アバターの外見がどんな印象をもたらすか、日頃から気にしているソーシャルVRユーザーは一定数いるはず。中には、TPOに応じてアバターを使い分けている方もいるのではないでしょうか。
リハビリ界隈から様々な情報発信を行うYouTubeチャンネル「メタビリちゃんねる」が実施した、医療系VTuberの見た目がもたらす説得力や信頼度に与える影響についての調査は、このトピックについて参考になる情報を提供しています。本記事にてご紹介しましょう。
医療者アバターとそうでないアバターで説得力に差は出る?
今回の「メタビリちゃんねる」の調査では、「医療系VTuberによる動画配信」を、異なるアバターを用いて行うことによる説得力などの変化を見るものです。
動画に用いるアバターは、「白衣を着た医療者アバターなら説得力が増すのではないか」という仮説のもと、医療者アバターと非医療者アバターの2種類。動画の内容は、運動の重要性と身体活動を増やすアイデアを提供するもの。日常生活にいろんな運動を取り入れる大切さを説く、人によっては耳の痛そうなお話です。
それぞれの動画を研究協力者がランダムで視聴し、「動画の説得力」や「アバターに対する受容性」などを回答しました。今回の研究協力者は309名とのことです。
医療者アバターの方が説得力高め。アバターに慣れ親しんでいる人には効果大

回答の解析内容は上掲画像の通り、医療者アバターのほうが説得力が高く、アバターの受容性も高い結果に。「運動する自信」はアバターによる差が見られなかったものの、「お医者さんっぽいアバターだと説得力も受け入れも強まる」ことが見えてきます。


興味深い分析として、アバター経験者(VTuber動画をよく見ている、ゲームでアバターをよく使用している)かどうかで回答結果に変化が見られるかも見るサブグループ解析も実施されています。
こちらの分析結果は、「アバター経験者であれば説得力、アバター受容性ともに大きくなる一方、そうでない人は有意差が生じない」となりました。つまり、アバターに慣れ親しんだ人ほど、医療者アバターからは説得力を感じ、受け入れやすい、と言えるでしょう。
発信するときのアバター、一考してみるのもアリ?
これらの調査結果について、「メタビリちゃんねる」は以下のように考察しています。
医療者アバターを使うと医療系VTuber動画の説得力が高まるという結果でした。また、より細かくみると・・・
①全体的に、医療者アバターのほうが知識があり、信用できるように感じられた。
②アバターに慣れ親しんでいる人では、医療者アバターに行動を変える可能性を感じた。
③一方、アバター慣れしてない人達では、医療者アバターに行動を変える可能性や信頼を感じなかった。という結果でした。
医療系VTuberとして活動する際には、医療者の姿をしたアバターを使った方が効果的かもしれません。また、アバター慣れしてる人では、アバター動画のメッセージをより受け取りやすいのかもしれません。今回は医療系にフォーカスしましたが、基本的には提供する情報に適したアバターと使うとよい、ということではないかと思います。
これについては、学術領域などなにかしらに特化した情報発信を行うVTuber・バーチャル活動者にも当てはまるかもしれません。ソーシャルVRユーザーなら登壇イベント、あるいは接客系イベントにも当てはまりそうです。
思い当たるシーンに立つ予定のある方は、自分のアバターがどのように人に見えるか、その姿での発信がどのように受け取られるか、いま一度考えてみてもよいかもしれません。
●参考リンク
・「アバター選びで信頼度アップ!?VTuberの説得力は“見た目”で変わる!」(メタビリチャンネル note記事)
・出典論文「The Impact of Avatar Appearance on the Persuasiveness of a Short Video Encouraging Physical Activity: A Randomized Observational Study」
・メタビリちゃんねる(YouTube/Xアカウント)
「メタバースヘルスサーベイ2025」実施中!

上記調査を実施した「メタビリちゃんねる」の運営母体、三重大学医学部附属病院リハビリテーション科は、アンケート調査「メタバースヘルスサーベイ2025」を実施中です。
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