VCCって何なの? 導入方法から、VCCでできることまで紹介します

VRChatにアバターをアップロードする方法などを調べていると、必ず「VCC」というツールに出くわします。みなさんの中にも、よく分からないけれど取りあえず手順に沿ってVCCをダウンロードした、という方がいるのではないでしょうか。

でも結局、VCCって何なの? どうしてダウンロードする必要があるの? VCCにはどんな機能があるの? この記事では、そんな疑問にお答えします。

VCC(VRChat Creator Companion)って何?

VRChat用のコンテンツを制作したり、それをアップロードしたりするためには、「Unity」というソフトウェアを使う必要があります。「VRChat Creator Companion」は、そんなUnityをVRChat向けに使いやすくしてくれるツールです。

Unityのバージョンの管理

Unityにはさまざまなバージョンがありますが、VRChatに対応しているバージョンは1つだけです。そして、時々そのバージョンが変更になります。VCCを使うと、対応しているバージョンが変更になった場合に、簡単にバージョンを更新することができます。

VRChat SDKの配布

VRChat用のアバターやワールドを制作・アップロードするには、「VRChat SDK」という開発キットや、他のさまざまなツールが必要です。VCCではそうしたツールが配布されており、簡単にインストールできます。ツールのバージョンが更新された場合も、簡単にアップデートできます。

例えば、アバターをアップロードするためのプロジェクトを作成すると(詳細は後述)、VRChat SDKが自動的にインストールされます。

まだ「VCC」がなかった時代は、手動でVRChat SDKをダウンロードして追加する必要がありました。VCCの登場により、作業がかなり高速化されました。

ちなみに、「VRChat SDK」の最新バージョンはVCCでしか入手できません。このため、VCCは、“おすすめのツール” というより、“必ずダウンロードしておくべきツール” だと言えます。

VCCについてもっと詳しく知りたい方は、以下の資料をチェックしてみてください。

VCCを導入してみよう

ここでは、VCCをダウンロードしてプロジェクトを作成するところまで解説します。

ダウンロード

VRChatの「Download」タブを開き、「Download the Creator Companion」をクリックしてVCCをダウンロードします。

ダウンロードした「VRChat_CreatorCompanion_Setup_2.3.3.exe」を開きます。

「I accept the agreement」を選択し、「Next」をクリックします。

「VCC」をインストールする場所を選択し、「Next」をクリックします。こだわりがなければ、場所はそのままで大丈夫です。

「VCC」のショートカットを置くスタートメニューフォルダーを選択して、「Next」をクリックします。こだわりがなければ場所はそのままで大丈夫です。

(※フォルダーを作りたくない場合は、「Don’t create a Start Menu folder」にチェックを入れます)

「VCC」をインストールできました。

画面の見方

Projects

VCCでメインとなるのが「Projects」画面です。

アバターやワールドを制作・アップロードする上で重要な「プロジェクト」を作成・管理するのが、この画面です。

Learn

「Learn」タブには、ワールドやアバターの作り方といったさまざまなトピックを学ぶのに役立つドキュメントなどへのリンクが載せられています。

Tools

「Tools」タブでは、VRChatコンテンツの作成とテストに役立つ外部アプリケーションが紹介されています。

Update

VCCの最新バージョンがあるときは、「Update」が表示されます。「Update Now」をクリックして、VCCをアップデートしましょう。

Logs

「Logs」タブを見ると、VCCで実行されたことや、発生したエラーなどを確認できます。

Settings

「Settings」タブでは、VCCをカスタマイズすることができます(※基本的には、デフォルトのままで大丈夫です)。例えば「Appearance」で「Dark」を選ぶと、VCCをダークモードにできます。

プロジェクトを作成しよう

アバターやワールドを制作・アップロードするときには、「プロジェクト」というものを作成します。ただし、VCCをダウンロードしただけでは、作成したプロジェクトを開くことができません。「Unity Hub」と「Unity」というツールが必要になってきます。

