ソーシャルVRにおいての「アバター」は、作る人も使う人もアイデンティティに繋がる部分です。今回インタビューするアバター制作者は、自身の世界観を前面に活かしている1人と言えるでしょう。
水彩画のタッチで描かれたアバターは、まるで絵からそのまま飛び出して来たような見た目をしています。
そんなアバターを作ったホロウサさんにインタビューしてきました。先日販売されたアバター「アン」についてもこだわりポイントを聞いてきました。
開発に苦労した「ロボットに乗るアバター」
ーーVRChatを始めたきっかけはなんでしょうか?
相当前なので覚えていないのですが……アカウントは2019年には作っていました。デスクトップで軽く遊んでいて、バーチャルマーケット(以下、Vket)で遊んでいたのですが、アバターを作りたい欲が湧いてきて、封印していました。一年後に友達がVRChatを始めたのをきっかけに再開しました。
ーーそれで巨大メカアバターにつながるわけですね。見せてもらってもよろしいでしょうか?
細かいのは色々と出していたのですが、代表的なのは「フランケンドエイミー」&「シュヴァルツェアイン」でしょうね。ロボットとメイドで一体になっていて、アバター側にはUIが表示されています。あとはキャノピーを締めることもできますね。
ーーかっこいいですね。制作するのに時間がかかったと思いますが、どのぐらいかかりましたか?
2年程度でしょうか。ゲームの制作も並行してやっているので正確には覚えていないです。デバックが大変で、このアバター特有のバグもあったんですよ。バグを見つけるにはVRChatに持ち込まないといけなくて。地面に埋まっていたり、メカに乗っているときにアバターが変な動きをしまっていたりなどいろいろあって……
ーーメカのアバターがあっても、メカに乗っているアバターはそうないですよね。
このアバターが出るから他にも出るかなって思ったら、出てこなかったですね。
ーーそう出せないですよ(笑)
メカアバターも作りたかのですが、メカに乗りたかったんですよね。結構作るのに苦労するとも思ったのですが、それでも操縦したいなって思って作りました。
ーー前例がないからゼロベースで作るわけですもんね……
メカを作っている人は多くいるので、アバター自作交流会というイベントで、メカを作る知見を聞いていました。聞いていたおかげで作れたと思います。みんな同じ悩み方しているのですが、別のバグに遭遇しているですよね。
ーー(笑)
ちっちゃいアバターらしく表情豊かに
ーー次に作ったのがアンでしょうか。
そうですね。だいたい1年ぐらい掛けて作りました。
ーー1年前に知り合いましたけども、たしかにつくっていましたね。
もともとはラフな感じで作っていたのですが、二転三転しましたね。VketSummerに出展していたものが最初になりますね。
ーー頭のアンテナ以外は総入れ替えですよね。アバターのサイズすらも変わりました。
小さめのアバターってあるじゃないですか。サイズ的にはロポリこんとかまめひなたなどを目指して作っていました。コミカルなアバターになりますし、普段自分が使っているアバターもそのぐらいなので普段使いしやすいかなって思いました。
ーーハートの表情がドットっぽくなっているのもかわいらしいですね。
他にもローディングとかありますよ。設定としてロボットの子なので、ロボットらしい表現を入れたいと思っていました。他のアバターとの差別化がつながると思いますしね。小さい子のアバターは表情豊かなので目指して作りました。
ーーギミックはどういったものがありますか?
銃は撃てて、弾薬もあります。腰にあるポーチからマガジンを取り出して交換もできます。ここらへんのギミックは、PhysBoneやContactを使った初めての試みでした。
ゲーム制作の経験を生かして
ーーホロウサさんが作っているゲームを作っているとお聞きしました。ゲームのPVを見る限りですとエフェクトやUIが近いと思いますが、生かされていますか。
ゲーム制作の経験は生かされていると思います。かっこよく作ろうとしたところはありますしね。ほかには音も弾がレールガンということもあって、火薬っぽい音にはしないようにこだわっています。火薬を使わないので薬莢も出ません。
ーー後は腕のアームもありましたよね。
こういう感じで出せますね。
ーーかっこいい……先程話していたサブアームのリベンジだったりしますか?
「フランケンドエイミー」&「シュヴァルツェアイン」とは同じ技術を使っていますね。アーム出すアニメーションも2パターン用意しています。自分の長所はアニメーションを作ることだと考えていますので。
ーーゲーム制作者が作るアバターって感じですね。
製作途中なのでゲーム制作者ってのはなんだかですが……でも、普段ゲームを作っているときに引き出しが生かされてると思います。
ーー全部ホロウサさんのイラストのタッチで再現されているのもすごいですよね。
もともと自分の絵柄から離れないように作っていますね。
ーーデザインもオンリーワンなのにアニメーションもオンリーワンで、オンリーワンにオンリーワンを重ねているようなアバターだと思います。
そう言っていただいてありがとうございます。
ーー最後にメッセージがあればお願いします。
アンははじめてのキャラ単体だったので、挑戦できなかった部分を多くてめっちゃ時間がかかりましたけども勉強になりました。アバター改変しやすいようにも作ったのも挑戦ですね。いっぱい自分の子が見られるといいなって思っています。
自分の経験を最大限に詰め込んだアバターを制作しているホロウサさんの魅力が伝わったのではないでしょうか。アンのサンプルアバターはAvatar Museum 7に展示されているので、気になる方は試してみてください。