「シュレディンガーの猫」をご存知でしょうか。オーストリアの物理学者エルヴィン・シュレーディンガーが考案した思考実験で、端的に言えば「観測するまで状態が確定しない」ということ。確認しなければ、存在するかもしれないし、存在しないかもしれない。箱の中にいるのは、三毛猫かもしれないし、ハチワレかもしれない……
そんな「シュレディンガーの猫」をテーブルゲームに落とし込んだのが「キャット・イン・ザ・ボックス」です!
手札からカードを出し強さを比べるトリックテイキングのゲームなのですが、独自の要素としてカードの色を宣言できます。つまり色がないのですが、色が4つに対して同じカードが5枚あります。場に同じ数字の同じ色のカードは出せないので、誰かしらがババを持ってしまうような形になります。
そんな「キャット・イン・ザ・ボックス」は世界的にも大変評価されており、日本ではホビージャパンから販売されています。
そして今回は、ホビージャパンの協力の元、バーチャルホビーストア「VazaR」から公式のVRアナログゲームとして登場します。価格は1500円でプレイ権利を1人購入すれば、インスタンス内全員で遊べます。
「一体どうなるの!?」となるゲームですが、流れが分かれば簡単に遊べるのでぜひ読んでいってください。
えっ?カードの色を自分で決めていいんですか?
ルールを説明するよりも前に、ゲームの流れに沿って「キャット・イン・ザ・ボックス」の醍醐味を伝えてみようと思います。
ゲームが始まると、各プレイヤーごとにカードが配られます。ネコが描かれた黒いカードですね。
ここから各プレイヤーが1枚ずつカードを出して、カードの強さを比べていきます。テーブルゲームをやっている人に向けて説明すると、いわゆるトリックテイキングと呼ばれるタイプの遊びです。
親を基準に順番にカードを出していき、ボードにトークンを置いていきます。一巡した後に1番強い数字のカードを出した人が勝ちです。勝利した人は親となり、最初にカードを出すことになります。順番を一巡するごとに1トリックずつ増えていき、手札のカードが1枚になるまで繰り返します。
ただし、数字以外にも大事な要素に色(スート)があります。一番最初に出したカードの色を基準(リードカラー)に、他の人も出さないといけません。
ところで、色が重要なのにも関わらず手元にあるカードは「黒」ですよね?
ここが「キャット・イン・ザ・ボックス」の真髄です。なんとカードの色を宣言して決められます。「シュレディンガーの猫」要素はカードの色にあります。
青の7と宣言したら、その時点で青の7なのです! 何を言おうとも青の7です!
場に出せるカードは4枚、でもプレイヤーに配られたカードは5枚!?
「カードの色を勝手に設定できるなら、色の意味がないのではないか?」と思う人もいるでしょう。ここで大事になってくるのは、4つのポイントです。
1つ目は「一度場に出たカードは二度は出せない」。場にあるボードは、いわばネコの観察ボックスです。一度場に出てしまったカードは、色と数字が確定してしまいます。
2つ目は「同じ数字のカードは5枚ある」。なんと色と同じ数字のカードが一致していません。場には4枚までしか同じ数が出せないので、使えないカードが出てきます。画像のケースだと6はもう出せません。手札が1枚になれば終了するので、1枚だけなら問題ないのですが、複数枚出てしまったら邪魔な手札となります。
3つ目は「基準となる色以外にカードを出したい場合は制約を掛けることで出せる」。ゲームが進んでくると、基準となる色とは別の色で出したい場面が出てくることでしょう。その後同じ色に出さないことを条件に、別の色で出すことが可能です。
例えば、基準となる色が赤だったときは、今後赤を出せない制約を課すことで別の色で出せるようになります。
ただし勝利するのは、基準となる色の中で1番大きい数字を出した人です。例外として、赤は切り札に設定されているので、他の色の数字が出ていても単独なら勝利となります。複数の場合は赤の中で比べます。
4つ目は「場にカードが出せなくなるとペナルティが発生する」。2つ目の要素から分かる通り、プレイしていると場に出せるカードがなくなる状況が起きます。カードを場に出せなくなるとパラドックス(逆説)となり、発生させたプレイヤーにペナルティが発生し、その時点で終了となります。ペナルティは、勝ち数の数だけ勝利点がマイナスとなるといったものです。