アバターをアップロードする場合の手順は次のとおりです。

  1. VCCをダウンロードする(済み)
  2. Unity Hubをダウンロードする
  3. Unityをダウンロードする
  4. VCCでプロジェクトを作成する
  5. Unityにアバターをインポートする
  6. VRChatにアバターをアップロードする

詳しい手順については、こちらの記事をご覧ください。

VCCを活用してみよう

ツールを追加・管理しよう

記事の冒頭で説明したとおり、VRChat用のアバターやワールドを制作してアップロードする上で、さまざまなツールが必要になってきます。VCCでは、そうしたツールを簡単に追加・管理できます。

ツールを追加する

今回は、よく使う3つのツールをVCCに追加してみます。

  • lilToon
  • Modular Avatar
  • Avatar Optimizer

(1)lilToon

lilToonは「シェーダー」の一つであり、VRChatアバターでよく使われます。シェーダーとは、3Dモデルに特定の “質感” を与えるためのものです。色を付けたり、キラキラさせたり、アニメ調にしたりなんてことができるプログラムです。

例えば狛乃というアバターでは、「lilToon」が使われています。これをインストールしておかないと、アバターが正しく表示されません。

さっそく、lilToonをインストールしてみましょう。

こちらのサイトで、「VRChat Creator Companion」をクリックします。

「CreatorCompanion を開く」をクリックします。

「I Understand, Add Repository」をクリックしてインストールします。

この時点では、ツールをインストールしただけで、プロジェクトには追加されていません。「lilToon」をプロジェクトに追加してみます。

「Projects」タブで「Manage Project」をクリックします。

下にスクロールすると「lilToon」が見つかるので、右の「+」ボタンをクリックします。

「lilToon」が追加されました。

(2)Modular Avatar

「Modular Avatar」は、アバターに衣装やギミックを導入するのに使えるツールです。

こちらのサイトで、「ダウンロード (VCC経由)」をクリックします。その後の手順は、lilToonをインストールした時と同じです。

(3)Avatar Optimizer

「Avatar Optimizer」は、アバターの軽量化ができるツールです。

こちらのサイトで、「このリンク」をクリックします。その後の手順は、lilToonをインストールした時と同じです。

ツールを管理する

ツールの最新バージョンがリリースされると、プロジェクトの管理画面に表示されます。

クリックすればアップデートできます。

こんな画面が表示された場合は、「Confirm」をクリックして、アップデートを続行します。

テンプレート機能を活用してみよう

VCCには、もともと用意されている「公式テンプレート」と、独自にカスタマイズできる「ユーザーテンプレート」があります。

公式テンプレート

ここでは、「ユーザーテンプレート」について解説します。

この記事の「ツールを追加・管理しよう」で説明したとおり、通常はプロジェクトごとに、必要なツールを追加していきます。

しかし、どのプロジェクトでも毎回使うようなツールに関しては、最初からインストールされていたらいいのにと思うかもしれません。そんなときに役立つのが「ユーザーテンプレート」です。ユーザーテンプレートでは、自分がよく使うツールなどをあらかじめインストールしておくことができます。

では実際に、アバター用のユーザーテンプレートを作ってみましょう。このテンプレートには、先ほど紹介した「lilToon」「Modular Avatar」「Avatar Optimizer」を追加してみます。

まず、「Settings」タブで、「Templates」をクリックします。

「Templates」フォルダーが開きます。中身は空です。

1つ上の階層(VRChatCreatorCompanion)に移動します。

「VRCTemplates」を開きます。

今回はアバター用のテンプレートを作るので、「Avatar」フォルダーをコピーします(※ワールドの場合は「World」)。

最初の「Templates」フォルダーに戻り、コピーした「Avatar」フォルダーを貼り付けます。

フォルダーの名前を変更します。今回は「My Avatar Template」にしてみました。

VCCに戻り、「Projects」タブの「Create New Project」の右にある下矢印をクリックし、「Add Existing Project」をクリックします。

