2024年7月19日に発売予定のVRゲーム『ブレイゼンブレイズ』。開発元は、『ALTDEUS:Beyond Chronos』『DYSCHRONIA: Chronos Alternate』などのVRゲームを世に送り出してきたMyDearestです。
2024年1月には『MyDearest JAM 2024』も主催し、音楽を愛するVRChatユーザーの記憶に鮮烈に残る企業コンテンツとなりました。
特徴的だったのは、社内メンバーでの音楽ユニットがライブに出演したこと。βテスト真っ最中、これから発売予定のVRハイスピード乱闘アクションゲーム『ブレイゼンブレイズ』の音楽性も含めて、『MyDeaerst JAM 2024』の振り返りとMyDearestが力をいれる音楽体験について伺いました。
ミッション「ブレイゼンブレイズをより多くの人に届ける」
――『ブレイゼンブレイズ』、βテストも佳境ですね。現在の開発状況はどのような段階ですか?
BUSSAN 大変ありがたいことに非常に盛り上がっています。すでにプレイヤーの数は数万人規模になっており、皆様に沢山のフィードバックをいただきながらゲームがどんどんよくなっている状態です。
『ブレイゼンブレイズ』はスピーディーな対戦ゲームで、マップに存在するものは車だろうが高層ビルだろうが全てが破壊できる。そんな超人バトルが楽しめるのですが、そこに新しいアシストアイテムが加わって、りんごが食べれたり、パラソルで浮いたり、バズーカを撃って逆転したりと、パーティーゲーム感が強くなって来ました!当然ですが、今一番面白い状態だと思います!そしてそこに合わせて、サウンドもさらにさらに気持ちよく、テンションが上がる感じに進化してきました…!
ーー1月の話になりますが、『MyDearest JAM』を振り返って、みなさんいかがでしたか?
AZU 2人編成で出演するのは初めてだったのですが、めちゃくちゃ楽しかったです。業務をしながら、練習するのは大変でしたけど、達成感がありましたね。
今回、弊社ゲーム作品の楽曲を中心に歌ったのですが、観客の皆さんの反応をみて、「作品が愛されているな」と感じました。そんな作品を生み出していることを嬉しく思いますね。
tatmos ライブ出演後は配信を観ていた人や、同時視聴会場で観ていた社内の人に褒めてもらったこともあって、達成感がすごくありましたね。10年ほど前にはリアルでのライブ活動をしていたのですが、最近していなかったこともあって、人前で、しかもバーチャル空間でやるのは楽しかったです。バーチャルならではの独特の緊張感がありました。
BUSSAN 元々バンドをしていたので音楽は好きなのですが、『MyDearest JAM 2024』は個人的に、ファンの顔がみえたことが良かったですね。ゲーム制作って、作品のファンとコミュニケーションをとることがあまりないので。制作メンバーは特に。コールアンドレスポンスを含めて、観客のみなさんの反応が目の前で見られる機会は貴重でした。
ーーそもそも『MyDearest JAM 2024』はなぜ開催されたのでしょうか。ゲーム制作会社が音楽イベントを開催することは珍しいことだと思います。
BUSSAN まずビジネス面での課題からお話しますね。弊社は今まで数作品のVRゲームを制作してきたのですが、VRで、特にヘッドセットを持っているVRコミュニティへ向けての直接的なプロモーション活動が、僕が入社するまで弱かったんですよ。だからVRChatユーザーにしっかりとプロモーション活動していこうね、という計画を僕が立てました。
ーーその一環として、会社ワールドができたんですね。
BUSSAN そうです。弊社のオフィスを模したワールド『MyDearest Virtual Office』が好評で、このワールドを活用してイベントをしたいと考えたんですよね。より多くの人に弊社と『ブレイゼンブレイズ』を知ってもらうには、どうしたら良いか。音楽イベントが人がいちばん集まるよね、じゃあ音楽フェスをやろう!と2023年10月にプロジェクトをスタートしました。
でも音楽フェスって今VRChatでいっぱいあるじゃないですか。どうせやるなら、毛色の違うテイストでやりたいなって考えた時「ロックフェスしよう」ってなったんですけど、アーティストさんにお声がけする中で、ロック限定にすると狭まりすぎてしまうので、幅広いジャンルの方に出演いただるよう「JAM」という名称になりました。
ーーJAMに出演したアーティストに出演打診するにあたって、大事にした価値観はありますか?
