ツクルノモリアバターは何故再始動できたのか 担当者が語った「反省」と「次のステップ」【VRChat】

2025年10月にツクルノモリから出された「Re:START」宣言。

以前からツクルノモリを知っているVRChatユーザーからすると、「アバターの期間限定販売を繰り返しているが、新展開はないのか?」と思う人もいるはずです。

2024年に一時販売休止を宣言、そして今回の再始動宣言。実を言えばツクルノモリは2019年から動いている7年目も見えてくる老舗なのですが、なぜ一度事業を止めないといけなかったのか。そして再始動ができた背景に何があったのか。

一般販売再開と公式ワールド『Tsukurunomori Avatars Garden』公開に合わせ、3Dモデル事業の担当者にその裏側を聞きました。かなり赤裸々に、正直な反省と再スタートへの展望が伺えたのでお伝えします。

アバター試着だけではない、コミュニティの「拠点」を目指したワールド

まずは、今回の再始動に合わせて公開された公式ワールド『Tsukurunomori Avatars Garden』の様子を紹介します。

ワールドには、これまでに販売されてきた21体のアバターに加え、Android対応された4体、そしてカラーバリエーションが用意されている『まりも』が一堂に展示されています。 もちろん、その場で試着ができるほか、気になったアバターがあればBOOTHの販売ページのリンクが置かれているため、アクセスもできるといった作りです。

そしてこれまでは定期的に期間限定の「再販」を繰り返していた販売形式が、今後は「恒常販売」へと切り替わります。つまりいつでもここに来れば、ツクルノモリのアバターたちに触れられて、購入まで行けるようになったわけです。

Questやスマートフォンのユーザーでも快適に過ごせるよう、デバイスごとに展示内容が最適化されています。 

また単にアバターが並ぶだけのいわゆる「アバターワールド」としての機能だけではなく、VRChatにおけるツクルノモリの歴史をまとめたスペースや、ゆったりと過ごせるチルアウトスペースも配置されています。

コミュニティで集まった際に必要となる要素を一通り揃え、「交流の場」として機能するワールドを目指した作りになっているのが印象的です。

ファンの期待に応えるため、「場」を届けるために「Re:START」

ここからは事業の担当者に「Re:START」宣言以降のツクルノモリについて伺いました。

──休止を経て今回再始動となりましたが、これはどういった背景があったのでしょうか。

正直に申し上げますと、社内では「従来の展開のままでは事業として継続していくのが厳しいのではないか」といった判断がありました。ただその後、2024年7月、12月、2025年7月に限定販売を行ったのですが、特に2024年12月の売上が、事前に想定していた数値よりも伸びまして……

──正直な話ではありますね……2024年夏以降にユーザーが増加の恩恵や支持が数値として見えたと。

そこで、会社の上層部に改めてアバターを見てもらったんです。そうしたら、「プロダクトを届ける仕組みが追いついていなかったのではないか」という話になりまして。仕組みを整えて、改めてユーザーと向き合えばしっかりとお応えできるということで、今回の販売再開に繋げることができました。

──では、どのように売り方を変えたいと考えていますか。

以前の活動は、定期的に新作をリリースして『モノ』を届けることが中心でした。当時は、アバターというプロダクトを販売することに特化しており、その先のユーザー体験やコミュニティ作りについては、十分な仕組みを整えられていなかったのが正直なところです。

今回の再開では、事前に公式Discordを開設しました。サーバーには既存のファンや11月に行った数量限定販売でお迎えいただいた新しいユーザーを招待し、現在は1,000人を超える方々が集まって活発な交流が続いています。

また新たに11月に既存アバターの数量限定販売を行いました。こちらは想定していた売上目標を早期に達成することができました。

数字としての結果はもちろんですが、何より多くの皆様がツクルノモリの再始動を待っていてくださったという熱量を肌で感じられたことが、現在実施している一般販売に繋がる大きな自信となっています。

──「アバター」を売るだけではなく、「場」を届けるために動いていると。

まさにその通りです。今回のアバター販売再開を検討したときに、改めて「1人のVRChatユーザー」として振り返ってみたんです。VRChatの楽しみ方は人それぞれですが、根底にあるのは「自分のお気に入りの姿で過ごしたい、誰かとその体験を共有したい」という想いではないかと考えました。

そのためには、単にモデルを販売するだけでなく、ユーザーの皆様がその姿で活動できる場所や、コミュニティを盛り上げるための企画が必要です。そうした「活動をサポートする環境」を整えることで、ブランドへの愛着や信頼を高めていただき、その結果としてアバターを手に取っていただける。そんな健全なサイクルを築いていきたいと考えました。

まずは常駐できる場所をワールドやDiscordサーバーで作って、そこでユーザーの皆様の声に耳を傾けながら、公式イベントの開催や、季節ごとの活動に合わせた衣装・アイテムの充実を図っていきたいと考えています。

先日開催した『ツクルノモリ集会』のように、皆様がアバターを楽しみ、交流できる「機会」を継続的に作っていくことで、ブランドの価値を感じていただき、その一環としてアバターを手に取っていただけるような流れを築いていきたいですね。

──Discordサーバーの様子を拝見しましたが、ワールド名を決めるアイデア出しなどで長文の意見が飛び交うなど、かなりの熱量を感じました。

実は当初、社内で目標設定の話をした際は「300人ぐらい集まれば良い方ではないか」と話していたんです。ところが蓋を開けてみれば、短期間で想定を大きく上回る方々に参加いただき、サーバー内で活発に発言していただいています。本当にファンに支えられていると感じます。

次なるステップは「新作アバター販売」

──今回のワールド公開と一般販売再開がスタートラインだと思いますが、今後の計画について伺えますか。

これまでの反省を活かし、ユーザーの皆様と共に歩み続けられるよう、さまざまな施策を継続的に打っていきます。

直近では、既存のアバターに新たな魅力を加える取り組みとしてカラーバリエーションの展開を開始しました。その第一弾として、1月11日には『伊奈波かや』のカスタムカラーバージョン01を発売しています。

以前、公式Discordサーバーへの招待キャンペーンを行った際、特典として非売品の『伊奈波かや』特別カラーをプレゼントする企画を実施したのですが、これが非常に好評で、サーバーに参加してくださる方が大きく増えました。こうした「ファンの皆様が求めているもの」を形にするサイクルを、今後も大切にしていきたいと考えています。

──基本的には既存のアバターをベースにしつつ、コミュニティに寄り添う姿勢でしょうか?

既存アバターをお届けするだけではなく、常に新鮮な体験を提案できるよう、アクセサリーや衣装などの展開にも注力していきます。アバター本体を新規で作るよりも柔軟に動ける分、スピード感を持って順次リリースすることを目指します。

新たな施策によってコミュニティに盛り上がりを作ることができれば、新作アバターの開発に漕ぎ着けられると思います。

そうした方々をはじめ、アバターを愛用し、様々な形で発信や創作に関わってくださる全ての皆様に支えられているからこそ、これからも二人三脚で歩んで新作アバターの発売まで持っていけたらと考えています。

皆様の応援にお応えできるよう、私たちは必ず新たな驚きをお届けできると信じています。
ツクルノモリというブランドを、皆様と一緒に未来へ繋いでいきたい。現在再開している一般販売、そしてこれからの活動を共に楽しんでいただければ嬉しいです。

──今回はありがとうございました。本当に支持されて、良いものを作ってきたからこそ繋げられた「Re:START」だったわけですね。