バーチャルファッション「Brummellia」の哲学とAIから発せられるメッセージ性とは?

データを購入しているバーチャルファッションは何を着ているのでしょうか。

今回紹介するバーチャルファッションブランド「Brummellia(ブランメリア)」のプロデュースを担当するhanikameさんは、「服ではなく、思想や誇りを着ているのではないだろうか」と話していました。

そんなBrummelliaが今回挑戦するのは、バーチャルファッションとAIとの融合。AIというと、クリエイターとAIが対立する構造で語られることが多くあります。その中で、「Brummellia」は、クリエイターとAIは共存可能であることを、衣装を通じて表現できないだろうかと試みました。

そんなバーチャルファッションブランド「Brummellia」は、5月13日よりVRChatより展示会の先行体験を開始します。展示会では、6月に販売される衣装【meltout】や、AIの歴史とAIを使った衣装制作の様子をまとめたパネルが展示されています。

今回は、先行体験で行ける展示会【meltout】を一足早く体験。Brummelliaの語る思想や誇りとはなにか。そして、なぜ展示会や服に【meltout】(溶け合う)と名付けたのか見てきました。

AIを使用した衣装制作

展示会の大半を占めているのは、AIとはなにかといった解説のパネルです。パネルには、そもそもAIとはなにかを時系列順にまとめられており、昨今のAIブームを知らない人でもおさらいできるような内容です。

後半には、AIを使って衣装を制作している過程も見られます。画像生成AIを使用し、ワンピースのアイディア出しや衣装に使用するMatCapを生成したのが分かります。ワンピースのアイディア出しには、プロンプトに青とワンピースを指定して入力して、出力したそうです。

シンプルだけども凝ったデザイン

今回販売される衣装は、こちらのワンピース【meltout】です。シンプルなデザインですが、半透明、青のワンピース、ピンクのスカートの3枚で構成されています。対応アバターはGrusのみで、随時追加を予定しています。

細かい箇所を見ていくと、ワンピース部分にはBrummelliaのタグが付いています。服を着ると見えない部分ですが、ブランド感を感じさせるデザインです。衣装制作を担当したruribitakiさんは、服飾の専門学校に行ったことあるとのこと。そのためタグなどといった機能美も追求しているとのことです。

スカート部分には、ラメのような装飾があります。アウターはシャボン玉をイメージしたものとなっており、AIの画像生成したMatCapが使われています。近くで見るとキラキラと輝いていますが、遠くから見るとしつこくならない良いアクセントです。

上着部分は半透明となります。半透明ですが、光沢がしつこくなく、Grusの持つモノトーンな雰囲気とマッチしたデザインです。

AIと人間が溶け合う

今回の取材では、衣装を制作しているruribitakiさんとプロデュースを行っているhanikameさんにもお話を聞けました。

中央左hanikameさん 中央右ruribitakiさん

話を伺っていみると、AIについてはるりさんがもともと興味を持っていたそうです。そこから、AIはこれからのクリエイティブに使われるようになるはずだと思い、実際にやってみることにしたそうです。服や展示会のタイトルになっている【meltout】は、AIの役割が発展した今でも、人間が最終的に判断するのを担っているから役割分担で溶け合っているところから来ているとのことでした。

今後の展望についても聞いてみると、「今後は新技術や中世ヨーロッパのような普段のファッションと合わせられないものと今のバーチャルファッションを混ぜることを考えているとのこと。大事なのは、混ぜるコンテンツに哲学や勇気を与えられるメッセージをどう込められていけるのか」と語っていました。

今回お話を聞いたところ、とてもブランドを意識していることが伝わりました。対応しているアバターがGrusということもあり、オシャレな洋服を求めている人は要チェックではないでしょうか。そして、記事や展示会を見て、Brummelliaのメッセージに共感した方は是非とも買ってみてください。