VRChatワールド紹介がきっかけで写真撮影へ バーチャルフォトグラファーすまへインタビュー 

ソーシャルVRの中で写真を撮るバーチャルフォトグラファーをご存知でしょうか。VR空間にカメラを取り出して、あるときは美しい光景があるワールドで、あるときはありたい自分であるアバターを主役に写真を撮ります。

今回はバーチャルフォトグラファーのすまさんにインタビュー。リアルクローズをベースにさまざまな衣装を活用したアバター改変技術と淡い空気感を感じる風景を切り取る撮影技術を併せ持つのが魅力の方です。

今回は、写真撮影のやり方から使用しているアバター、最近公開したポートフォリオサイトについて聞いてきました。

#VRChatワールド紹介のハッシュタグから写真を撮ることにした

すま

目隠れ系アバター 交流バーイベント『Hide Eyes』オーナー

Damegane主催 映画系ロールプレイイベント集団『HOTEL QADESH』副代表 兼 ワールド担当

主にVRChatで、SSの撮影、イベント等の企画・運営、ワールド製作などを楽しんでいます。

ーーすまさんと言えば映像系ロールプレイイベント「ホテルカデシュ」やバー「Hide Eyes」といったさまざまな活動していますが、今回はバーチャルフォトグラファーとしての一面を掘り下げていこうと思います。最初に活動はどのようなきっかけで始めたのでしょうか。

すま 昔VRChatで遊んでいたときに、Twitterの#VRChatワールド紹介というタグで上げてくれるワールドの写真が、ワールドを探すにあたってすごく役立ったんですよね。その経験もあって、自分も同じことをしようと思ったのがきっかけです。

ーー昔からワールド探しは#VRChatワールド紹介で行っていた感じでしょうか。

すま 今はUIのアップデートでワールド検索がしやすくなったのですが、昔はサムネイル画像かタグ検索ぐらいしかありませんでした。ワールドが見つからず困っていたときに、Twitterで#VRChatワールド紹介の日本語と英語のハッシュタグを見つけて、使っていくしかないなって思って写真を撮り始めました。

今だとメニューからタグ検索ができるなど探しやすくなっている

ーー自分が役立ったように発信すれば他の人も使ってくれるはずって思ったわけですね。過去のインタビューでカメラの仕事をしていたと聞いたのですが、リアルとバーチャルの撮影に違いはありますか。

すま バーチャルの撮影では場所や撮影する位置など物理的な制約がなくなるため、リアルでの撮影と比べると敷居は下がるかなと考えます。

バーチャルの写真もリアルの写真も人に見てもらうという点では共通しているので、構図の技法やポートレートの知識など、リアルでやっていることが活かせるのも面白い点です。

ーー撮影に使っているカメラはなんでしょうか。

すま VirtualLens2を使っています。ワールドのエフェクトやライトなどが反映されないときはデフォルトのカメラをたまに使っていますね。

ーー画像編集ソフトは使っていますか。

すま Lightroomで編集しています。

ーー画像編集ソフトを使うときに、ワールドの元の雰囲気を重視するか、1つの作品として見栄えを重視するかで方向性が変わると思うのですが、どのような考えで使っているのでしょうか。

すま ワールドの雰囲気によるところもありますが、自分の好みで編集していると淡くなってしまうことが多いです。ワールド紹介でもあるため、できる限り元の雰囲気からは変わりすぎないようにはしているつもりです。

ですが、virtualLens2などの拡張レンズを使うことによっても雰囲気が変わってしまうことがあるため、どこまで手をいれるべきなのかというのは難しい問題だと思っています。

ーー他に撮影に使っているものはありますか。

すま 人物の撮影するときは、光源を増やしたり調整したりするためにPoLKAを使うこともありますね。

ーーアバターとワールドの撮影で意識している点は違いがありますか。

すま ワールドの場合は、全体を見てから撮影に入るようにしていますね。アバターの場合だと魅力を引き出すために凝った構図や画像編集をしますが、boothの商品画像ではVRChatでどのように見えるのかが大事になるので極力ありのままを見せます。

日常生活で着ている人たちからアバター改変のアイディアを出す

ーーすまさんがメインで使っているアバターはどの子になるのでしょうか。

すま メインで使っているのは桔梗Grusの2つですね。持っているアバターだと碼希だったり、イベント用にはシグネットになります。あとはシミットも使っていました。

ーーメインは桔梗とGrusだと使い分けはどのようにしているのでしょうか。

すま 衣装の系統が異なる2人なのでワールドの雰囲気に応じて変えるのですが、正直なところ気分になりますね。

ーー桔梗はセクシー系、Grusはリアルクローズ系な傾向がありますね。桔梗とGrusを選んだ理由はなんでしょうか。

すま どちらもアバター製作者さんの前のアバターから興味がありました。Grusに関して言うと、先に出ているCygnetを購入して以来、製作者であるKujiさんのファンになってしまい、いつも情報を追っていました。

