『ロマンスの神様』などで著名な広瀬香美さんや、人気VTuberが多数出演する、JVCケンウッド主催のバーチャル音楽フェス「MAGICAL JUKE BOX」。6月15日、23日、30日にVRChatにて音楽ライブ（有料）が開催されますが、それに先駆けて無料で入場できる特設ワールド『JVC ケンウッド MJB バーチャルワールド』が公開されます。
これまでも「バーチャルマーケット」に出展し、話題のアトラクションを提供してきたJVCケンウッドですが、この特設ワールドは、その集大成とも言える空間となっています。本記事にて、その様子をご紹介していきます。
目次
赤い屋根の喫茶店で、オーディオの歴史とライブ中継を目撃
今回公開されたワールドは、Victorブランドのキャラクター「ニッパー」が登場する絵本『NIPPER – His Master’s Voice –』の世界観がモチーフ。優しいタッチと色合いが特徴的なのどかな自然が広がっています。
丘の上に建つ赤い屋根の家は「音楽喫茶」。小さくてキュートな見た目からは、こじんまりとした喫茶店を連想します。
……が、建物の中は教会のよう！ 鮮やかなステンドグラスも相まって、荘厳な雰囲気がただよいます。
この「音楽喫茶」は、日本ビクター蓄音器株式会社の時代から、約100年もの歴史を持つJVCケンウッドと、オーディオ製品の歴史について展示されたパビリオン的空間です。ニッパーと各時代のオーディオ機器の彫像がいくつか並んでおり、近づくと解説映像が再生されます。
最初は蓄音機から始まり、いまや手の中におさまる携帯音楽プレイヤーまでの変遷をたどる事ができます。隣に立つニッパーくんとのサイズの比較もおもしろいかもしれませんね。
奥には、蓄音機で音楽を流す体験ができるコーナーや、ライブ当日に中継映像が流れるモニターがあります。ライブイベント自体は有料ですが、無料でもライブの様子を鑑賞できるのはありがたい！
そして、教会のイメージが強いですが、喫茶店らしく老紳士なマスターもいらっしゃいます。マスターの前に置かれた無線機（これもJVCケンウッドの製品のひとつ！）は、触れるとプレイヤーに追随。「右トリガーを押しながら腕を上げる」ことで呼び出し、ワールド内で秘密の無線音声を聴くことができます。ぜひもらっておきましょう。
アトラクションも満載。あのリズムゲームも帰ってきた！
「音楽教会」以外にも、このワールドにはアトラクションが満載です。まずは「リズム湖」。桟橋から湖底へと移動してみると……
この蓄音機、見覚えがある方もいるかもしれません。この「リズム湖」には、過去の「バーチャルマーケット」に出展された、さまざまアトラクションが設置されています。「ゲッダンダンス」が踊れるコーナーや、かなりの難易度で話題になったリズムゲームなど、動画映え必至なコンテンツが山盛り。特にリズムゲームは、未クリアの方はぜひチャレンジしてみましょう！
鹿の姿も見える森の中では、日本各地の森の音をリアルタイム配信する「Forest Notes」というサービスを体験できます。緑がかった球体のエリアに入ると、北海道知床の森の360度映像が再生され、森林浴気分を味わえます。どこかに鹿の姿もあるかもしれませんよ。
こんなに近くで！？ チケット購入前に、ライブの座席を体験
広場では、JVCケンウッド製品や、「MAGICAL JUKE BOX」出演者のアクリルスタンドが展示されています。出演者アクリルスタンドは手に持って動かすことができるので、お気に入りのスポットで記念撮影もできますよ。
そして、この広場から「MAGICAL JUKE BOX」の体験エリアへ移動することができます。体験できるのは「座席ごとの見え方の違い」。「MAGICAL JUKE BOX」は、1000円のA席と、3000円のS席の2種類の”座席”が存在するめずらしいライブイベントなのですが、これを購入前に事前確認できるというわけです。
A席ではこんな感じ。ある程度遠巻きで、ステージ全体が見えます。一方S席では……
