予測不能の恐怖の館 ホラーイベント「響」体験レポート!【ネタバレあり】

一ねぇ、こんな話知ってる?

一山奥にあるお母さんと娘さんが住んでた館のお話。

一娘さんが病気で死んじゃったことを酷く悲しんで、それ以来お母さんは山で迷っている人を館に招いて…殺していたらしいの。

一警察が動いたこともあったらしいんだけど、捕まえる前に自殺しちゃったんだって。

一でね、ここからが変な話なんだけど。その山で迷うと、何故かその館に連れていかれちゃうんだって。

一まるでそのお母さんの怨念が残っているかのように…

暑い日が続く今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。気温も湿度も高く、うだるような夜が続く毎日。そんな日々にうってつけの肝試し体験がVRChatで開催されます!

その名は、体験型ホラーイベント「響」。今回は、このイベントに参加したメタカル最前線のホラー大好き3人組のレポートをお楽しみください。

体験レポート部分には根幹に関わるネタバレはありませんが、インタビューにはネタバレが含まれています。ご注意ください。

体験型ホラーイベント「響」とは

体験型ホラーイベント「響」は、ガールズバー「PixieNail」やバーチャルファッションブランド「ShelineCloset」のオーナーを務めるAsaLiさんが企画したVRChatで行われるホラーイベントです。

VRChatにはホラー体験を味わえるワールドが数多く存在しますが、視界ジャックやジャンプスケア(急に大きな音や恐怖画像を流す演出手法)で怖がらせるようなものが主流です。しかし、「響」ではそういった手法は使わず、可変的なイベントやワールドの雰囲気によって醸し出される恐怖や緊迫感で、参加者を楽しませてくれます。

またこのイベントは、以前にロールプレイ集団「RPCパラソル」で行っていたものをリメイクしたものとなっており、当時と比べ演出がパワーアップされています。

いざ会場へ!

今回はメタカル最前線のホラーワールド大好き3人組ひもの、いんでー、そして筆者(きんとと)が、「響」の先行体験会に参加しました。

意気揚々と会場となるワールドへ乗り込む3人。闇夜に包まれたワールドに到着すると、廃れた館が眼前に入ってきます。なんともおどろおどろしい雰囲気に、テンションは上々です。

そして現れた謎の男から「響」を体験する際の準備と注意事項を説明してくれます。その後イベントがスタートします。

この記事の写真は見やすいように明るくしています。実際はとても暗い場所になっています

謎の男の説明が終わると、館の中へ案内されます。3人が館へと足を踏み入れるとそこには案内人がいて、この館についての説明をしてくれます。

「3階建ての館の中には鍵が3本隠されている」

「20分以内に見つけないと脱出できない」

「入口に置いてある懐中電灯を使って館の中を探索してください」

20分で3本。暗い中でのスピード勝負になるか……。筆者はそう考えていましたが、そう一筋縄ではいきません。案内人は話を続けます。

「この館にはとても怖い主がいます。目は見えませんが声や物音に反応して襲ってきます」

「館の主が現れたら決して動かず、しゃべらないでくださいね……」

20分という短い時間で、広い館の中を鍵を探すために駆けずり回らないといけないのに、そんな恐ろしい者が館を徘徊しているなんて……。そして、館の主に捕まった者は、牢屋に一時囚われてしまうとのこと。捕まらないことがやはりクリアの要でしょうか。さらに、館の主の他にも脱出を妨害してくる存在がいるらしいです。この館、魑魅魍魎に溢れています。

一通りの説明を受けたチームメタカル。下へ続く階段へ進んでいきます。

「ガチャ」

階段を下りた刹那、廊下に鳴り響く鈍い音。通ってきた道に鍵をかけられてしまいました。鍵をかけたのは館の主か、またはさっきの案内人か。どちらにせよ、もう後には引けません。チームメタカルは奥へと進んでいきます。

少し進むと目の前には懐中電灯が並べられています。先ほど案内人から説明があった懐中電灯です。各々1本ずつ持ち、先へ進んでいきます。3人は、暗く不気味な廊下を懐中電灯の明かりだけで進んでいくシチュエーションにわいわいと盛り上がっています。

「ヤダー 不気味不気味ー!」

さらに進んでいくと、戸が現れ、部屋へと繋がっています。

真っ暗な部屋の中はボロボロの壁に囲まれ、ほこりを被ったつい立てやタンスなどの家具が並び、ゴミが散乱しています。3人は鍵を探すため、部屋の四隅やタンスの戸の中など暗く目視ではわかりずらい中を、懐中電灯の光を頼りに捜索しました。

この時3人は、完全に気を緩めていたのでしょう。お互いに声をかけつつ、談笑しながら探索をしていました。それが大きなミスであったことに気づかずに……。

突如、鳴き声のような耳につく嫌な音が館に響き渡りました。大きな音を立てる”ナニカ”が近づいてきます。しかし、探索とおしゃべりに夢中になっていた私たちは気づいていませんでした。

“ナニカ”の声は徐々に大きくなっていきます。私は他のメンバーに声をかけましたが、あまり気にしていませんでした。いま思うとなんと不用心だったのでしょうか。

そしてついに姿を現しました。黒く、ボロボロの布を被った、大きくもか細い異形のナニカ、館の主の姿が。

館の主は、すぐ近くにいたひものに襲い掛かります。持っている大きな鎌を振り下ろすとひものは姿を消しました。必死の声かけも虚しく消えた仲間。筆者といんでーは部屋を出て必死に逃げました。廊下を出て奥へ奥へと進んでいきます。長い廊下を走り、もう安心かと後ろをふりむくとそこには”誰も”いませんでした。いんでーも逃げ切れなかったようです。

