VRChat最新アップデートで、ステッカーなどの使用可否をインスタンス作成者が設定可能に。便利だけど懸念の声も?

3月27日配信のVRChatアップデートにより、様々な新機能が追加されました。

細かな改善のほか、VRC+加入者向け機能として、本格的な挙動の「カメラドローン」、動画撮影をする人にありがたい「カメラドリー」、そしてWebカメラだけで表情と上半身のトラッキングができる「Seflie Expression」など、VRChatがより楽しくなるアップデートが数多く盛り込まれました。

その一方で、一部ユーザーから懸念されるアップデートも存在します。それが「インスタンス設定の変更」機能。ワールドを使う側の人にとっては便利な一方、ワールドを作る人にとっては少し困るかもしれない新機能となっています。

本記事では、「インスタンス設定の変更」機能の実装でなにが起きているのか、そして現時点での暫定的な対策もあわせてお伝えします。

ステッカーやドローンの使用可否をインスタンスごとに決められる新機能。便利だけど、懸念もアリ

「インスタンス設定の変更」は、インスタンスを立てたユーザーが、そのインスタンス内にて以下機能の使用可否を設定できる機能です。

  • Emoji
  • ステッカー
  • Emojiやステッカーのペデスタル設置
  • プリント
  • カメラドローン

これらの使用可否は、ワールド作成者がパブリックインスタンスに対してデフォルト設定を決めることができますが、今回のアップデートによって、パブリック以外のインスタンスを立てる場合、インスタンスを立てる人が自由に設定できるようになります。さらに、この設定はインスタンスを立てた後でも自由に変更ができます。

一般的なユーザーであれば、「このインスタンスはイベント会場だからステッカーは使えないようにしよう」といった制御が自由に行えるため、かなりありがたい機能です。後から変更もできるため、状況に応じて使用OK・NGを切り替えられる柔軟性も魅力的かもしれません。

一方で、ワールド制作者の一部からは、この機能に対し懸念の声が見られます。というのも、様々な事情から「このワールドは絶対に景観を汚してほしくない」という意図で、使用不可のデフォルト設定を適用していたケースもあるためです。実際に、本アップデート配信後、一部ワールドの公開を取りやめる動きも確認されています。

ステッカーによる景観の乱れはもちろん、今回追加されたカメラドローンは、移動距離に制限のない飛行カメラとしても利用できるため、状況次第では「特定の人以外に見られたくないエリア」を見ることも可能です。こうした機能への制限は、個人ユーザーはもちろん、企業制作ワールドや主催イベントでも運用実例があるため、その制限をユーザー側から上書きできる本アップデートは、少なくない範囲に影響を及ぼす可能性があります。

3月28日公開の「Developer Update」にて、VRChat運営はこうした懸念をフィードバックとして受け止めており、「インスタンスに対する権限は誰がいつ持つのか」という根本的な設計思想について議論を進めている最中であるとコメントしています。

とりあえずステッカーだけ封じたい人向けの暫定対応

システム側にさらなる対策が施されるかは未知数なため、現時点では「インスタンス設定の変更」機能に対し、暫定対応を求められるケースもあることでしょう。

特に、まだVRC+加入者のみ使えるとはいえ、誰でも手軽にワールドの景観に干渉できるステッカーだけは最低限封じたい、という需要は多いはず。そんなステッカーへの暫定的な対策の一つに、「オブジェクトレイヤーの変更」が挙げられます。

方法は、Unity上でコライダーが存在するオブジェクトの「Inspector」を開き、「Layer」を(多くの場合「Default」になってるものを)「Interactive」に設定するだけ。こうすることで、対象オブジェクトにはステッカーが貼り付けられなくなります。

「Interactive」設定なし
壁を「Interactive」設定

上記画像の1枚目は「Interactive」設定が一切ない状態で、2枚目は壁に対してのみ「Interactive」設定を行った状態で、ステッカーを貼り付けた様子です。ご覧の通り、2枚目は壁だけステッカーが表示されなくなっています。理論上は、全てのコライダーに同様の設定を行えば、ステッカーがワールド内に貼られることはなくなります。

この手法は、公式の開発者向けドキュメントの中でも確認されているため、暫定対応としては有効と思われます。公式側の動きも注視しつつ、必要と感じた範囲で暫定対応を行うのが、現状ではベターでしょう。

●参考リンク
パッチノート(VRChat 2025.1.3)
Developer Update – March 27 2025

(検証協力:mystia777)