VR部門「Venice Immersive」ノミネート作品発表! 今年もヴェネツィア国際映画祭がVRChatにやってくる

8月31日~9月2日に実施される世界三大映画祭のひとつ「第79回ヴェネツィア国際映画祭」のVR部門「VENICE IMMERSIVE 2022」の公式ノミネート作品が発表されました。日本からのノミネート作品は、伊東ケイスケ監督による「Typeman」作道雄監督による「Thank you for sharing your world」の2作品となりました。

また、昨年に引き続き今年も同部門のコンテンツの一部はソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」にてオンラインで体験できるとのこと。今年は、約30のワールドを公開するほか、2つの特別イベントの実施を予定しています。

さらに、今年の「サンダンス映画祭」で封切を行い、今月には大手放送局HBOの配信サービス「HBO Max」で配信がスタートした全編VRChatで撮影され話題を呼んだJoe Hunting氏によるドキュメンタリー作品「We Met in Virtual Reality」の上映会も行います。VRChatでのイベント参加方法や詳細は、後日の発表となります。

ヴェネツィア国際映画祭とVR・メタバース

ヴェネツィア国際映画祭といえば、カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭と並び世界三大映画祭のひとつとして知っている人も多いのではないでしょうか。世界最古の国際美術展である「ヴェネツィア・ビエンナーレ」の1932年に行なわれた第18回展の際に、イベントの映画部門として開催されたことを起源とする歴史ある映画祭です。

同映画祭にて、VR・xR関連の部門が新設されたのが2017年。当初は、イタリアのラッヅァレット・ヴェッキオ島で行われていたものが、新型コロナウイルス感染症拡大等の影響を受け、2020年より「Venice VR Expanded」をスタート。それより、3年連続で、「VRChat」や「VIVE PORT」など各種VRプラットフォームを用いたオンライン参加可能な体験を提供しています。

ワールドの制作は、世界最大級の複合イベント「SXSW」のVRChat会場制作などでも知られるフランスのVRrOOm社が担当しています。

同VRChat会場およびVRプログラムへは、オンラインで参加することが可能で、その場合には、特定のチケットを購入し、「special Venice Immersive subscription」(Venice Immersive特別会員)になる必要があるとのことです。チケット情報その他は、近日中に公開されるとのことなので、公式サイトにて最新情報をチェックしましょう。

「Venice Immersive」ノミネート発表! 日本人監督作品は?

そして、本日7月28日に同映画祭のVR部門「Venice Immersive」のノミネート作品が発表されました。今回、コンペティションに入選した作品は、すべてで30作品。うち2作品が、日本人監督による作品となりました。

「Typeman」- 伊東ケイスケ監督

まず、紹介するのは伊東ケイスケ監督による「Typeman」。同作は、WOWOWとCinemaLeapが共同製作したVR演劇作品。同制作チームは、これまでも「Beat」「Clap」の2作品でノミネートを果たしており、今年で3年連続の入選となりました。

同作の特徴は、演劇型のコンテンツである点。実際に「VRChat」を用いてアクター(演者)がリアルタイムに実演し制作したとのことです。VR演技指導&アクターには、VRプロアクターチーム「カソウ舞踏団」の団長としても知られるYOIKAMI(Dramaturg)氏が参加しているほか、VRChatサポーター&コーディネーターにタナベ氏、テクニカルサポーターにヨドコロちゃん、VRサウンドエンジニアにらくとあいす氏とVRChat日本コミュニティになじみのある名前が並んでいる点も注目です。

詳細プレスリリース

「Thank you for sharing your world」- 作道雄監督

次に、作道雄監督による「Thank you for sharing your world」です。こちらは、出版社「講談社」と3DCGアニメーション制作会社「ポリゴン・ピクチュアズ」の合弁会社として2017年に設立された制作スタジオ「講談社VRラボ」が企画・制作を行った作品。VRという新しいメディアで最適なストーリーテリングを探求することをミッションにしているとのことです。

本作では、盲目の少年が見ている世界をVRで表現することに挑戦。「目の見えない人は実は想像力豊かに色鮮やかな世界に生きている」というインタビューをきっかけにオリジナルストーリーを創作、盲目の少年の想像力によって広がる美しい世界をCGアニメーションとインタラクションで実現したといいます。

詳細プレスリリース

なお、受賞作品の結果発表は2022年9月10日に行われる予定です。

●参考リンク
プレスリリース(英語)

ABOUT US
アシュトン「メタカル最前線」初代編集長
2021年3月より「VRChat」はじめソーシャルVR/メタバースの魅力を発信するメタバースライターとして活動。週100時間以上仮想空間で生活する「メタバース住人」として、AbemaTV「ABEMA PRIME」、関西テレビ「報道ランナー」、TBS「サンデー・ジャポン」ほか多くのメディア取材を受ける。2022年4月に「メタカル最前線」を創刊。