ここまで接近できます。この写真、ドローン撮影もフォーカス拡大も一切していません。こんな至近距離でライブが体験できるのはうれしいところです！ ライブ参加を検討している方は、ぜひ体験エリアで予習してみましょう。
バーチャル空間で「新しい音楽」をつくる
『JVC ケンウッド MJB バーチャルワールド』はまさに、これまでのJVCケンウッドのVRChatコンテンツの集大成ともいえる、気合の入ったワールドとなっていました。しかしながら「バーチャルマーケット」への出展から自社開催へと、大きく舵を切ったのはなぜでしょうか？ 「MAGICAL JUKE BOX」の座席の件も含め、筆者が参加した先行体験会にて、担当者の方にいくつかお話をうかがってみました。
――今回公開されるワールドは、常設になるのでしょうか？
JVCケンウッド担当者 常設を予定しています。「MAGICAL JUKE BOX」開催後は、音楽などの権利関係などでいったん閉じるのですが、できるかぎりすぐに再オープンしたいと考えております。
――これまで、JVCケンウッドさんは「バーチャルマーケット」に何度か出展され、さまざまな体験コンテンツを提供してきました。今回、自ら常設ワールドの公開に踏み切ったのはなぜでしょうか。
JVCケンウッド担当者 弊社はこれまで音楽に取り組み続けてきました。そして、新しい音楽を作り出せないかともずっと考えており、このバーチャル空間は我々が新たなチャレンジをできる場なのではないかと思っていました。
これまでの「バーチャルマーケット」での活動は、今回のような自分たちの常設ワールドとイベントを目指して取り組んできたものでした。おかげさまで、「バーチャルマーケット」の出展は好評だったこともあり、ユーザーの声に後押しされて今回のイベント開催となりました。
みなさまに楽しんでもらえるかどうかはもちろん、ずっと続けられる事業にできるかという点も確認するべく、実験も重ねながら準備を進めています。
――実際、JVCケンウッドのブースは毎回話題を呼んでいますよね。特に「バーチャルマーケット2023 Winter」の広瀬香美さんのバーチャルライブには驚かされました。
JVCケンウッド担当者 広瀬香美さんも、一度お呼びしてからずっと「出たい！出たい！」とおっしゃってくれています。なので、今回もメインとしてお呼びさせていただきました。
――「MAGICAL JUKE BOX」では、A席・S席という「座席の違い」が存在します。これは、バーチャルライブの中でもかなりめずらしい取り組みだと思いますが、この開催方式に至った経緯などを教えてください。
JVCケンウッド担当者 音楽ライブには、近くで観る楽しさもあれば、遠くから観る楽しさもあります。そして、「近い座席ほど値段が高い」というのは、現実の音楽イベントでは当たり前の話です。
我々はながらく事業として音楽ライブに取り組んできた会社です。「このバーチャル世界にも座席の違いがあってもいいのではないか？」と考えるに至りました。なので、今回は実験としてA席・S席を採用し、VRChatユーザーのみなさまが何を望んでいるのか浮きぼりにしてみよう、という思惑があります。
そのうえで、S席は「私自身が見てみたい席」でもあります。現実でのライブでもアーティストに近い席があると思いますが一般的なアリーナ席を越えて、舞台に上がれてしまうというのは、バーチャル空間ならではの体験ですから！
実際、先行体験会では、JVCケンウッドからは3名の担当者が参加していました。積極的に参加者との交流や質問受付をおこなっており、VRChat現地の肌感をつかむべく尽力していた印象です。
実験的な試みもありつつ、「新しい音楽」をめざしてバーチャル空間で取り組みを重ねてきたJVCケンウッド。その熱量が感じられる特設ワールド『JVC ケンウッド MJB バーチャルワールド』は、6月7日よりオープンとなります。その後に控えるライブもふくめて、ぜひチェックしてみてください！
ちなみに、ワールド内にはニッパーくんがきまぐれに現れます。見かけたらぜひお写真を！
●参考リンク
・「MAGICAL JUKE BOX」公式サイト