BUSSAN 僕と当時ディレクターを担当してくれていたPONYOさんから見て、「音楽に向き合っている」と感じるアーティストさんにお声がけしました。打診前、実際にアーティストさんたちのライブに伺ったのですが、みなさん熱量があり、グループとしてバンドとして、VRChat上でオンライン演奏にも関わらず一体感を感じる方々たちでした。
――一体感とは具体的にどのようなものでしょうか?
BUSSAN 僕が考える一体感は、総合的な音の重なりや音の溜めが意識されているグルーヴ感があることです。VRChat上で演奏する際は、実際は自宅で一人で演奏していますよね。メンバーはその場に居ない。でも一体感を感じるアーティストたちは、全員がその場にいるように錯覚してしまう。
ひとりひとりが強いバンドだと 何人かがただ「一緒にやってるだけ」になってしまうんですよね。これは僕の考え方です。歌がうまい基準ってなんだと思いますか?人によって回答が異なると思います。
今回、終わってみて、観客のみなさんから「すごかった」という感想をたくさんいただきました。みなさんの期待を大幅にこえるイベントになったのは、アーティストさんの音楽性やパフォーマンスがよかったからに集約されると思います。
ーー私もライブに伺いました。出演者は私も初めて観た方々が多かったですが、とても盛り上がりました。
BUSSAN リアルで音楽をやっていた身からすると、初めてみるアーティストが多い中で盛りあがるのは不思議だなと思いました(笑)。フェスやライブハウスだとフロアが空いてしまったりするものなので。今回お声がけしたアーティストさんたちにお願いして間違いなかったと思っています。
巻きこまれた?!MyDearest社内ユニット『Azumos』
ーー出演したアーティストの中に社内ユニットがいたのも、特徴的でしたよね。
BUSSAN 僕が「お願いします」って頭をさげて出演してもらったんですよね(笑)。
AZU BUSSANさんのお願いをうけたのが、11月だったので「間に合うかな」という心配はありました。でも、個人的に作品の楽曲がめちゃくちゃ好きでどこかで歌う機会が欲しいなとは考えていたんですよね。カラオケにもありませんし。人前で歌える機会としても嬉しかったですね。
tatmos プロジェクトの主旨を聞いて、まず最初は「楽しそうだな」と。ただ、歌にあわせて演奏することは今までしたことがなかったんですよ。過去のライブ演奏はインストゥルメンタル作品が多かったので。で、まぁやってみましょうと始めて、11月末から2人で練習を開始したのですが、お互い多忙すぎて本番までに合わせて練習できた回数は3回ほどでした。
リハ―サルは1月に入ってからでしたね。初めて使用する機材や楽器だったこともあったのですが、本番の2週間前にやっと「この方向性でいこう!」と決めました。ギリギリでしたね(笑)。
ーーそれはなかなかヒリヒリするスケジュール感でしたね。ちなみに「方向性」とはどのようなものだったのでしょうか?
tatmos ゲームの世界観に合わせてちょっとダーク目に、と考えてみたのですが、原曲どおりのBPMよりも少しアコースティックよりにするほうがライブにあうね、とベストな速さを検討したり、息をあわせたりして詰めていきましたね。
AZU 自分の心地よいと感じるテンポ感があったのですが、 実際に歌ってみて気づいたのが、意外とテンポキープが難しい曲だったんですよね。歌っている間に、楽しくなってどんどん速くなってしまいました(笑)。仮歌をもともと歌っていた作品もあってレコーディングとライブでは違うなぁとも感じましたね。より感情が鮮明になって、その雰囲気を活かして歌えたと思います。
tatmos もっと時間があれば聴きこんで、より深く理解してから演奏したかったので、次があるならそこが改善点ですね。
①7days/星街すいせい(DYSCHRONIA: Chronos Alternateから)
②光芒/Asca(東京クロノスから)
③シオン/ウォルピス・カーター
④Star-t – the Albireo ver(ALTDEUS:Beyond Chronos Singing the Albireoから)
ーー今後もAzumosとして活動を続けるのでしょうか。そしてお二人にオファーは可能ですか?
