新作「ヴードゥー・キングダム」の新情報も! 洋画RP「ホテル・カデシュ」イベントレポート&インタビュー

映画の世界に1度は入ってみたい気持ちはありませんか。

ソーシャルVRの世界ではアバターを使ってなりたい姿になれるのはもちろん、ドローンカメラも自由自在、ワールドを使ってさまざまなロケーションが使えます。

そしてVRChatには、洋画系ロールプレイイベント「ホテル・カデシュ」があります。ホテル・カデシュとは、「映画のような時間を、あなたと。」をコンセプトにロールプレイイベント、映像作品、ゲームワールドなどと映画の世界を楽しむ団体です。

本記事ではロールプレイイベントのレポート、制作陣のインタビューをしてきました。映像制作のお話から新作「ヴードゥー・キングダム」の新情報までカデシュを知らない人からファンまで必見の内容です。

ロールプレイイベント参加までの流れ

ホテル・カデシュのメインコンテンツであるロールプレイイベントは、月2-3回ほど土曜日に開催されています。スケジュールと開催ワールドは、ホテルカデシュの公式ツイッターが見られます。

ロールプレイイベントには、アバターのドレスコードが設定されています。ドレスコードはスケジュールに書かれており、例えば本拠地であるホテルカデシュ・ニューヨークではマフィア・殺し屋風の改変が推奨されます。

「テーマに沿って改変とかするのは難しいなぁ」と思っても大丈夫です。ホテル・カデシュにはドレスコードを満たしたレンタルアバターを用意。会場に用意されているため、手ぶらでイベント参加できる形になっています。

ちなみにこのレンタルアバターはジョン・スミスという名前が用意されています。ジョン・スミスといえば偽名の代名詞とも言える名前で、下級会員である他には、年齢、国籍、性別も不明という素性が分からない設定です。

「素性が分からないのであれば自由に設定して、演じてもいいじゃないか」といった感じで、最初に参加するにはうってつけのアバターです。1度参加してみてからロールプレイに使うアバターやキャラクターを作ってみるのがいいでしょう。

ジョン・スミスで映像作品を撮影したら面白いことになるかも……?

高級ホテルの雰囲気と作り込みが垣間見える 会場ワールド「カデシュ・ニューヨーク」

今回筆者が参加したのは、ホテル・カデシュの本店であるカデシュ・ニューヨーク。最初に入るとイベント参加に必要な同意事項が用意されています。迷惑事項をしないのはもちろん、ロールプレイイベントのためネームプレートは隠すようにお願いされています。

同意するとドアマンが出迎えてくれます。中には落ち着いた雰囲気漂うエントランスとなっており、取材した日にはホテルカデシュのキャラクターの1人であるグレイ・エルエスもいました。

同意するとホテルに入れるという最初の体験を大切に意図を感じ取れました。
落ち着いた姿で立っていることもあって、NPCと見間違えるほどでした……

受付から「13階に部屋を予約したい」と伝えることで、イベント会場になる13階に行けるようになり、飲み物と交換できるコインが渡されます。

開始直後は受付が混むので、アバターの表示を抑えると負荷が少なく快適だと思います。

13階へのエレベーターに行くまでには、当日参加するスタッフのリストが掲示されていたり、こだわりの装飾が見られたりします。エレベーターまで最短で行くと見られないものも用意されており、遊び心を感じます。

Vketの特別展に置かれていた支配人の銅像は、カデシュ・ニューヨークにも置かれています。どこにあるか探してみてください

映像の世界に飛び込める交流の場

ホテル・カデシュの魅力といえば「映像の世界に飛び込める」こと。イベントでは、キャストは映像作品と同じように振る舞い、キャストと参加者は同じ世界の住民として話しかけます。

例えば武器を確認する検問では、この日はダニエルとソフィアが担当。ダニエルが映像作品で出てきたときと同じように喧嘩腰でチェックされ、ソフィアのことを美しいと話すとダニエルが「年がいっているから」と設定に基づいた返しもありました。

ちなみにソフィアは65歳で、ダニエルの忠告は間違いではないですね。

会場に着くと、入り口でもらったコインで飲み物との交換。ビールといったアルコール類からコーラといったソフトドリンクと、キャラの設定に合った飲み物が選べるのも気が利いているポイントです。

