株式会社STPR。その名前を「すとぷり」ファンではないVRChatユーザーが聞いたタイミングは、おそらくGugenkaの株式取得・グループ参画のニュースではないでしょうか?
それ以外にも、ここ最近は「あの会社がグループ参画」といった形で名前を聞く頻度が増えているこの会社、「そういえばどんなところなんだ?」と思っている方も多いはず。そこで本記事では、実はVRChatとの縁もある株式会社STPRの概要と、2024年に入ってから加速する同社の投資事業の動向について解説します。
VRChat公式ワールドもあります。人気エンタメユニット「すとぷり」を運営する企業
株式会社STPRは、2018年6月創業の企業。エンタメユニット「すとぷり」運営のほか、さまざまな活動者のプロデュース事業、自主レーベル「STPR Records」の運営・ライセンス管理、ライブやイベントの企画・チケット販売、グッズやデジタルコンテンツの企画制作・販売などなど、幅広いエンタメ事業を手掛けています。
同社の看板である「すとぷり」は、2016年から動画配信サイトなどを中心に活動しているユニットです。メンバー全員がイラストで表現され、生ライブと握手会以外では顔出しを行わないのが最大の特徴で、直近では各メンバーの3Dモデルも運用されています。
YouTubeチャンネル登録者数は約276万人(2024年4月8日時点)。各メンバーの個人チャンネルの登録者数も合算すれば1100万人超。直近では公式スマートフォン向けゲームアプリ『すとぷりWith!!』のリリースや、初のアニメ映画化も決定しており、その人気は留まるところを知りません。
VRChatには縁がないように見えて、実は2022年6月4日に、公式ワールド「STPR World」を公開(ソーシャルVR「DOOR」と同時公開)。渋谷ヒカリエにあるSTPRオフィスを再現した空間に、ファンからは驚きの声が寄せられました。
XR・メタバース事業に本格参入!? GugenkaがSTPRグループに参画
そんなSTPRは2024年1月5日に投資部門を発足。「クリエイティビティと情熱で、世界をもっと楽しくする」というパーパス(目的)達成のため、M&Aやコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)事業の本格化を発表しました。
そこから、さまざまな企業の株式取得・関連会社化を加速。とりわけVRChatユーザーを驚かせたのは、3月1日付でSTPRが株式を取得し、STPRグループとなった株式会社Gugenkaでしょう。
Gugenkaは、VRChatの公式パートナー企業のひとつ。サンリオのバーチャル音楽フェス「SANRIO Virtual Festival」の制作・運営や、アバター制作アプリ「MakeAvatar」、デジタルフィギュアアプリ「HoloModels」を展開するなど、VRChatユーザーにはおなじみの企業です。そして実は、上記の「STPR World」の制作も手掛けており、以前から接点がある2社でした。
STPRによれば、Gugenkaのグループ参画はXR・メタバース領域へのチャレンジを見据えたものとのこと。STPR公式note記事からも、「メタバースは、これからさらに活動者が活躍する場を広げることになると思いますし、リスナーさんにとって学校や職場、自宅の「次の居場所」を創り、世の中にもっと楽しいを届けることができるものになると信じています。」と、メタバースへ可能性を感じていることがうかがえます。
加速する投資事業の行先は?
Gugenkaだけでなく、直近でSTPRは以下企業の株式取得、業務提携に乗り出しています。
- 3bitter株式会社:グループ参画。新規サービス開発パートナー、エンターテイメント業界におけるICT、AIの活用研究。
- コミックス株式会社:グループ参画。クリエイターやコンテンツのPRの強化など。
- ボンド株式会社:グループ参画。Vライバー事業へ参入。
- サニーサイドアップグループ:ブランドテック事業を担う株式会社サニーサイドエックスと業務提携。サニーサイドアップグループが企業広報向けXRスタジオサービスの窓口を、STPRがXR案件の企画・制作を担当。
- 株式会社eleven:新設企業。総合クリエイティブ事業「eleven studio」を運営。VTuber事務所「774inc.(現ななしいんく)」を立ち上げた土屋英明氏が代表に就任。
これだけ見ればわかるかと思いますが、とにかく多岐にわたって事業拡大を狙うような動きです。
ここから具体的にどのような事業展開につながるかは未知数ですが、少なくともメタバースに関して言えばすでに実績があります。もしかすると来年……いや、今年のどこかで、「VRChatですとぷりのライブ開催決定!」というニュースが飛び込んでくるかもしれませんね。
●関連リンク
・株式会社STPR(公式サイト/公式X)
・「総合エンタメプロデュースカンパニーを目指す“STPR”の今と未来について!【株式会社STPR】」(note)
・プレスリリース(投資部門発足/3bitterグループ参画/コミックスグループ参画/Gugenkaグループ参画/ボンドグループ参画/サニーサイドアップ業務提携/株式会社eleven設立)