くだらないことから始まった。DyDoが協賛する特別回を開いた「プルタブを開ける会」運営陣にインタビュー

「つまらない集会を作ろう」

そんな思いから始まった集会があります。それは「プルタブを開ける会」。ウガルドさんが主催となり始まったこの集会には、毎回さまざまなプルタブの付いた缶の飲料が持ち込まれ、開かれる夜会です。

9回目を向かえる今回の集会では、缶コーヒーでお馴染みの飲料メーカー「ダイドードリンコ株式会社(以下、DyDo)」が協賛を行う特別回。普段よりもさらなる盛り上がりを見せました。

筆者は「プルタブを開ける会」に参加。不思議な集会で繰り広げられたアツい戦いをお届けします。

ウガルドさんが生み出す独特の世界

「プルタブを開ける会」では、その名の通り、出場者が持参したプルタブ付きの飲み物を開ける会です。主催者であるウガルドさんの前でプルタブを開け、評価をもらう。ただそれだけの会です。

プルタブを開ける音を聴いたウガルドさんから、バガキン度、マクナル度、モス度、ドムドム度といったファーストフード店のような聴き馴染みのある単語で評価をもらえます。

この評価には順序や優劣はなく、ウガルドさんの独断と偏見、その場の感覚で決めていきます。集会ではゲストを招き、ともに評価を決めます。

今回のゲストは、バーチャル探検家でありVRChatマンガでお馴染みのリーチャ隊長。初の協賛回に相応しいゲストが参加し、より一層の盛り上がりを感じました。

Stay On Tab!

さあついに、この不思議な集会の開幕。出場者は持参した缶を持ち、ステージの前に立ちます。

今回からステージ前に、その人の音をワールド内に聞こえるようにするギミックが実装。これにより、その一瞬の感動をより多くの人に漏らさず届けられるようになりました。

プルタブはいきなり開けるものではありません。タブを爪で弾く「アイドリング」と呼ばれる行為で、アピールと音声チェックを行います。「カンカン」と鈍く鳴るその音に会場が騒めきます。

カリンバのようなその調べはまるでプレリュード。これから起こる一瞬の戦いの狼煙です。

「Stay on Tab!」

進行の猿頭トリートメントさんのその掛け声で、出場者はタブを指にかけ、開きます。

進行の猿頭トリートメントさん

「カシュッ」

その一瞬、発せられた音に向けられる感嘆の声。その音にウガルドさんとリーチャ隊長は、その個性豊かなプルタブの音に評価をしていきます。

評価を相談する審査員の二人

プルタブの音は、エコー、二段構え、空振りなんて方も。でもその全てがプルタブの音、そこに優劣なんてないのです。

参加した方の中には、沖縄県民らしくパイナップルをチョイスするといった個性を出す方もいれば、「野菜一日これ一本」の缶や、冬限定のジュースといったレアものが見られることもありました。

そして、プルタブを開けた参加者へ皆から「ナイスタブ!」とねぎらいの言葉をかけていきます。

今回、プルタブを開けた約40名のうち、DyDo製品のドリンクを持参した出場者は、なんと24名!6割の方が協賛している会社の製品を持ち込むという熱量の高さです。中にはDyDoの飲み物を箱買いするという猛者まで。

レギュレーションとしては、持参する飲料のメーカーは自由となっていますが、それでもDyDoの飲料を選んで持参するのはとても良い傾向です。

また、今回に併せてDyDoのロゴの入ったベンチまで用意。これは参加者が制作したもので、スタッフだけではなく参加者全体で今回の集会にかける熱量が非常に高いことが分かります。

賞品を掴み取った今回の受賞者たち

DyDoの飲料を探す際に、DyDo公式の自動販売機を探すアプリを使った方もいました。アプリはまもなくサービスが終了してしまうそうで、気になる方は早めに試すのがいいでしょう。

熱量の高いスタッフと企業協賛

この不思議な集会がどうして行われることになったか、ウガルドさんを始めとする集会のスタッフ陣にお聞きしました。

逆につまらないことをやってみようか

──「プルタブを開ける集会」を開催するに至った経緯を教えてください。

ウガルド:この集会は、元々つまらないことをしたくて始めた集会でした。

イベントカレンダーを眺めていて、面白そうな集会がたくさん行われている中、逆に人を避けさせるようなつまらない企画をやってみたらどうだろうと思ったんです。

そういうのが1つくらいはあってもいいんじゃないかなと。なので、告知はしても大々的にはしていなかったので、参加したのは身内3人と、たまたま来てくれた2人ぐらいでしたね。

