ファッションブランドとクリエイターのコラボ .st(ドットエスティ)がプロデュースするアバター「枡花蒼」試着イベントに行ってみた

株式会社アダストリアは9月23日、同社公式WEBストア .st(ドットエスティ)がプロデュースするメタバースファッションアバター第1弾「枡花蒼」(ますはな あお)の試着イベントを開催しました。

今回のイベントはVRChatのワールドで行われ、会場内には枡花蒼の展示はもちろん、枡花蒼の衣装を着用したひゅうがなつ制作アバターも用意されていました。

枡花蒼の試着アバターが用意され、イベントの後半ではアダストリアのkomikanaさんとひゅうがなつさんをはじめとした制作クリエイター5名によるトークセッションも開催。さらに枡花蒼のアバターと衣装の発売日が10月3日、boothにて販売されることが決定し、アバター第2弾の発表が行われました。

本記事では会場の様子、枡花蒼を試着してのレビュー、トークセッションの内容をお届けします。

アパレルブランドのこだわりを感じる特設会場

今回のイベントでは、VRChatで特設ワールドを設けて開催されました。会場の中には.stと取り扱っているブランドのロゴが配置されており、リアルで馴染みのあるブランドがVRChatで見られるという非日常感ある空間でした。

.stはECサイトの名前で、その中で取り扱っているブランドが存在する

会場の中には今回販売される枡花蒼がポージングを取りながら展示されていました。今回の枡花蒼はアパレルブランド「RAGEBLUE」で展開するリアルの商品にインスピレーションを受けたものとなっており、ワンピースとジャケットのレイヤードコーデとなっています。また、小物を映し出した写真やジャケットの展示に使われているマネキンからファッションブランドのこだわりを感じる仕上がりでした。リアルでファッションブランドを取り扱っている経験をメタバースのファッションでも活用しているのを感じます。

ほかにも、ひゅうがなつ制作アバターである「京狐」「ウルフェリア」「リーファ」が枡花蒼の衣装を着ている姿も展示。「ウルフェリア」「京狐/沙猫」「リーファ/ルーナリット」にも対応するRAGEBLUEの専用衣装が「枡花 蒼」アバターと同じく10月3日に販売予定となっています。

衣装販売も取り扱ってくれるのはユーザーとしても嬉しいポイント

アシンメトリーな前髪が特徴 枡花蒼試着してみた

枡花蒼の特徴は、ツインテールとアシンメトリー。前髪だけでなく耳もアシンメトリーなデザインとなっており、片方の耳が折れることでもう片方の耳にあるアクセサリーに意識が向きます。

目には濃い青をベースにRAGEBLUEのロゴ、ハートが差し込まれておりこだわりが詰め込まれているデザインとなっており、ブランド感が強調されています。

サンプルアバターならではの遊び心も用意されており、ワンピースには商品タグがつけられていました。ひゅうがなつさんによるアイディアで、実際にRAGEBLUEのをベースに作られています。

よく見るとポリゴンとユニティの文字が……

制作者トークセッションをレポート!

DMに直接来たときに本物なのかと疑った

komikana アバター制作のお話が来たときはどうでしたか?

ひゅうがなつ boothのDMから「アダストリアの島田です」という感じで企画のお誘いが来たのですが、「本物か……?」というのが最初の印象で、そのあと色々と調べました。まさかこんなに大きな会社から直接お話が来るとは思っていなくてびっくりしましたね。

にやみ ひゅうがなつさんからこんな仕事来たけどもどうって誘われたんですよね。勉強不足でブランド名を聞いてわからなかったのですが、調べて可愛い服が多いなって思いました。僕はリアルめの服とか作るタイプなので面白そうだなって気持ちと、皆さんの中で1番実績がない不安の気持ちを持ちながら参加を決めさせてもらいました。

明日葉わがみ ひゅうがなつさんとはアバター自作交流会というイベントでよく会っていて、何かしらの企画で一緒にやりたいねって話していたんですよ。今回来たときにこの時しかないと企画に参加しました。

(仮) 私は、わがみんさんからお話を聞いて参加した流れになりました。

柚葉 ひゅうがなつさんから話が来て、えっ私ですかってなったのですけども面白そうだったので即答で答えました。

今回のコラボクリエイター陣

komikana 今回チームで制作をしてもらいましたが、VRChatの中だとチームで制作してもらうのは珍しいとお聞きしました。苦労した点があれば教えてください。

ひゅうがなつ 今回デザインと顔周りのモデリングを主に担当しましたが、にやみさんは服担当、素体担当のわがみさん、柚葉さんはアバター対応と自分の担当をはっきり決めていました。

担当を決める工数なんて自分だけだと起きないので、決めるのに苦労しました。あとはみんな苦労したと思うのですが、他人の作ったデータをいじっても大丈夫なのかなって思ったんですよね。

そこはチーム制作という大きなくくりなので、許可を取りつつ加えたほうがまとまりが出るなってのが学びを得ましたね。

実際にある服をデザインすることの苦労

komikana 今回実際にあるブランドの洋服をデザインしたと思うのですが、普段作る洋服と異なる点や難しい点はございましたか。

ひゅうがなつ リアルにある服をVRに持ってこようとすると情報量が少なくなってしまうので、自分でアバターを作るときは小物を足したり、現実じゃありえない部分で情報を足したりしていますね。

今回の制作では情報量を足すためのデザイン変更をしないと決めたのですが、VRで映えるように工夫をしました。例えば、スカートの広がりはリアルだとありえないのですが、VRで映えることを考えて大きな広がりにしました。

にやみ リアル寄りの服を作るといっても、ファンタジー寄りのデザインを取り入れたり、動きやすく削ったりしてしまうのですが、今回はできないですよね。肩周りなどでずっと悩んでいたところ、泣きながら皆さんに助けを求めました。

ひゅうがなつ ちゃんとワンピースが二枚重ねなんですよね。

枡花蒼に込められたこだわりポイント

komikana ここは皆さんに見てほしいこだわりポイントはなんでしょうか。

明日葉わがみ 普段の自分の画風とは違うモデルを意識しつつ、ひゅうがなつさんっぽいものに近づけましたね。

komikana 見た目がすごく綺麗な印象になっているわけですね。

明日葉わがみ モデラーさんの身体が作るときの個性が出るのがなんですよ。今回はひゅうがなつさんのアバターを参考に、普段自分が作っているのと違う作り方をしています。

(仮) 私が押したいポイントは、ひゅうがなつさんのお気に入りであるアシンメトリーの髪の毛ですね。ひゅうがなつさんのお気に入りだったので僕も力を入れて作りました。アシンメトリーだったので、ミラーに甘えることができなかったですね。

ひゅうがなつ アシンメトリーはかわいいけども作るのが大変なんだけども、自分が作るわけではないしデザインしていいかって描きました(笑)

柚葉 普段は自分で衣装を作って他のアバターに対応をするのが多いので、他の人が作業したデータを着せることをしてこなかったですよね。こういうトポロジーやボーンをしているんだと自分の勝手が違うのを見て勉強になったし、工程の最後だったのでこういうふうにアバターが作られていくんだなって感じました。

販売される枡花蒼は、クリエイターと一緒に作っていったアバターであることがイベントを通じて伝わってきました。リアルファッションを楽しみたい人は10月3日に販売される枡花蒼をチェックしてみてはいかがでしょうか。

参考リンク
・.st(ドットエスティ)公式サイト
アダストリア公式サイト