会場の参加者は、ドレスコードであるマフィア・殺し屋風のテーマを元にさまざまな姿が見られました。ロールプレイができるかと不安になっていたところ、キャストも参加者もロールプレイに慣れていることもあって、返事を重ねているうちに演技が固まっていき不安がなくなりました。

幼い子どもで参加する人も。話してみるとホテルカデシュにいる背景も見えてきました。

イベント中はキャスト同士の絡みはもちろん、キャストと参加者の絡みも積極的に行います。筆者の参加している回では、ダニエルが参加者の集まっている場にもサラッと入っていき、垣根のなさを感じました。

撮影や感想もロールプレイで!

イベントの最後にはエントランスで集合写真を撮影して解散します。このときもロールプレイをしながら、いつもの写真撮影で話す会話をこなすという面白さがありました。

参加者の中には、イベント終了後にロールプレイの形で感想ツイートする人がいます。その日の思い出を振り返りながら、ロールプレイの練習にもなるのでやってみるのがオススメです。

制作陣にインタビュー!

だめがね

カデシュ代表、映像作品では監督・脚本を担当。総支配人マックス役も務める。

すま

カデシュ副代表、美術監督、ワールド制作のほか第10席ノーチェ役を務める。

Hatoya

撮影監督、新作「ヴードゥー・キングダム」では主演ヤスナカ役として出演。

ムシコロリ

ゲームディレクター。サメ映画「シャークポカリプス 絶滅鮫地獄」にてゲームワールド「フォルネウス海洋研究所」、プロジェクトエメスでは謎解き制作などといったゲーム部分の制作を担当。

くっしーEX

音響監督。サイバーパンク映画「プロジェクトエメス」にて音響監督、一部楽曲の作曲を担当

葉月しおん

メインコンポーザー。極道映画「豺狼の巓」を撮るタイミングで、映像・ゲームワールドにおける作曲として参加。

お客さんに見てもらうための努力は惜しまない

ーーホテル・カデシュの活動はいつ頃からはじまったのでしょうか?

だめがね オープンは2021年4月です。仕込みからになると1月ごろになるかなと思います。

ーーメンバーってどのように集まっていったのでしょうか。

だめがね 最初にすまくんを呼んで、その後友人たちに声を掛けたところ、5人集まってくれたのが始まりです。もともとの企画はスーツ集会だったんですよ。

すま 当時はスーツアバターがいなかったですよね。

だめがね そこからロールプレイイベントに企画が変わり、幹部が10人いる設定にしちゃったから後5人呼ぶことになってフレンドから声を掛けて集めました。

ーーロールプレイイベントから映像作品、ゲームワールドとさまざまな要素を組み合わせていますが、狙いはどういったものでしょうか。

だめがね とりあえず映像作品は最初から撮りたかった記憶がありますね。

すま 撮りたい気持ちもそうですし、普通の告知だけだと他のイベントさんに埋もれてしまうのもあります。そこで一風変ったことをしようと思ったのですが、最初は予告編ぐらいのつもりでした。

ーーゲームワールドはどのような流れで制作することになったのでしょうか。

だめがね 当時友人でアトラクションをやっているイベントさんがありまして、真似をしたかったのですが、人手が足りなかったのでゲームワールドの形にしました(笑)

2作目「シャークポカリプス 絶滅鮫地獄」にてゲームワールド「フォルネウス海洋研究所」が制作された

ーー人力というのはどういったものなのでしょうか。

すま RPC パラソルさんのホラーイベント「響」というのがあって、お化け役を人力でやっていたんですよ。

だめがね 「響」はすごく影響を受けていますね。VRChatってアマチュアを楽しませることができる環境なんだと気づいたことのきっかけでした。

ーー映像作品やゲームワールドもそうなのですが、分析して仕掛けているなって感じますね。

だめがね エンターテイメントってお客さんがいないと成立しないので、やるからには見てもらいたいし、見てもらうための努力は惜しまないようにしています。とはいえカデシュのメンバー全員思っているのですが、こんなにも大きくなるとは思ってませんでした(笑)