作成したフォルダーを選択し、「フォルダーの選択」をクリックします。

※場所を変更していない限り、作成したフォルダーは「C:\Users\(ユーザー名)\AppData\Local\VRChatCreatorCompanion\Templates」にあるはずです。

プロジェクトが追加されました。

「Manage Project」をクリックします。

「Resolve」をクリックします。

「VRChat Package Resolver Tool」を、「+」ボタンを押して追加します。

以下の3つは必ず入れておくツールですので、追加されていることを確認してください。

  • VRChat Package Resolver Tool
  • VRChat SDK – Base
  • VRChat SDK – Avatars(ワールドの場合は「VRChat SDK – Worlds」)

「-」になっていれば、無事に追加されています。

同様の手順で、「lilToon」「Modular Avatar」「Avatar Optimizer」を追加してみてください。

以下のような画面になれば、無事に追加されています。

※「Non-Destructive Modular Framework」は自動で追加されます。

「Templates」フォルダーに戻り、「My Avatar Template」を開きます。

「package.json」を右クリックします。

※この先の手順は、パソコンによって異なる可能性があります。

最終的に「package.json」を「メモ帳」アプリで開くことができればOKです。

「プログラムから開く」をクリックします。

「その他のアプリ」をクリックします。

「メモ帳」をクリックします。

こんな画面が表示されます。

この中にある「name」と「displayName」を任意の名前に変更します。

name

「com.vrchat.template.avatar」の「avatar」の部分を、好きな名前に変更します。

「com.vrchat.template.my-avatar-template」にしてみました。

displayName

「VRChat Avatar Project」の部分を、好きな名前に変更します。

これは最終的にVCCで表示される名前です。

※この部分に表示されます。

「My Avatar Template」にしてみました。

※補足:description

書き換えが必須の部分ではありませんが、追加しておくツールの名前などを書いておくと分かりやすいかもしれません。

こんな感じで表示されます。

名前を変更できたら、左上の「ファイル」をクリックし、「上書き保存」をクリックして保存します。

ユーザーテンプレートの作成はこれで完了です。無事に作成できたか、確認してみましょう。

VCCに戻り、「Projects」で「Create New Project」をクリックします。

テンプレートの一覧に、作成したユーザーテンプレートが表示されていれば成功です。

試しにこのテンプレートを使ってプロジェクトを作成してみると、最初から「lilToon」「Modular Avatar」「Avatar Optimizer」が追加されていることが分かります。

バックアップを取ろう!

アバターやワールドに変更を加えるときは、その前にバックアップを取っておきたいと思うものです。VCCでは、バックアップを作成するのも簡単です。

バックアップを作成する

「Projects」タブを開き、バックアップを作成したいプロジェクトの右にある、点が3つ並んでいるボタンをクリックします。

「Create Backup」をクリックすれば、バックアップを作成できます。

バックアップの保存場所を確認する

「Settings」を開くと、バックアップが保存されている場所を確認できます。

右の「Pick New Folder」をクリックしてフォルダーを選択すれば、バックアップの保存場所を変更することもできます。

プロジェクトを復元する

バックアップはzipファイルになっています。バックアップの保存場所を開き、復元したいzipファイルを事前に解凍しておきます。

「Projects」で、「Create New Project」の右にある下向きの矢印をクリックします。

「Add Existing Project」(既存のプロジェクトを追加する)をクリックします。

バックアップの保存場所を開き、復元したいファイルを選択し、「フォルダーの選択」をクリックします。

「Projects」に、バックアップしていたプロジェクトが追加されました。

VCCの代替ツールの紹介

VCCには、「ALCOM」という非公式代替ツールがあります。

ALCOMを使うメリット:

  • macOS/Linux環境でも動作する
  • 日本語に対応している
  • 動作が高速である
  • パッケージをまとめて追加・更新できる

ALCOMについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。