あの伝説級のネットミームがVRChatに!制作者の案内で周る「ンョ゛ハー ゛」ワールド探訪!

「ンョ゛ハー ゛」___

発音したくなるあの魔法の言葉。

9月30日、あの伝説的ネットミーム「ンョ゛ハー ゛」が、VRChatのワールドとして爆誕しました。

「ンョ゛ハー ゛」とはネットミームの一種で、愛媛県長浜市にあるスーパー「ショッパーズ長浜店」の愛称です。雨風によって「ショッパーズ」の看板からパーツが抜け落ちていき、長い年月の中で「ンョ゛ハー ゛」の部分だけが残りました。

この発音しがたい何とも言えない文字の羅列が、人々の脳裏に焼き付きネットミームとなったのです。

今回は「ンョ゛ハー ゛」ワールドを、制作者のとこよしさんに案内していただき、ワールドの楽しみ方や込められたこだわり、許可を取った際のことなどを取材させていただきました。

「ンョ゛ハー ゛」チャレンジなどの様々な仕掛け

「ンョ゛ハー ゛」チャレンジ

店舗前に飾られている看板には、「ンョ゛ハー ゛」の表示がランダムで変わる機能が付いています。

看板近くの壁に「ンョ゛ハー ゛」スイッチが置いてあり、押すと「ンョ゛ハー ゛」看板の抜けているところが切り替わります。

「ンョ゛ハー ゛」を超えうる、どう読むのかわからない単語が出てくることがあり、とても面白いです。このランダム性を活かし、看板の読み上げ動画を出す方も度々見られ、ミームの新たな進化の予兆を感じられます。

ギミックは、ChatGPTを使って作ったとのことです。

振り返る「ンョ゛ハー ゛」の遍歴

「ンョ゛ハー ゛」の看板には歴史があります。

駐車場の奥の塀の裏に、「ショッパーズ長浜店」の歴代の看板を再現したものを見られるスイッチが用意されています。元々の「ショッパーズ」の看板から、それが風化したお馴染みの「ンョ゛ハー ゛」看板。そして現在の看板の3種類が、切り替え式で見られるようになっています。

上から「旧ショッパーズ看板」、「旧ンョ゛ハー ゛看板」、「新ショッパーズ看板」

「ンョ゛ハー ゛」グッズの展示

ワールドには、「ンョ゛ハー ゛」グッズのフォトグラメトリモデルの展示も行っています。

このグッズは、有志の団体が制作、販売しているもので、とこよしさんはグッズを購入し3Dモデル化させたとのこと。トートバッグは中に詰め物をいれて吊るし、綺麗な形にした状態で撮影。Tシャツは元々持っていたトルソーを使って撮影をしたそうです。グッズひとつひとつにも、綺麗な状態で残したいというこだわりが伝わってきます。

この3Dモデルは、持つことができるのでぜひ持って撮影してみましょう。

撮影の痕跡

とこよしさんのフォトグラメトリワールドの特徴として、撮影した箇所を可視化できるギミックを実装しています。ワールド内にあるフレームを持ち、フレームを使って見渡すとその撮影ポイントを見ることができます。

人の身長程の高さもあれば、店舗の屋根を超える高さのところまで、撮影を行っていることがわかります。高所の撮影には、4.5mのロッドの先に一眼レフカメラを装着して行っているとのこと。とても重そうな機材ですが、慎重かつ丁寧に細かく撮影をされています。

「ンョ゛ハー ゛」ができるまで

とこよしさんは、RealityCaptureという写真測量ソフトウェアを使ってフォトグラメトリモデルの制作を行っています。

その制作工程は、現地での写真撮影、RealityCaptureでの画像処理・3Dモデル生成、Blenderで3Dモデルの編集、Unityへ3Dモデルをインポートさせワールド制作、そしてVRChatへアップロードといった流れです。

3Dモデルの生成は、画像データさえインポートさせたらすぐに綺麗なものができる、というわけではありません。とこよしさんは、RealityCaptureとBlender間の作業を行き来し、現物とずれている部分や破堤しているものを修正して、細かい調整を行った上で現実のような高精度の3Dモデルを作っているのです。

先述の撮影した痕跡が見られるフレームを通して店舗を見た際に、窓が抜けていたり、ゆがみがある状態のものが見られます。それを完成版のクオリティに上げるまでに、何度も何度も調整と試行錯誤を繰り返したそうです。

フレーム内に見える調整前の店舗モデル

さらに、とこよしさんのこだわりは細部にも至ります。

それは店舗裏に積み重なったかごや脚立が置かれた場所です。凹凸や穴も多くある場所ですが、撮影の痕跡を見ると一目瞭然。より綺麗に生成できるよう、この小さな場所で何枚も撮ったことがわかります。

まるで写真のような仕上がり

「ンョ゛ハー ゛」チャレンジの看板裏にある室外機は、面している壁とメッシュがくっつかないように、特に念入りに撮影をされたとのことです。このことについてとこよしさんは、フォトグラメトリをする人なら目を光らせる細部まで、撮影をしていることが伝わるポイントだそうです。

公開の許可取りってどうだった?

「ショッパーズ長浜店」は、現在も営業を続けているスーパーです。VRChatへ公開するにあたって、その許可取りはどのように行ったかをお聞きしました。

とこよしさんは、このワールドを制作しほとんど完成してから店舗へ確認を行ったそうです。許可をもらえなかった場合はお蔵入りも視野にあったとのこと。

また、許可取りの際は、制作した「ンョ゛ハー ゛」ワールドのたくさんの画像や動画といった参考資料と併せて、フォトグラメトリやVRChatの説明をメールで行ったそうです。

やはり、フォトグラメトリもバーチャルSNSもまだまだ世間的には浸透していないため、許可取りの際は特に丁寧な説明が必要になるようです。

「ンョ゛ハー ゛」を通して現地へ

とこよしさんは最後にこの「ンョ゛ハー ゛」ワールドを通して、現地のことも知ってもらいたいというお話をしてくれました。

とこよしさんは元々、用事のため愛媛を訪れ、その合間に「ンョ゛ハー ゛」へ寄ったそうです。つまりこのワールドはとこよしさんの旅の記録そのもの。数日の旅路の一部を留めたものです。

ワールド内には、観光案内やマップがいくつか設置されています。「ンョ゛ハー ゛」ワールドを入口に、現地の愛媛県や四国へ行くきっかけになってほしいという願いを込めて設置したそうです。

●関連リンク
とこよしさんX
ショッパーズ長浜店公式X
NPO法人ブルーキャットながはま(「ンョ゛ハー ゛」グッズ販売)