VRChatユーザーのぬこぽつさんが率いる、VR演劇「マクベス」の公演がいよいよ近づいています。こちらの演劇イベントは11月25~26日の2日間にかけて、VRChatにて計3回の公演が予定されており、ユーザーが約60名協力している演劇イベントとして、メタカル最前線でも記事として紹介させていただいております。
今回、11月22日(月)に本番前のゲネプロ公演が開催されるというお知らせを受けて、メタカル最前線もご招待いただき、さっそく行ってまいりました!
その様子の紹介を、観劇終了後の興奮がまだ醒めないままにお届けしたいと思います!
「かわいい」アバターで演じていく古典戯曲
実は、筆者はシェイクスピアの戯曲を観劇するのは初めてのことで、どのようなものかあまり想像ができないまま、プレビュー公演に臨みました。
ぬこぽつさん曰く、「アバター」という仮想の姿で、シェイクスピアの戯曲を役の上で演じる人格がどうなっていくのか、役の人格を凌駕できるのか、というのを追い求めていきたいということですが、実際に公演を観ていると演者さんが普段使っているアバターの特徴をもったまま、役の人格に移り変わっていくその姿がとても印象的です。
これもVRならでは、ということなのでしょうか。
シェイクスピアの四大悲劇のひとつである戯曲「マクベス」は、3人の魔女の登場から始まり、王殺しという禁忌を犯して呪いの道を進んでいくマクベスの姿を描きます。
劇中では、ともよろうさん演じる主役のマクベスは猫耳のかわいい美少女の外見をしています。戦い以外の場面ではスカート姿でさえありました。しかしその中身は紛れもなく、ふじよしさん演じるスコットランド王ダンカンから王座を奪ったマクベスそのものであり禁忌の道へ進みその栄光の裏にある、血なまぐさくもシリアスな物語を丁寧に丁寧に演じておられました。
公演前に、ぬこぽつさんが「公演中に喋っても、写真撮っても全然大丈夫ですよ~」と説明してくださっていたのですが、実際舞台が始まると、どのお客さんもすぐにマクベスの世界へ入り込んでしまい、会話や発言をする観客は、誰一人といなかったのです。
不穏な予言のシーン、そして戦闘のシーンも息を呑むものばかりでした。剣と剣がぶつかる効果音、凄惨なシーンの叫び声が劇場に響き渡ります。
これが演劇初心者が半分は含まれるというユーザーで作られている演劇なのかと疑いたくなるほどにクオリティと完成度が高く、100分という上演時間があっという間に過ぎ去ったような感覚を覚えます。それだけ集中して魅入ってしまっていたという証でもあるのでしょう。
演劇終了後、役者さんたちとお話をする機会があり、それによるとすでに6月から稽古が始まっていたらしく、主演格の皆さんは、平日も毎日2時間くらいは稽古をしていたそうです。そして本番前のプレビュー公演が、今までで一番うまくできた、と誇らしそうに語ってくれました。本公演まであと数日だから頑張るよ!との頼もしい言葉。その姿は、筆者にはプロの俳優さんにも負けないくらい輝かしく映りました。
ひとつの物事を、皆で力を合わせて実現させるためには、必ず時間や距離などのスケジュールなど障壁が立ちはだかります。しかしそんな障壁も関係なく、やりたい事ができるメタバースという場所なら、アバターの姿で年齢も性別も飛び越えて実現することができます。
今回のVR演劇はメタバースの未来の可能性を強く感じたものになりました。
VR演劇「マクベス」本公演、ぜひご覧いただきたいです。
※舞台写真ご提供:朝比奈あさひ/Koshiki/Sielu_co
●参考リンク
・VR演劇「マクベス」特設ページ
・ぬこぽつ(Twitter)
※上演時間は100分を予定