VRChatのベータテスト(日本時間3月13日公開)で、Webカメラを使ったデスクトップでのトラッキング機能が公開されました。VTuberなど、動画や配信で活動している人にとって、この機能は非常に気になるのではないでしょうか。
この記事では、Webカメラでのデスクトップ・トラッキングの利用方法と、OBSと連携した動画・配信への活用例を紹介します。
なお、この記事では、Webカメラが使用できることと、OBSの基本的な操作ができることを前提としています。
Webカメラでのトラッキングを有効活用してみよう
まずは、Webカメラでのトラッキングを使えるようにするまでの工程を説明します。
VRC+に加入しよう
Webカメラを使ったトラッキングは、執筆時点ではVRChatの有料サブスクリプションサービス「VRC+」加入者限定の機能です。将来的な一般開放も検討されていますが、現時点ではVRC+への加入が必要です。
なお、この記事はVRChatの初期設定が完了していることを前提としています。しかし、今回のトラッキング機能でVRChatに興味を持った人も、VRC+に加入すれば、通常は必要なアバターアップロードの条件を容易に満たせます。
VRChatに興味はあるけれど……という人は、この記事と以下の記事を参考に、VRChatのアカウント作成やアバターのアップロードを検討してみてください。
VRC+への加入方法は、使用しているデバイスによって異なります。VRChatのメニューからVRC+の項目を開き、該当のストアにアクセスするのが分かりやすい方法です。

ベータテストに切り替えよう
執筆時点では、Webカメラを使ったトラッキングはベータテストでのみ利用可能な機能です。この記事を読んでいるタイミングによっては、ベータテスト画面への切り替えが必要です。
ベータテストへの切り替えは、Steamクライアント画面から「ライブラリ」→「VRChat」を選択し、表示された画面で歯車マークを選択します。

歯車マークから「プロパティ」を選択。

ベータの項目から、「ベータへの参加」の項目をクリック。ベータテストを実施している場合は基本的に「open-beta – Open Beta」と表示されるため選択しましょう。オープンベータをやめたい場合は、「なし」に戻せばOKです。

トラッキング機能をONにしよう
VRC+に加入し、ベータテストのバージョンに切り替えたら、メニューの設定から「トラッキングとIK」→「フェイストラッキング」→「セルフィーエクスプレッションを有効にする」を有効にします。

デスクトップの画面に、新たに自身のアバターが右下に表示される状態になれば完了です。

この機能は、Webカメラに映し出された自分の動きを捉えてアバターを動かします。そのため、カメラから身体が外れると、トラッキングが途切れてしまいます。Webカメラは、できる限り広角のものを用意すると良いでしょう。購入や買い替えを検討している人は、カメラが広角であるかを考慮してください。

使用感としては、手や目の動きを含めて全体的に捉えられますが、手の動きが速すぎると捉えられない場合があります。
トラッキング範囲は胴体のみにすることも可能です。「Selie Expression Also Moves Hands」(執筆時点では未翻訳)をオフにしてください。
アバターに設定した表情も使用できます。デスクトップでは、F1キー以降のキーに割り当てられているので、試してみてください。リングメニューに表情を設定している場合は、Rキーから選択できます。

なお、トラッキング範囲は上半身のみです。そのため、しゃがむ動作などの下半身の動きを用意しておくと、表現の幅が広がるでしょう。
VRChatのカメラ機能を学んで、動画や配信に活かそう!
ここからは、VRChatのカメラ機能の一部を使い、VRChatの動画や配信に活用する方法を紹介します。
VRChat側のSpout設定
VRChatで動画や配信をする場合、特にデスクトップ環境ではSpoutの利用が重要です。メニューからカメラを起動し、「カメラのモード」→「ストリーム」を選択します。

さらに「Spoutストリーム」をオンにすれば設定完了です。オンにしている間はカメラを閉じてもそのままカメラの画面が配信の画面に表示されます。

OBS側のSpout設定
次にこのOBSにSpout経由での映像を取り入れられるようにしましょう。プラグインの「obs-spout2-plugin」をこちらのサイトからインストーラー経由でインストールしてください。

インストールが完了すると、「Spout2 Capture」がソースの選択肢に追加されます。

VRChat側のSpout設定がONになっていれば、ソース選択画面に「VRCSender1」が追加されるので、選択してOBSに表示できます。

Webカメラのトラッキングを含めたOBSの使用例
実際の動画・配信を想定した使用例をいくつか紹介します。
自分の姿と風景両方映し出したい場合
自分のアバターと背景の両方を表示したい場合は、「セルフィーエクスプレッションを有効にする」をONにしたうえで、VRChatのウィンドウをソースとして指定します。これにより、上半身と自視点の両方を表示できます。ワールドを紹介したいときなどにオススメです。

カメラを自由に動かして構図を決めたい!
VRChatのカメラは、レンズの位置を自由に操作して表示される部分を変えられます。


レンズの位置を操作するには、カメラを起動した状態でマウスホイールを押し込み、WASDキーで移動します。マウスでレンズの角度も変更できるため、高い場所に映したい場合はマウスを上方向に動かして角度を調整します。ただし、移動できる距離には制限があります。

レンズを移動させると、カメラはその場に固定されます。そのため、自分が移動してもカメラに映るようにするには、カメラの「アンカー」にあるボタンをクリックしてください。カメラの位置がリセットされて、自分が移動してもカメラが移動するようになります。

また、自撮り棒のように自分とカメラの位置関係をそのままに移動したい場合は、「アンカー」を「ローカル」に設定します。散歩のような構図に使いたいときにどうぞ。


構図を決める際は、ズームにも注意。デフォルトだとかなり広角なため、顔が歪んで見えることがあります。


映したい構図によってどの程度ズームするかは変わってきます。ただ人を映す場合は、レンズの位置を少し遠くに置いて、カメラ右端にあるバーを上げ、少しズームしておくといいでしょう。

透過を使って凸待ちや雑談配信をしたい!
VRChatのカメラ機能には、マスク機能があります。この機能を使うと、アバターなどの透過素材をOBSに出力できます。この機能を活用すれば、VRChatのアバターを使って雑談配信などができます。設定するには、カメラの「マスク」から「ワールド」をOFFにします。


なお、「ワールド」をOFFにすると、他のアバターもカメラに映ります。この機能を活用すれば、凸待ちコラボをワールド内で簡単に行えます。
またこの透過を活用した方法は、VRChat以外のゲームなどさまざまな活用ができます。ただし、この透過機能は、VRChat以外のゲームなど、さまざまな用途に活用できます。ただし、VRChatはアンチチートサービス「EAC」が使われており、同じEACが使われているゲームは同時起動できません。そのため、ゲームタイトルによっては、今回紹介した方法ではできない点は留意してください。
この他にも、カメラ機能にはフォーカスなど、さまざまな機能があります。詳細については、以下の記事をご覧ください。