バーチャル美少女ねむ、文化庁・文化経済政策の報告書で「メタバース及びNFT」に関して助言&データ提供

文化庁文化審議会が文化経済に関する政策を議論する「第一期文化審議会 文化経済部会 基盤・制度ワーキンググループ」報告書の「新たなメディア・テクノロジーを巡る潮流への対応」において「メタバース及びNFT」についてメタバース文化エバンジェリスト「バーチャル美少女ねむ」が助言とデータ提供を行いました。

メタバースもNFTも日本の優位性が活かせる分野ですが、まん延する誤解が先行したりメタバースとNFTがごちゃまぜになったりして不毛な議論になりがちです。この度、国がメタバースを「性別・容姿・立場から開放された新たな創作の場」と認識して、今後の政策に向けての地に足のついた政策提言を開始してくれたのは非常に大きな前進ではないでしょうか。

文化庁文化審議会「第一期文化審議会文化経済部会基盤・制度ワーキンググループ」報告書

文化庁文化審議会は、文化芸術の振興にかかる基盤・制度等について議論・検討する文化庁のワーキンググループです。「新たなメディア・テクノロジーを巡る潮流への対応」としてメタバース・NFTなど最新技術への対応も議論されています。

報告書・政策提言・参考資料はこちらで公開されています。
※資料は2022年3月29日時点のもの。

メタバースは「性別・容姿・立場から開放された新たな創作活動の場」さらなる活用に向けた具体的な取り組みへ

「メタバース」については、生活実態調査や文化発信をしている立場から助言を行い、全世界のメタバースの住人1,200名の生活実態を調査した「ソーシャルVR国勢調査2021」のデータを提供しました。

いわゆるメタバースを含む仮想空間は、①物理制約を無視できる、②性別・容姿・社会的立場等から開放され、③国籍や言語の壁を超えやすく、④現実の創作活動とはルールの違う新たな創作活動の現場となっており、そうした場で活動するのは、比較的若い世代が多い
(出所)左:「ソーシャルVR国勢調査2021 by Nem x Mila」(2021年10月)

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文化庁文化審議会「第一期文化審議会文化経済部会基盤・制度ワーキンググループ」参考資料

政策提言としては以下のような形になりました。メタバースに関して地に足のついた理解のもと、さらなる活用にむけた具体的な取組を進める、とてもよい形になったと思います。

仮想空間は、デジタル化が進む社会における新たな生活空間として確立する可能性があり、今後の文化芸術活動における主要な表現の場となることが見込まれる。既に「バーチャル日本博」等の取組を進めているが、我が国の豊富な文化芸術資源について、仮想空間ならではの付加価値やグローバル展開の可能性を意識しつつ、更なる活用に向けた具体的な取組を進めること。

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文化庁文化審議会「第一期文化審議会文化経済部会基盤・制度ワーキンググループ」政策提言

NFT:まん延する誤解を「留意点」として認識 有効性と共に課題を明らかにする方向へ

「NFT」については、実際にNFTを発行しているアーティスト・ユーザーとしての立場から、主にまん延する誤解から生じるリスクについて助言を行いました。

NFTによって紐付けられたデジタルコンテンツの活用にあたっては、様々な留意点が存在する。

NFTに関する留意点
1.デジタルコンテンツの”所有権”を実現するものではない
2.いわゆる”コンテンツ保護技術”ではない。
3.制作者の”著作権”を保護するものではない。
4.偽物を見抜き、”本物”を証明するものではない。
5.いわゆる”メタバース”の必須要件ではない。

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文化庁文化審議会「第一期文化審議会文化経済部会基盤・制度ワーキンググループ」参考資料

政策提言としては以下のような形になりました。しっかりと課題や留意点についても明言されました。

NFTは、世界で急激に活用が進む新たなメディア・テクノロジーであり、文化芸術振興の観点からも有益に活用することが可能。様々な留意点を踏まえつつ、我が国の豊富な文化芸術資源を活用した具体的な取組を進めること。

我が国文化芸術のグローバル展開やクリエイターが自らの作品を使って直接収入を得ることができる手段の一つとしても活用できる可能性があり、そうした観点から、NFTの有効性や課題等を明らかにすること。

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文化庁文化審議会「第一期文化審議会文化経済部会基盤・制度ワーキンググループ」政策提言

参考:今回の助言の元になったブログ記事

※本記事は、バーチャル美少女ねむさんより特別に許諾をいただき以下note記事を再編集・転載したものとなります。

https://note.com/nemchan_nel/n/n546be19a74a5