今を活躍するイラストレーターやモデラーと大丸松坂屋百貨店がタッグを組んでアバターを販売している大丸・松坂屋アバター販売公式。アバター・ファッション領域に参入してからこれまでに12体ものアバターを世に送り出してきました。
このたびメタカル最前線は、キャラクターデザイン、プロデュース、制作を担当した大丸・松坂屋とV社にインタビューを実施。
インタビュー企画の第2弾となる今回は、アバター『彩千華』と『愛結華』のキャラクターデザインを担当したイラストレーターのナナカワさんに『愛結華』のキャラクターデザインについてお話を伺っていきます。
対になるようにデザインした『彩千華』と『愛結華』
――前回の『彩千華』に引き続きアバターのテーマが「正装」とのことですが、今回はどのようにテーマを取り入れていきましたか。
ナナカワ 前回の彩千華を作るときにラフを4体分作ったのですが、『愛結華』のベースとなったデザインは、そのうち1体のものです。そのデザインを提案したところ、「彩千華と対になるような感じの衣装であり、2人セットでカワイイ」との評価をいただき、採用されました。
――たしかに双子や姉妹のような並びですよね。
ナナカワ 当初は女性と男性のアバターにするつもりだったとのことでしたが、『愛結華』のデザインが好評で、2体とも女性にする流れに変わりました。
――前回インタビューしたときは、正装とストリートを混ぜるのにいろいろ考えていたとおっしゃっていたので、今回も苦戦したのかなと思っていました。2体のアバターは別のアプローチで考えたのではなく、同時に生まれたようなものだったのですね。
ナナカワ ありがたいことに、スムーズに決まりました。
――『愛結華』と『彩千華』でセットになるように意識したとのことでしたが、2人に共通している部分と異なっている部分を教えていただけますか。
ナナカワ 彩千華はスカートだったので、シルエットを変えるために『愛結華』はパンツスタイルにしました。色は『彩千華』が黒で、『愛結華』は白にして対にさせています。細かい部分のデザインもかぶらないようにしました。
――衣装をデザインするうえで、こだわったポイントはありますか。
ナナカワ 普段よりも細部を意識しました。細かい柄もデザインしましたし、布の質感もモデラーに指定しました。
――パンツ部分も裾が広がるようになっていて、シルエットがいいですよね。
ナナカワ このシルエットは、デザイン画の段階で盛り込んでいて、しっかりアバターにも反映してもらいました。
――シューズ部分にも柄がありますけれども、こちらもナナカワさんが指定したのでしょうか。
ナナカワ 柄に関しては彩千華の衣装と共通させています。
――『彩千華』のときのインタビューによると、ツインテールと目の色はナナカワさんの好みだったとのことでしたが、今回のお団子と目の色もナナカワさんの好みということでよろしいでしょうか。
ナナカワ そうです。
――大丸・松坂屋アバターの方針として、デザインを担当しているイラストレーターの好みが強く反映されるようにしているのかもしれませんね。
ナナカワ 他のイラストレーターがデザインを担当しているアバターを見ましたが、アバターごとにデザインも違うし個性も出ていて驚きました。
――今回の『愛結華』では、デザインのモチーフに中華らしさが取り入れられています。ナナカワさんの好みで取り入れたのでしょうか。
ナナカワ チャイナっ子みたいなのが好きなので、私の好みで取り入れました。お団子も好きなので、合わせるとしたら中華の要素が入るのかなと思いましたので。
あとは、現実の正装では洋装が多いのではと思い、デザインの点で遊べる部分が多いだろうと考えたのもあります。
普段のイラストでは描かないような「表情」
――せっかくですので、『愛結華』の紹介映像で、動いている姿を見てみましょう
――普段のお仕事はデザインやイラストを描き上げて終わりだと思うのですが、自分が描いたキャラクターが動いている姿を見ることはありますか。
ナナカワ あまり多くないですね。
――動いている姿を見て、率直な感想を聞きたいのですがどうでしたか。
ナナカワ 自分が描いたそのままに仕上げてもらって、めっちゃいいですし、カワイイです。
――キャラクターデザイン以外の部分だとモデラーの裁量で決定された箇所もあるとのことですが、ナナカワさんのデザインや世界観をモデラーの方がどのように解釈していったのか見ていきましょう。たとえば付属アイテムのキセルはモデラーのアイデアだと思うのですが、どうでしょうか。
ナナカワ モデラーのアイデアですね。
――中華の要素に合わせてキセルにしたのでしょうね。
ナナカワ 前回の彩千華はぐるぐるメガネだったので、今回はすごくオシャレで素敵です。
――元気ハツラツな雰囲気の子がふと見せる大人な瞬間にはグッとくるものがありますよね。
ナナカワ 分かります。
――ヘッドセットを外しているときなどに使われるAFKモーションはどうでしょうか。
ナナカワ めっちゃカワイイ……。背景にこだわって写真を撮れば様になりそうですよね。
――分かります。表情も見ていきましょう。『愛結華』に設定されている表情には、ナナカワさんのキャラクターがするであろう表情に加え、バーチャル空間でコミュニケーションを図る際の感情表現に役立つ表情が含まれていると思います。イラストでは描かないであろう表情も盛り込まれていると思うのですが、ナナカワさんから見て表情の一覧はいかがですか。
ナナカワ コミカルな表情やデフォルメが利いている表情は、イラストだとやりません。マンガだと使われていると思うのですが、イラスト1枚で描くときは使うのが難しいですね。自分の子がやってみるとこんな表情になるというのは発見です。
――『愛結華』はVRChat向けのアバターなので、服を着せ替えるといったこともできます。ナナカワさんからみて、『愛結華』だったらこの服を着るかもしれないというイメージはありますか。
ナナカワ 今着ているのが正装なので、普段着ている服を見たいですね。私の好きなストリート服や、学生服などもいいと思います。
――ありがとうございました。
京都府出身、東京都在住のイラストレーター。音楽や書籍関連のイラストレーションを中心に、様々な分野で活躍中。イベントや店舗委託などでオリジナルグッズの展開も行っています。
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