リアルのような空間で味わう「共有の体験」。ワールド制作者ノーベルチョコにフォトグラメトリの魅力を聞く

フォトグラメトリとは、複数の写真からリアルな3DCGモデルを生成する技術です。対象物をさまざまな角度から撮影し、それらの写真を合成して、高精細な3Dモデルを作ることが可能です。

VRChatでも、フォトグラメトリを用いた、現実の物品や環境を精密に再現した3Dモデルを用いることで、バーチャルながらも現実に近い体験を得ることが可能になります。

本記事では、「メタカル最前線」5月の特別便として、フォトグラメトリを利用して数々のワールドを作っているノーベルチョコさんに、フォトグラメトリワールドの魅力や、制作の手法などを解説していただきます。

――ノーベルチョコさんは、いままでどのくらいワールドを制作されてきましたか?

ノーベルチョコ VRChatでは、自分名義で公開したワールドは全部で8個になります。

フォトグラメトリを使用してワールドをつくり始めたのは2016年頃からですね。その頃はまだVRChatには公開していなくて、「アリアカーニバル」(※漫画家・天野こずえさんの作品オンリー同人誌即売会)で展示などはしていました。VRChatでの公開は2019年くらいから始めました。

――フォトグラメトリを使ったワールド制作でこだわっているポイントを教えてください。

ノーベルチョコ 2つあります。1つは、路地裏をはじめ、フォトグラメトリで取り込んで見える範囲には、歩いて行けるようにしています。ユーザーに能動的に動いてほしいので、「この路地裏行けるかな?」と思ったら、実際に歩い

て、体験してほしい。そして、その経験をだれかと共有し、共感してほしいですね。

2つ目は、できる限りUIを減らして、現実の光景のように見せることですね。現実世界では、街に説明などが書かれていないのが当たり前です。実際の街を巡るときと同じ体験ができたらいいな、と思ってワールドを作っています。

――フォトグラメトリの撮影はどのようにおこなっているのでしょうか?

ノーベルチョコ フォトグラメトリは、写真を綺麗に撮れば撮るほど良いとされているのですが、私はあまり時間をかけたくないタイプです。なので、360度カメラを背中にかついで、歩きながらバシャバシャと街などを撮っています。一方で、「ここはきちんと撮りたい」というところは、一眼レフカメラでしっかりと撮影しています。

――ちなみに、1つのワールドを制作するのにどのくらいの時間がかかりますか?

ノーベルチョコ できる時間にコツコツと進めているので、具体的にどれくらいかかるかは自分でもわからないのですが、大体1つのワールドを作るのに1ヶ月程度はかかっています。

――ノーベルチョコさんが制作されたワールドの中で、一番好きなワールドはどれですか?

ノーベルチョコ スイスのソーリオ村を再現した「Soglio Village」です。ここはドローン撮影もおこなって制作したのですが、路地裏もたくさんつくることができ、飛び回ったり、かくれんぼもできるのでお気に入りです。

――ノーベルチョコさんが作成するワールドは海外の名所などを再現したものが多くあります。海外の名所などを、フォトグラメトリで再現し、ワールドとして公開しているのはなぜでしょうか?

ノーベルチョコ 私は現在スイス在住で、ヨーロッパの街並みが好きです。いまでも、ヨーロッパへはよく旅行しに行っています。

そして、せっかく海外に住んでいるので、このヨーロッパの街並みをみなさんに共有したいと思っています。でも、風景をXにポストするだけではあまり面白くない。体験を発信して、共有できたほうが面白い。なので、行った先でフォトグラメトリ用の撮影をおこなって、ワールドとして公開しています。ぜひフォトグラメトリワールドで、現地を”体験”してほしいなと思っています。

フォトグラメトリで作られたワールドを通して、現地と同じ体験を味わい、その体験を共有し、共感を得る――ノーベルチョコさんのワールド制作は「体験と共有」に重きを置いていると感じました。

みなさんもぜひ、ノーベルチョコさんのワールドを訪れて、世界の名所を歩く体験をしてはいかがでしょうか?

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ずんだライター/イベントプランナー
2023年5月にメタバースに踏み入れた新参者。 clusterメイン/VRchat/vketcloud利用中。 メタバースの魅力に気づき、記事を書いています。 CLUSTARS学園運営。clusterでイベントプランナー見習いをしてます。 コミュニティとしてのメタバース利用率高めです。