTまで、さまざまなものがあります。
例えば、ChatGPTにアクセスするとAIとの会話を通じて初心者案内ができます。会話を通じて、VRChatの操作方法を教えてもらえます。こちらも、バーチャルマーケットにて案内役として触れることができるので、体験してみてください。
また、Discordにアクセスすると、ワールドの感想やバグの報告を連絡することができます。ワールド内に設置されたパネルを使って文章を入力すると、その内容がDiscordのサーバーにメッセージとして届きます。今回はメッセージを届ける先をDiscordにしましたが、スプレッドシートにすることもできます。
データの管理がよりしやすくなるのは、ワールド制作者にとっては嬉しいポイントでしょう。
安心して利用できるように
VCAPのギミックだけでなく、VCAPのすごいところは、組織体制も盤石な体制で作られていることです。
現在、VCAPには38名のメンバーが在籍しており、メンバーの中にはデータサイエンティスト、セキュリティスペシャリスト、法律家がいます。
VRChatのギミックに必要なのかと思う人もいるかもしれませんが、データサイエンティストによってワールドの最適化を支援したり、セキュリティスペシャリストによって安全性を担保したり、法律家によって利用規約を作ったりしています。
VCAPは次世代のインフラになりえる可能性を秘めたものであるため、安心安全に使っていただきたいという気概を感じました。
本格的なサービス開始は8月に開始される予定です。本格的なサービス開始までに、バーチャルマーケットで出展されているQVPenの保存機能とAIキャラクターを体験してみてはいかがでしょうか。
●参考リンク
・公式Twitter