過去開催時の集合写真

──どうしてプルタブにしたのか理由はあるのでしょうか。

ウガルド:プルタブにした理由は、たまたま手元に缶があったからでした。これを開けるだけの会とかやったらつまらないんじゃないかって感じでしたね。

チアキ:逆に面白いこと考えさせようとしたらめっちゃセンスないかも。

リーチャ:ウガルドくんに、これ面白いでしょって言われた時のその面白いって言ってる対象にちょっと困っちゃうことってよくあるよね。

──例えば、どんな物がありましたか?

リーチャ:ウガルドくんのワールドは全部すごかったですよ!全部ぶっ飛んでましたね。

チアキ:確かに全部すごい。私たちがイベントに巻き込まれてるのって、この集会自体も面白いんですが、ウガちゃん自身や独特なセンスが面白いってのもあります。全力で応援したいなって思いますね。

回を増して盛り上がる参加者たち

──今ではスタッフ5人で運営されていますが、これまで起きたことで印象的だった出来事などありますか?

ウガルド:プルタブの音の評価で、バガキン度やマクナル度などのワードがあるのですが、参加者がマジでわからないものとして作ったのに、次第に”あの人がマクナル度なのわかる”みたいになり、参加者がだんだんと共感してくることが増えてきましたね。そろそろ新しいものに変えるべきなのかもしれない。

チアキ:リピーターが多いですよね。

ビビデバビ泥酔:そうね、確かに定着率は高いわ。

チアキ:正直今回の会も、こんなにDyDo様の商品で参加してくれると思っていなかったんですが、半分以上が買って来てくれていました。

猿頭トリートメント:協賛が入って、どこどこのメーカーの飲み物を買ってきてって言われたらみんな楽しくなるよ!

ビビデバビ泥酔:みんな”プルタブを開ける”っていうことを、楽しんでくれているのが伝わってくるから一緒にやってて楽しいって思えるね。

チアキ:プルタブを開ける人をみんなが応援しているのもいい空間だよね!ナイスタブって!

ウガルド:俺、そんなんやれって言ってないのにいつの間にかなってたよね。

リーチャ:ウガルド君が音頭をとってないのに、プルタブを開けることに対して文化ができてきていることが恐ろしいですね。この先どうなっていくんでしょうね。

──参加者も含めて皆で空気を作ってる感じがしていいですよね!!

協賛に至った経緯

──今回DyDoさんから協賛をいただいての開催でしたが、協賛をいただいた経緯を教えてもらえますか?

チアキ:仕事で参加していたイベントでDyDoの関係者の方と知り合いまして、個人的に開いている「プルタブを開ける音」の話をしたところからお話が始まりました。

──DyDoさんはVRChatやメタバースでキャンペーン等行っていなかったと思いますが、今回どうして協賛をいただけたのでしょうか?

チアキ:DyDo様は協賛のお話は基本的にウェルカムのようで、今回の件も快く引き受けていただきました。

──これからも協賛を受けての開催はありますか?

チアキ:ぜひやっていきたいですね!メーカー対抗戦とか、メーカーさんに審査員として参加してもらうのもおもしろそうです!

ビビデバビ泥酔:コラボ缶を制作してみたい!酒飲みとしては、缶詰のおつまみ缶の回もやりたいわね!

チアキ:協賛にご興味のある企業様は、ぜひDMいただきたいです!

──非常にスタッフさんがアツい集会ですね!

ウガルドさんと集会のこれから

──最後にこれからやっていきたいことなどあれば教えてください。

ウガルド:(スタッフ陣に向かって)集会は自由にやっちゃってくれ、好きにしてくれ!

ウガルド:「プルタブを開ける会」以外だと、シュールリアリズム系のネタが好きなので個人的にはデスゲームとか、少女漫画のベタな展開の選手権がしたいですね。しょうもないことができるのがVRChatの良いところだと思ってるので。ライブ感でやっていきたいです。

仮想がやりたい、仮想でしかやれないことがしたい、遊びに来た人をぐちゃぐちゃにしたい、それが僕個人の欲望です!

チアキ:コラボ回ももっとやらせていただきたいです!

──お話を聴かせていただきありがとうございました!