4つのポイントを抑えながらゲームを進めていくとボードのトークンがが埋まっていき、手札のカードが減ってくるとパラドックスが目に見えてきます。
いつ手元にあるカードが場に出尽くして使えなくなるのか分からない恐怖、カードの出す順番も流動的なのでギリギリまで状況が分からないハラハラ感。誰がパラドックスを引き起こすのかのチキンレースが開幕するのが「キャット・イン・ザ・ボックス」の終盤戦です。
一見難しそうですが、ゲーム内で見ないといけないのは手持ちのカードとボードが大半です。出すカードもボードを見れば分かるため、ゲームの流れさえ分かってしまえば意外と簡単に遊べます。
複数の駆け引きが盛り込まれたシンプルながらも奥深いゲーム
これまでの内容をまとめると、「キャット・イン・ザ・ボックス」は色を自由に宣言できるカードを1枚ずつ出していき、パラドックスを避けながらこなしていくゲームです。
実際は、複数ラウンドを繰り返していき、勝ち点が1番多い人が勝利となります。勝ち点は、トリックごとの勝者に1点もらえますが、他にもボーナスが用意されています。
このボーナスに関わる2つの要素が、「キャット・イン・ザ・ボックス」の駆け引きを加速させます。
1つ目は、「勝利数の予想」。1回のラウンド内で発生するトリックの勝利数を予想します。設定できるのは1〜3勝ですが、ラウンド終了時にはピッタリ当てないといけません。予想が的中するとボーナスの勝ち点がもらえます。ただ賭けをやるだけかと思いきや、実はゲーム内に影響力が大きいです。
ぴったり当てないといけないので、場合によっては勝ち数の調整が発生します。例えば勝ち数を1にした場合は、一度勝つともう勝てなくなります。1勝で上手く調整できればいいのですが、パラドックスの要素も絡んでくると相手が必ずしも最適解を出してくるとは限らないのです。勝利したくないけども、結果的に勝ってしまうことが起こりかねないわけです。
2つ目は、「ボード内の陣取りゲーム」。ボード内にある自分のトークンの隣接している数だけボーナスの勝ち点がもらえます。下記の画像だと惑星のマークをしたトークンが4つ隣接しているので勝ち点にプラス4点増えます。
ただし、ボーナスをもらえるのは1つ目に出てきた勝利数の予想を当てた人のみだけ。仮に1勝を予想した人でも陣取りのボーナスで稼げば、ボーナスがもらえていない3勝した人の点数を超える可能性もあります。なので、勝利数を低く見積もっても的中さえさせてしまえば問題ありません。
隣接する場所にトークンを置くことを意識すると、同じ数字もしくは近い数字で固まっていると有利と言えるでしょう。ですが、同じ数字のカードを持っているとパラドックスを引き起こす可能性が高くなってしまいます。一方で、低い数字のカードが中心に持っていても勝利数さえ確保して、陣取りのボーナスで稼げば勝てる見込みもあります。
パラドックスに加え、勝ち数予想や陣取りゲームは、単に数字が強ければ有利とならない深みを増す駆け引きとなっています!
この他にも、例外的な処理やルールもありますが、詳細はホビージャパンから公開されている動画をご覧ください。
「キャット・イン・ザ・ボックス」を遊ぶためには?
「キャット・イン・ザ・ボックス」をVRChatでプレイするには、バーチャルホビーストア「VazaR」で購入する必要があります。購入するとプレイ権利と特典が付いてきます。
1名が購入するだけで、他の人もプレイすることができるため、全員購入する必要はありません。また、8月24日から9月6日まで「キャット・イン・ザ・ボックス」を無料でお試し体験することができます。
VRChat版の「キャット・イン・ザ・ボックス」は「VazaR」にて1500円で販売されます。カードの色を宣言しカードを出すシンプルな流れで奥深い戦略。気になる人は、ワールドで無料体験もしくはVazaR LabのDiscordサーバーに参加してみてください。
●参考リンク
・キャットインザボックス紹介ページ
・VazaR
・ホビージャパンVR部公式サイト
・ホビージャパンVR部公式X