VRChatの航空勢6団体が合同開催! 「カピバラ航空祭」のメイン会場を先行レポート

VRChatには、戦闘機や旅客機などの航空機を操縦できる、フライトシミュレーターのようなワールドが複数存在します。「VRで飛行機を飛ばす」。そんな王道な遊び方の一つとして、こうしたフライトシミュレーションを楽しむ「航空団体」と呼ばれる有志団体が、国内外を問わず多く存在しているんです。

そんな「航空団体」6団体が集まり、2023年11月に大規模な航空祭イベントが開催されます。それが「カピバラ航空祭」です。

発起人は、黄色い鳥を乗せたカピバラアバターが特徴的ないむさん。いむさんは、なんとまだVRChatを始めて半年ほど。初めてすぐに知った「航空界隈」に感銘を受けて、「いつか航空祭ができたらいいな」とツイートをしたところ、とんとん拍子に話が進み、今回のイベントが実現したとのことです。

今回は、そんな11月の開催に先駆け、取材関係者向けに先行公開された「メイン会場」の様子をお伝えしていきたいと思います。

PC/Quest両対応!セレモニーでも使用される「メイン会場」

今回、先行お披露目されたワールドは2種類あるワールドの内のひとつ「メイン会場」と呼ばれるものです。このワールドは、11月6日に開催されるイベントのオープニングセレモニーの会場となっているほか、各参加航空団体の魅力が伝わるブースを見て回ることができます。

「カピバラ航空祭」に参加する航空団体は、すべてで6つ。2020年に発足したアクロバット飛行チーム「BlueHorizons」や、ドッグファイト系イベントを行う「VR Air Force」「第425 戦闘訓練飛行隊 “First Penguins”」、また”ゆるさ”が特色の「ゆるゆる飛行機同好会」に、RP色が強い「Virtual Sky Service」「BLUE STARS」と、同じ「航空界隈」といってもかなり雰囲気の異なる団体が揃っています。

ちなみに、この「メイン会場」を含め今回のワールド制作に協力したのが、自身も「Virtual Sky Service」に所属するAsianTacoさん。「メイン会場」は、Questプラットフォームにも対応しており、VRChatで活動する航空団体を一挙に知ることができる展示ワールドにもなっています。では、さっそく各ブースを見ていきましょう。

参加チーム最古参!VRアクロバットチーム「BlueHorizons」

まず、ご紹介するのがVRアクロバットチーム「BlueHorizons」です。こちらは、今回参加する6団体の中では最も古くからあるチームとのこと。2020年に、TomTomACESさんが立上げ、現在はGarmanさんを代表に、パイロット、スタッフなどを含め15名ほどが所属しています。

2021年10月に開催された「天文仮想研究所」2周年記念イベントでのオープニングフライトや、毎週月曜日開催の交流イベント「Machcafe」、月末開催の「フリーフライト」イベントなど外部イベント、自主イベント問わず、さまざまなアクロバットショーを開催しているため、名前を聞いたことがあるという方も多いはずです。

なんでもアリ!?「ゆるゆる飛行機同好会」

他の航空団体とは一風変わったブースで目を惹くこちらは、「ゆるゆる飛行機同好会」。代表の緑茶313さんによると「うちはなんでもあり。コンセプトはない」とのことで、ゆるい同好会に賛同してくれたワールド作成者や機体作成者などと、オモシロコンセプトのイベントを行っているそうです。

今回の展示でも、「魔女の箒体験コーナー」「宇宙空間(地球低軌道)体験コーナー」など、「航空系のイベントって難しそうだし少しお堅いのかな」といったイメージを壊してくれる”なんでもアリ”なブースになっていました。

ちなみに、「当日観客のみなさんをびっくりさせたい」ということで、今回の先行お披露目では撮影禁止となっていたエリアもありました。一体どんなブースになっているのか、11月6日のオープニングセレモニーをお楽しみに。

仮想保安庁所属の飛行隊「BLUE STARS」

「BLUE STARS」は、リアルなアクロバット飛行をコンセプトに活動している航空チーム。航空自衛隊に所属する曲技飛行隊「ブルーインパルス」をリスペクトした「展示飛行」イベントなど、高い飛行技術とリアリスティックな編隊アクロバットが見どころとのこと。

説明を聞いてみると、設定がかなりしっかりしています。「BLUE STARS」は、日本の海上保安庁をモデルとした組織「仮想保安庁」(略称JVG)に所属する飛行隊。所属する巡視船艇や航空機の色彩、職員の制服や組織体系なども、海上保安庁をモチーフに細かく決まっているといいます。

実際に、演目の中では上空に海上保安庁に繋がる緊急通報用の電話番号「118」を描くものがあったりと、普段日の目を浴びることが少ない海上保安庁をもっと知ってもらいたいという趣旨もあるそうです。