BUSSAN 作品楽曲のカバーライブでしたら、可能なんじゃないでしょうか。終業後の時間の場合は個人的にオファーしてもらえると嬉しいですね(笑)。
AZU まだできあがったばかりのチームなのでこれから考えていけたらいいなと思っています。個人的にはバラードを歌いたいです。
tatmos 僕もバラード系をやっていきたいですね。Azuさんの歌唱で曲が引き立つところを聴いてみたいです。乞うご期待ということでお願いします。
『ブレイゼンブレイズ』の音楽性について
ーーいよいよ7月に『ブレイゼンブレイズ』が発売される予定ですが、『MyDearest JAM 2024』の会場ワールドは作品のマップデータから作られていましたよね。
BUSSAN ゲームの世界観の中でライブ体験できることを強みにしたワールドです。ステージは、ゲームのマッチングロビーかつキャラクター選択画面だったりします。
ーー『ブレイゼンブレイズ』の音楽にはどんなこだわりがあるんでしょうか。ぜひ制作に関わっているおふたりからお聞きしたいです。
AZU 『ブレイゼンブレイズ』は、フィールドに存在するものは街灯でも車でも大きなビルでもすべて壊すことができる&他のプレイヤーも思い切りぶっ飛ばすこともできるという、超人バトルが楽しめるゲームです。
プレイヤーの体験の質を上げるうえで、SEの役割がとても大切なプロジェクトだったので、開発当初からどんなテイストにするのか、どんな音で気持ちよさを演出するのかなどチームで細かく話し合ってきました。
銃の撃ちこみや、パンチなど力強さが必要なSEでより爽快感を味わえるように、各音のピッチ感、帯域、余韻など細かいところまで丁寧に調整しつつ、「このアクションが気持ちいい!!!」と思えるような音を意識して1つひとつ時間をかけて制作しました。攻撃する人、攻撃される人、それを見ている人でそれぞれ違うアプローチの音があるものも多数存在していて、面白いサウンド構成になっています。
チームで何度もサウンド全体のチェックをしては調整し、BGM、SE、キャラクターボイス、立体音響などプレイヤーの動きを邪魔せずに、闘争心を駆り立てられるようなとてもかっこいいサウンドになっていると思います。
過去作では主人公のボイスの鳴らし方や音作りでも没入感を演出していましたが、今作ではSEでも1人ひとりの主人公ウルトラプレイを彩れたらとてもうれしいです。
tatmos SFな空間と猛烈なバトルの緊張とスピード感、Questでは実現が難しいと思われるようなVR空間でのありとあらゆるマップ上の小物から巨大構造物まで破壊できてしまうといった心地よさ、一方、各ランナーの魅力あるセリフのやりとりや、ユーザーのコミュニケーションアイテムやサポートアイテムなどポップな感じもあり、生演奏も取り入れた音楽のインタラクティブな変化、ボイスチャットなど、それら盛りだくさんで贅沢な音の要素が美しくまとまった自然な音響がデザインできればと日々調整作業を進めています。
ーー最後にBUSSANさん何か読者にありましたら、どうぞ。
BUSSAN 個人的には、『MyDearest JAM 2025』もぜひやりたいなと思っています! フェス以外にも、VRChatユーザー向けのプロモーションイベントをもっとやっていきたいと考えています。でも『ブレイゼンブレイズ』が続かないと第2回はないので、ぜひプレイして応援していただければと思います。βテストも開催中です。最新情報は公式アカウントからお届けしますので、フォローしてもらえたら嬉しいです。
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BUSSANさん(@BUSSAN_8888)
MyDearest株式会社ではプロモーションにおけるデザインを担当しています。今回MyDearestJAM2024では、イベントオーナーとしてライブ自体の企画発案から進行管理、会場の一部のデザイン、PVの制作、プロモーションのデザインなどを担当しました。
AZUさん
MyDearest株式会社でサウンドデザイナーとして 効果音制作、BGM演出などで関わる。時々社内制作楽曲の仮歌もします。今は作曲のお勉強中です。
tatmosさん
MyDearest株式会社でテクニカルオーディオデザイナー・サウンドエンジニアとしてVR作品に関わる。
VRChatやResoniteの体操などに棲息しています。立体音響、音楽好き、新しいものや技術好き、たまに曲も作ったりしています。