VTuber & VRChatter コンピレーションアルバム「Virtual Re-Lation」参加アーティスト猫塚大翔・zia・新海あざ丸への徹底インタビュー

バーチャル上で活躍するアーティストが一般的になってはや数年。毎日のように多くの作品が世に生み出されています。

2023年4月30日にリリースされた「繋がる/繋げる」をコンセプトとしたVTuber & VRChatter コンピレーションアルバム「Virtual Re-Lation」

11曲11組のアーティストと、コンポーザーや編曲など全ての人が「バーチャル」に関連して活動している人々で作られた音楽作品集です。今回、主催猫塚大翔さん(以下、猫塚)と、コンピレーションアルバム参加アーティストのziaさん(以下、zia)、新海あざ丸さん(以下、あざ丸)にインタビューを敢行。和気あいあいとした雰囲気の中、今回のアルバムと作品について語っていただきました。

アルバムコンセプトは「繋がる/繋げる」バーチャル

ーそもそも、この「Virtual Re-Lation」企画はどうやって始まったんでしょうか?

猫塚
このコンピレーションアルバムの企画が始まったのはちょうど1年前ですね。参加アーティストをお誘いする時に渡した企画書の日付が2022年4月7日になっていました。

僕が「Virtual Re-Lation」をつくりたいと思ったきっかけは、VTuberとVRChatter。同じバーチャル上で活動している人たちが一緒に音楽を作ったら面白くなるんじゃないか、という仮説からスタートしました。

個人の主観ですが、VRChatterの作る音楽には物語性みたいなのがあると感じていて。対してVtuberの方は、どちらかというと「自分に関係するもの」を主題に置くことが多いように思っているんですよ。例えば僕だったら「夜」ですし。個性や自分自身のイメージを活かした世界観に沿って歌を作っている方が多いなって。異なる主題で作品をつくる人達をごちゃまぜにした時に、いろんな世界が見れそう、と思ったんですよね。

ー今回11曲、11組のアーティストが参加しています。どういう経緯でこのメンバーになったのでしょう。

猫塚
そうですね。CROWKをはじめ、VRChatterだったりVTuberだったり、僕1人の力で繋がったわけじゃない方々です。本当に色々な道筋を辿って繋がった縁で、皆さんから僕自身も色々なアイデアや活動への情熱をたくさんいただきました。ただ、なるべくジャンルが被らないようには配慮しました。あとは活動歴が長い方だけではなく、ほぼ活動歴がないがやる気ある新人の方もいらっしゃいます。 僕に繋がってくれた縁を、もっともっと世界に広げていけたらという思いでお声がけしました。

ー新海あざ丸さんと、ziaさんはどういう経緯で参加されることになったのですか。まずはあざ丸さんからお伺いします。

あざ丸
僕は普段ファンタジー音楽を中心に作曲活動をしています。例えば、ゲーム音楽や民族音楽に近いジャンルです。ここ3年ファンタジー音楽を作ってきた中で、大翔くんから「ぜひ」とお誘いしてもらって参加することになりました。

ー猫塚さんとの曲「Constellation」ですよね。

あざ丸
はい。タイトルの「Constellation」は星座という意味なんです。今回のテーマ「繋がる/繋げる」を、アーティストの繋がりとして星座になぞらえて、ドラマチックでファンタジックなイメージで仕上げました。主催の大翔くんが「夜」をテーマにしたアーティストで、僕自身も夜の曲を歌ってきた身なので、生きた証として星座をこの夜空に刻もうぜという熱い意味を込めています。笑

あと僕、曲書いてる時に「これ大翔くんと歌いたい」と思って。彼に提案して一緒に歌うことになりました。今回の曲、実は大翔くんへのラブレターなんです。笑「大翔くんマジですごいから、おめーならてっぺん取れるぞ!」というエールも込めています。

猫塚
照れるな。笑。僕としても、たくさんの世界を旅して様々な経験をして、その経験は自分自身にしか得られないものだから、自信持って前に進んでけよ!みたいなメッセージをこめています。

ーziaさんの経緯も教えてください。

zia
まず猫塚さんがお友達だったこと。それと一緒に参加した暁さんとは活動開始タイミングが一緒なんですよ。同期のような感じなので、2人で参加できるのはいい機会だなと思って。

ー「ギャラリア」はどういうテーマで制作されたのですか?