2人とも捕まってしまい、1人になってしまった筆者。元の部屋に戻るのは危険と考え、逃げるように3階へと進みました。

賢明な読者の皆さまであれば、この時の私たちのミスにお気づきかと思います。案内人の忠告を思い出しましょう。

「この館にはとても恐ろしい主がいます。目は見えませんが物音に反応して襲ってきます。」

「館の主が現れたら決して動かずしゃべらないでくださいね……」

そうです。動かずしゃべらず、が正解だったのです。

しゃべって、騒いで、逃げていたチームメタカル。スリーアウトです。そして、この行為がイベント終了までアウトだと気づくことはありませんでした……。

さぁさぁ、ホラー大好きドタバタ3人組はこのあと鍵を3本見つけ出すことはできたのか?館の主から逃げ延びることはできたのか?その結末は……!!

とても多くのネタバレを含んでしまうため、この記事でのレポートはここまでとさせていただきます。ここから先は、ぜひご自身の目でお確かめください!

企画者インタビュー

体験を終えた後、本イベントの企画をしたAsaLiさんへお話をお伺いしました。

──今回、体験型ホラーイベント「響」は、過去に開催していたものをリメイクしたとのことでしたが、リメイクに至った経緯などありますか?

AsaLi 4年前のVRChatには、「中に人が入ったタイプのホラーイベントは存在せず、絶対に需要があるはずだ」と考えたことがこのイベントを始めるきっかけでした。今回のリメイクについては、現在制作中の体験型ホラーイベントの前段階として実施することを考えたためです。このような大きな反響があるとは予想しておらず、ホラーというジャンルの持つ魅力を再認識させられました。

──演出やワールド制作など響を企画するにあたって特に力を入れたところは何でしたか?

AsaLi Worldについてですが、環境音をローカル設定にすることで、「私には聞こえているのに他の人には聞こえていない」という心理的な不安を煽ることを意図しています。多くの方は途中で「この音はローカルか」と気づくのですが(笑)。

演出に関しては、Worldのギミックが非常にシンプルなため、館の主が出現するタイミングなど、探索者を観察しながらイベントを進行させています。いわばマンパワーに依存しています。

──視界ジャック/ジャンプスケアを使わずに企画を行おうと思った理由は何ですか?

AsaLi 私自身がテストプレイをした際、あまりにも怖くて進められなかったため、このような形にしました(笑)。

また、ジャンプスケアや視界ジャックによる恐怖と、日本のホラー特有のじんわりとした恐怖は異なるものです。じんわりと怖さを感じさせるホラーを目指したため、視覚的に驚かせる要素は排除しました。

──これから体験される方へメッセージをお願いします!

AsaLi 私のような怖がりでも、楽しさが勝るイベントとなっています。ホラーワールドに慣れている方には物足りないかもしれませんが、それでもゲームとして楽しめるシンプルな作りになっているため、ぜひ心置きなく楽しんでください。どうか無事に生還してくださいね。

──えっ?

毎回体験が変わるので共有するのもあり!

ワールドの作り、ホラー体験、没入度、どれを取っても大満足なイベントでした。

会場となるワールドは雰囲気作りがとても上手く、これから良くないことが起きるんだと思わせてくれる造りになっていました。ワールドに入ってすぐ目の前に見える館は照らされた月明かりによって怪しく光り、私たち来訪者を誘っているかのようです。

次に、このイベントの1番の売りであるキャストがお化け役を務めるシステム。視界ジャックやビックリ要素といったギミックで脅かすのではなく、人が可変的に行うことによってリアルなお化け屋敷の雰囲気を醸し出していると感じました。

館内は、筆者たちのように自由に動き回ったり、二手に分かれることが多く起きるかと思います。そのため、キャストもいつどこで襲い掛かってくるか変えることができ、最高のタイミングで接近してきます。つまり体験する人によって、毎回違うアプローチになり、都度異なった体験をすることが可能です。

また、館の主役の方それぞれに演技や演出を一任しているようで、誰がその時の担当になるかによっても体験が変わってきます。イベント後に「響」を体験した別の人と感想会をするのも面白いかもしれません。

ストーリーモードの実装も今後あるということで、体験の没入感はさらに高まることでしょう。

雰囲気バツグンのワールドと可変的なホラー演出の2つから生み出される「響」への没入感。メタカル最前線のホラーワールド大好き3人組は大満足でした。

みなさまもぜひ、体験型ホラーイベント「響」に参加してみてください。体験には事前応募が必要になります。AsaLiさんから応募フォームのお知らせが出ますので、ぜひともチェックを!

クレジット

スタッフ
企画・統括:AsaLi
ワールド制作:リリィ♬
動画制作:SHOOTERS LOUNGE運営チーム
ロゴ制作:SuiHou/翠峰
フライヤー制作:いゆい

協力グループ
PixieNail
Carat
PARASOL
Dino Diner
喫茶BlueLounge
SHOOTERS LOUNGE
VirtualMercenaryGroup
ANEYA

●参考リンク
AsaLiさん(X)