初心者向け教習イベントも開催!「VR Air Force」

「VR Air Force」(VRAF)は、EJ桜川艦長が4代目代表を務める航空団体。戦闘機同士で機関銃などを用いて至近距離での戦闘を行う「ドッグファイト」と呼ばれる航空戦イベントを得意としています。また、初心者ユーザー向けのイベント「VRAF飛行機教習所」を毎週木曜日の21時~23時にて開催。「何も知らない状態からでも、離陸から着陸までをサポート」するというキャッチコピーで、Questプラットフォームにも対応しています。

民間航空のリアルな体験ができる!「Virtual Sky Service」

「Virtual Sky Service」は、リアルな航空体験をモットーに毎週木曜日21時から定期イベントを開催している航空”趣味”団体。これまでのグループとは異なり「民間航空」に特化しており、大型旅客機や、セスナ機などをかなり忠実に再現。中には、実際にアバターの手指でボタンを押したり、レバーを引いたりしないと操縦ができないリアル仕様の航空機もあったりと、かなり本格的です。

話を聞いたところ、スタッフの中には、実際に航空関係者や元パイロットの方もいらっしゃるとのこと。管制塔を始め、空港設備を見学するイベントや、無線通信を聞きながら一緒に遊覧飛行ができるイベントなど、普段は見られない飛行機体験の裏側が体験できちゃいます。

本格派な戦闘訓練カリキュラム「第425 戦闘訓練飛行隊 “First Penguins”」

「第425 戦闘訓練飛行隊 “First Penguins”」は、1年と少しほど前の2022年5月に発足した比較的若いチーム。近距離戦闘の「ドッグファイト」や、VRChatでは珍しいという、敵が見えない距離でのミサイル戦、パイロットを支援する地上管制業務といった本格的な戦闘シミュレーションを行う「ACMシリーズ」というイベントを開催しています。特にこの「ACMシリーズ」は、VRChatの中でもこの団体でしかできないものとなっているとのことです。

また、団体内ではドッグファイトと現代ミサイル戦に関する教科書を用いた座学と実技訓練や、空戦技術を応用した高い練度でのアクロバット飛行など幅広い活動を行っています。代表のYumemidoriさん曰く「経験が長い人ばかりが強いということではなく、やるべき練習と知識があればどんな人でもある程度までうまくなれるということを広めていきたい」という想いが中心にあるそうです。

メインイベントは11月10日~12日!「カピバラ航空祭」を見に行こう

と、ここまで各ブースの紹介を通して参加団体6チームを紹介してきました。ひとくちに「航空界隈」といっても、さまざまなコンセプトや、活動スタイルがあって、6団体それぞれが違った魅力を持っていましたね。

VRChatの中では、かなり古くから根強いコミュニティとして存在する「航空界隈」ですが、実はこれまで日本国内で、ここまで幅広く団体が集まって、合同開催でイベントを行うことは珍しかったとのこと。会場でも「6団体の主要メンバーが一堂に会しているの初めて見た」という声も聞こえてくるなど、いままであったようでなかった、イベントになっています。

今回の「メイン会場」は11月6日のオープニングセレモニーにて一般公開されます。イベントスケジュールは下記の通りです。「VRなら自由に飛行機が飛ばせる」。そんな体験に興味がある方、VRChatでのエアショーを見るのが初めての方も、ぜひこの機会に遊びに行ってみてはいかがでしょうか。

「カピバラ航空祭」開催概要

主催:いむ(Twitter
参加団体:
・BlueHorizons(Twitter
・ゆるゆる飛行機同好会(Twitter
・BLUE STARS(Twitter
・VR Air Force(Twitter
・Virtual Sky Service(Twitter
・第425 戦闘訓練飛行隊 “First Penguins”(Twitter
イベント公式Twitter:https://twitter.com/VRCAirShow

【スケジュール】
・11月6日21時:セレモニーイベント

・11月10~12日:チームショー

・11月10日21時:BlueHorizons
・11月10日22時:第425 戦闘訓練飛行隊 “First Penguins”
・11月11日21時:VR Air Force
・11月11日22時:ゆるゆる飛行機同好会
・11月12日21時:Virtual Sky Service
・11月12日22時:BLUE STARS

ABOUT US
アシュトン「メタカル最前線」初代編集長
2021年3月より「VRChat」はじめソーシャルVR/メタバースの魅力を発信するメタバースライターとして活動。週100時間以上仮想空間で生活する「メタバース住人」として、AbemaTV「ABEMA PRIME」、関西テレビ「報道ランナー」、TBS「サンデー・ジャポン」ほか多くのメディア取材を受ける。2022年4月に「メタカル最前線」を創刊。