前提として、私の作品は基本的に歌を起点として、映像・デザインなど関連するすべての表現を「わたしの歌で紡ぐ、モノガタリ」をテーマにして制作しています。自分の世界観は映画館から着想を得ているので、映像演出は映写機の回る音から始まったり、レトロなフィルム風の質感を使ったりしています。

映画館という場所は、もちろん耳でも目でも情報が入ってきますよね。私としては歌だけでなく、視覚情報からも色々考えてほしいと考えていて。アルバムのテーマが「繋がる/繋げる」だったので、私の世界観である映画館に、それぞれの作品へと繋がる予告ポスターが並んでいる廊下・ギャラリーをイメージして作りました。歌詞には、今まで1年間を通して歌っていたカバー曲や自身の作品からのフレーズを散りばめています。リスナーに気づいてもらえたら嬉しいですね。

ー普段の活動の中で「繋がり」を感じることはありますか?

zia
私の場合、YouTubeに上げた曲にリスナーが個々に感じたことをコメントしてくれるんですよ。ありがたいし、励みになりますね。歌だけではなく、デザインや関わるアウトプット全部を使って物語を完成させる気持ちで作ってるので、書いてくれた感想と自身の解釈が一致していたりすると繋がっているように感じて嬉しいです。解釈は個人に委ねているので、ずれていたとしても、考えてくれる過程も全て大切です。その経緯も含めて作品として作っています。

カバー曲でも「原曲はこのイメージだけど、ziaさんが歌うと違う情景が見えました」というような考察をしてくれるリスナーさんがいて嬉しいです。数分の短い楽曲でそこまで考えてくれたんだ、 めちゃめちゃありがたいなという気持ちになります。

あざ丸

僕の場合は、2つあります。1つ目は作品をお披露目した時の引用リツイートを読んだ時ですね。「ここが本当に良かった」とか「こういうのが伝わってきた」と書いてくれていると、自分の込めたメッセージを受け取ってくれたんだな、ちゃんと僕の思いが通じたんだなと、しっかり繋がっていると実感します。僕の作品はクリエイターや活動をしている方に向けた応援メッセージをこめた歌やMVが多いので「自分も新しい挑戦をしようと思えたよ」とか「あざ丸くんの曲のおかげで勇気出して頑張れたよ」と言ってもらえた時に、僕たち繋がり合えたんだな、って強く思います。

もう1つは、飛び道具的な答えなんですけど僕はいわゆる「逆受肉」をした存在なんですよね。笑 このアバターの衣装そのままで、リアルの即売会に参加しています。「Vtuberが生身を出す」というのはタブー視されてきた経緯があったので、バーチャル世界のアバターと同じ衣装を布から自作して、新海あざ丸本人としてCDを頒布しています。そうした即売会の会場で、「会いに来たよ」だったり「あの曲のここ好きだったよ」とお話ししてくれる方々と接して、 ちゃんとこの世界で繋がっていたんだとしみじみと感じますね。

猫塚
僕も2人と同じ部分で繋がりを感じますね。結構応援歌を作ってきたけど、背中を押す、でも前に引っ張り出すわけでもなく、横にいて一緒に頑張ろうねみたいなスタンスの曲が多いんです。だから聴いてもらった時に「寄り添ってくれて嬉しかった」「一緒に頑張ろうって思えた」「こういう時にこういう曲聞きたいって思える曲に出会えた、ありがとうね」とか言ってもらえると、伝えたかったものが伝わったかなという気持ちになります。

ー完成した今、感じていることはありますか?

猫塚
今回僕自身が色々やらないといけなかったので、実は当初やりたかったことが実現できてなくて。例えばVTuberとVRChatterのコラボレーション楽曲とか。スケジュールの関係上どうしても諦めないといけなかったので、ちょっと悔しい思いがありますね。もちろんこの1回で終わらせるつもりはないです。

zia
「ギャラリア」はアニメのオープニング的なイメージで暁さんと一緒に制作したんですよ。だけど他の方々がどんなジャンルの楽曲があるか全然わからなくて。実際に完成したのを聴いたら、1曲も被ってなくて。被らないメンバーを選出した猫塚さんはすごいなと思いましたね。

猫塚
よかった、被らなくて。あがってくるまで実はドキドキしてました。笑

あざ丸
作っているときは、大翔くんへの感謝とかエールとか、そんな想いに浸りながら、無我夢中で楽しく曲を書いていたんです。でも、いざアルバムが完成して、参加アーティストの名前をクロスフェードとともに拝見した時に、ものすごいビッグネームの集まりであることを改めて実感しました。

その中に作曲を始めて3年の自分がいるのは、今でもまだ信じられなくて、少し怖くなってきちゃったり。皆さんと間接的にでも、ご一緒できたことが心から嬉しくて。本当に大翔くんのおかげです。

自分の曲は、一緒に作ってくれたギターのアムニェカさんを始め、編曲協力で力を貸してくれた友人達がいて、みんなで一緒に作った「星座」です。そして、アルバムが完成した時には、他の楽曲のアーティストさん達も含めて、こんなにたくさんの方々と一緒にもっと大きな星座を夜空に打ち上げることが出来たんだって、すごくグッときました。

猫塚&zai
やったー!笑

ー「Virtual Re-Lation」や各楽曲、どういう人に聞いてほしいですか?