新作を作っている情報と画像を見て、すでに買うことを決めていた感じです。 これまで頭身の高い大人寄りのアバターを使っていたので、Cygnetを使い始める際にも不安がありましたが、周囲が「雰囲気に合ってる」と褒めてくれたので、CygnetもGrusもとても気に入ってます。

ーーCygnetもGrusも落ち着いた色合いですまさんの雰囲気が合っているのがわかります。桔梗はどういった経緯だったのでしょうか。

すま 同じ作者のぽんでろさんが既に出していたメリノにもともと興味があったのですが、
Twitterを確認したところ新作アバターを制作中とのことでしたので、せっかくなのでそれを待とうと、こちらも買うことを決めていました。

ーーすまさんのアバターもいくつか見ていると目隠れや黒単色の瞳が特徴的ですよね。

すま 桔梗を購入した頃には改変に慣れてきていたので、デフォルトが自分の好きなイメージと違っていても、おそらく自分の好みにできるだろうな、と思って購入・改変しているところがあると思います。

ーー桔梗って体型を変えられるブレンドシェイプキーが充実していますしね。

すま メリノはシェイプキーが豊富だと既に使用しているユーザーさんから聞いていたところも、改変しやすいだろうなと思って購入した要因の一つでした。
メリノの衣装の豊富さにも憧れていて、もし同じように桔梗がスタンダードのような扱いとなれば、衣装が豊富になり改変がやりやすくだろうな、という打算的な面も購入した理由にありました。
今となっては予想していた通りboothで多くの衣装が販売されており、改変を楽しませていただいています。

ーーすまさんの改変はアイテムの組み合わせや、足し引き算が上手いなぁって印象があるのですが、どのようにコーデを考えていますか。

すま 着用したいと思った衣装をベースに考えることが多いです。使いたい衣装と似たものを「Wear」というリアルファッション用のサイトで検索し、その衣装の使い方の参考にしています。
また、今の仕事が接客業で店舗に勤務していますので、通勤中に周囲を見たり、行き交うお客様のファッションを参考にすることもあったりします。

あとはセットアップやコーデで販売しているものを部分的に使ったり、服のテクスチャを消したりして他の服と合わせてみることはします。いま着てる服も本来は丈が長いのですが、重ね着するとうまくいかないので見えないところは消しています。

写真とアバター改変の技術をかけ合わせることで魅力となる

ーーポートフォリオサイトを公開したと思うのですが、どういった経緯で公開したのでしょうか。

すま 実は作ろうとしたというわけではなく、サイトを作成した猫チーズさんからお話をいただいたんですよ。最初は #VRChatワールド紹介まとめについてワールド紹介している人から見てどうですかって意見を求めてきた感じでした。

ワールドのリンクが自動に設定されるほか、ボタン1つで行きたいワールドをメモできる

サイトはすごく見やすいことを伝えた後、サムネイルの写真を探していると話していたので何枚か提供しました。

ーーサムネイル画像を提供したときの縁で作っていただいたわけですね。

すま その際のやり取りはそこまでで終わっていたのですが、その約1週間後に「ポートフォリオサイトを作りませんか」というご提案を頂きました。
Webサイトのプロモーションを兼ねたバーチャルフォトグラファーのポートフォリオ企画に、第一弾として声を掛けて頂いた形になります。

ーー実際バーチャルフォトグラファーのポートフォリオサイトとしては、ワールド紹介のサイトと連携していて、写真を見に行くまでの行動がしやすいのは見ている人にとって嬉しいですね。

すま 写真をSNSに投稿しているのは、ワールドの情報を伝えるためなので、見やすくまとめて頂けているのは投稿している側としてもとても嬉しく、ありがたいです。
他にも、スマートフォンで見た際のレイアウトも崩れにくくなっていたり、自分がハッシュタグ付きでツイートするだけでこのポートフォリオを更新できるようになっていたりするなど、細かい配慮をたくさんして頂いています。頻繁に更新されているので、ぜひ定期的にご覧いただければと思います。

ーー更新の手間がないのはいいですよね。今回インタビューしてみると写真を上げるのも、ポートフォリオサイトができたのもワールド紹介のハッシュタグがきっかけなんですね。

すま フレンドさんに見てもらったり、写真を見てワールドに行ってもらえるとやっててよかったなぁって思います。

ーー私もすまさんの写真を楽しみに見ていたり、ワールドに行ったりしています。

すま ありがとうございます。私よりも優れた技術を持ったフォトグラファーさんや、
素敵な改変をされる方はたくさんいらっしゃると思います。そんな中で誰よりも優れた1人になれるとは思っていません。

ですが、私が撮りたい情景と表現、そして私のなりたい姿をかけ合わせて、1つのスタイルとしてVRChatに限らず発信していけたらと思っています。これからも頑張ります。

ーーお忙しい中今回はありがとうございました。

ユーザーの投稿によって成り立っている#VRChatワールド紹介。ワールドの魅力をより多くの人に伝えたいと考えているすまさんの想いは多くの人に届いていると思います。ポートフォリオサイトやTwitterを見て、まだ見ぬワールドへ行ってみてはいかがでしょうか?

●参考リンク

すま / suma Twitter

ポートフォリオサイト