あざ丸
まず誰に聞いてほしいかで言うと、これピンポイントなんですけど。大翔くんのファンに聞いてほしいです。

猫塚
愛がすごい。笑

あざ丸
僕、大翔くんのこと昔から本当に尊敬していて。歌めっちゃ上手いし、動画もすっごく良いの作るし。 いろんなことに挑戦していて。だからこそ、たまに少し弱気になっている時には「いや、大翔くんが言ってるよりずっとすげえ存在なんだから、自信持ってほしいな」という気持ちになったりもします。

そんな中で、着実に大翔くんがでかい存在になって夢を掴んでいく軌跡を、彼のリスナーさん方に届けたい!見てほしい!って。オリジナル曲の「夜の果て」も歌詞に入れたりと、大翔くんファンの方が聞いて、解釈としてぐっと来ていただけるポイントが有るはずです。

それに、まだ知らない人にも「猫塚大翔の活躍とサクセスストーリーを見てろよ!」と届けられるように、自分自身が一ファンとして書いた曲なので、ファン仲間の方々にはぜひニヤニヤしながらお聴きいただけると嬉しいなと思ってます。笑

あとは、いろんな人に刺さる応援歌になったらいいなっていう風に思ってて。もう1歩踏み出したい時とか、新しい挑戦を始めたい時とか、ボルテージをあげていきたい時とか。今回はせっかく大翔くんと歌えるということで、ファンタジックな中でも普段よりアグレッシブさを前面に出した歌詞にしているので、やる気スイッチをいい感じに押したい時にぜひ聞いてほしいなって思ってます!

zia
私はバーチャルが好きな人だけでなく、普通に音楽が好きな人に聞いてほしいですね。個人的にバーチャル界隈の音楽好きは、決まった系統の曲しか好んで聞かないみたいなイメージがあるんですよ。

せっかくたくさんのアーティストが参加しているコンピレーションアルバムなので、いろんな人に手に取っていただきたいですね。そして好きなアーティストさんを見つけてもらえればなって思います。どこを食べても、なんかいいので。

普段、自分の自主制作作品は朝方のちょっと明るくなってきた薄暗い時間帯に聞いてほしいような曲を作っていますが、「ギャラリア」自体は自主制作とイメージが違うので、昼や夕方の明るいお日様が上がっている時に聞いていただきたいですね。

ー猫塚さんはどうですか?

猫塚
TuberとVRChatter。互いの音楽を聴く機会ってないので、アルバムを通して聞いた時に知らない音楽に出会ってほしいですね。あとはアルバムの制作中に、引退してしまった人がいらっしゃって。ファンの方に届けたいなというのも個人的にあります。

ー最後にリスナーへ一言お願いします。

zia
すり切れるまで聞いてください!

あざ丸
去年、自分のアバターをモデリングしていたサービスが終了しちゃって、引退を考えた時期もあったんです。けど、今こうやって素敵な場に出られてるのは、ずっと応援してくれたリスナーさんや友達の皆さんのおかげなので、本当に心から感謝してます。あと、こんなかっこいい曲もかけるようになったよ!と、大手を振って伝えたいな。

猫塚
今回バーチャル同士を繋げたいところから着想していますが、同時に本当に僕自身がバーチャル上で歩んできた道筋の1つでもあるんです。たくさんの縁でできています。現時点での猫塚の集大成と言っても差しつかえないと思っています。

また今回アルバムを購入しますと、100%アーティストに還元されるように収益分配されてます!アーティストの応援の意味もこめて、ぜひご購入ください。
3人
よろしくお願いします!

和気あいあいと、今回のコンピレーションアルバム「Virtual Re-Lation」と、自身の作品について語ってくれた3人。即売会での物理版「Virtual Re-Lation」はめでたく完売とのこと。これから手に入れたい人はデジタル版を手に入れよう。貴方がこのアルバムで新しい音楽に出会えますように!

<リリース情報>
【タイトル】Virtual Re-Lation
【発売日】2023年4月30日(日) リリース
【価格】税込2,500円(予定)
【配信ページ】https://linkco.re/Ns3gr5rF

<トラックリスト>
01.薫風 / HanJyuku Band
02.Constellation / 新海あざ丸 & 猫塚大翔
03.カタルシス / うさぎとミルクティー
04.Wake-up call / 警戒ブロオドキャストCHERRY
05.Who’s chef / CROWK
06.雨の子 / LUCAS
07.PhantomChain / PHAZE
08.莫迦の一つ覚え / UnChainer
09.ギャラリア(feat. 暁) / zia
10.dance dance dance / メタモエ
11.四季折々 / 猫塚大翔 

UnChainer

稲荷萌
・うさぎとミルクティー(篝 良樹メリッサ
CROWK
黒猫ノラ
警戒ブロオドキャストCHERRY
新海あざ丸
zia
蒼月まりか
橙ミャオ
ディンガー
猫塚大翔
HanJyuku Band
PHAZE
メタモエ
百合根
LUCAS

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柘榴石まおりんメタカル最前線デスク
メタカル最前線デスク/VRP Dance Studio副代表/CROWKファンクラブサーバ運営 ダンスや音楽をはじめとしたVRで活動するアーティストやクリエイターを応援したい!現場からのVRCポップカルチャーの魅力をお届けします