すま だめがねとは昔から何度も話しているのですけども、アマチュアの1次創作に多くの人から興味を持ってもらうのはとても難しいと思っていました。

ムシコロリ それはめちゃくちゃ思っていましたね。

ーー創作全般に言える「2次創作だと見られるけども、1次創作になると見られなくなる」という宿命ですね。

だめがね はい。なので映像単体で興味を持ってもらうのは難しいと思ってイベントやゲームワールドとセットにした側面もあるのですが、いまやそのすべてをたくさんの方に応援していただいているので本当にありがたいです。

友情を担保に努力の前借りしないと長編映像は撮れない

ーーてっきり映像制作を以前したことがあると思っていたのですが、この話を聞く感じだと経験がない人が集まった感じですかね。

だめがね カデシュのスタッフで映像作品を撮ったことがある人は、スタート時点だとHatoyaくんくらいでした。仕事でやっている人もいませんね。

ムシコロリ ゲームもそうです。RPGツクールで作ったことはありますけども、本格的にゲームを作ったことはありません。

Hatoya 最初は撮る気で入ったわけではないですし、今撮影監督なのも、撮影していたスタッフが主演をやるから代わりにやりますという流れですね。そしたら撮影を担当した「エメス」が終わってもカメラ回すことになりました(笑)

ーーVRChatで撮影してみようってなったということですけども、映像制作のモチベーションはなんでしょうか。

だめがね なんでやっているかは難しいですね。なんか作っていないと不安で落ち着かない人が集まっている感じですかね。僕個人について言えば、今は他所からの評価が自己評価を追い越している状態なので埋め合わせをしないと気持ち悪いのもあります。

すま だからこそ「エメス」のディレクターズカット版を出すわけですからね。

だめがね 制作するのは評価の埋め合わせというのもありますし、「NINE」の影響も大きいですね。「NINE」の制作はイベントに合わせる必要がなかったので締切がないですよね。

「エメス」の場合だと、謎解きイベントの開催日が締め切りになっていたので、残念ながらカットしたシーンも多かったです。なので、「プロジェクト:エメス ファイナル・カット」は「NINE」へのリベンジという側面が強いですね。

ーー前に個人的にお会いしたときに、歩いているシーンのときにVRChatらしさなくしたいから椅子のギミックを使うといった工夫を入れていたりと、お話を聞いたことがあるのですが撮影時のアイディアはどこから来ているのでしょうか。

だめがね 基本的に撮りたいシーンが先にあって、担当スタッフから3回無理って言われないまで妥協しないと決めているので、それまでどうにかできないかアイデアを出し合う感じですね。

再生すると質問に出たシーンになります。歩いているシーンですが、実際に歩くとキレイに進まないため椅子のギミックを使ってキレイに見せるようにしているとのこと。

Hatoya マジで無茶振りでアイデアを引き出されている感じはしますね(笑)

ムシコロリ ワールド制作も同じで、誘導尋問を常にくらっている感じですね(笑)

だめがね 本当に無理なときは変えますね(笑)エメスの後半とかは多いですね。

ーーエメスの後半は絵コンテと撮影が行ったり来たりしているとは聞いたことがありますね。

だめがね 最近はなくなったのですけども、その場で絵コンテを描くことのはありましたね。

Hayato 全員が映像を專門にしているわけでもなく、仕事がある中で残りの時間を捧げていたのでそういった状況になるのは仕方ないかなと思います。この追い込まれている忙しさが撮影の魅力ですかね。

だめがね 忙しいのが好きなんでしょうね。

Hatoya 死を身近に感じないと生きている感じがしないというか……

ーー話を聞くだけでもハードな撮影現場のように聞こえますね……

すま イベントなどをやるために集まった集団というよりは、もともとフレンドが集まってできた集団なんですよね。みんなやっているわけだしってことで頑張っていますね。

Hatoya 隣人を裏切れないプレッシャーですね。

だめがね 友情を担保に努力の前借りをしている感じです。そのぐらいの気迫がないと長編映像は撮れないと個人的には思います。

すま それでダメならお金でプロの力を借りることになるかな……

だめがね カデシュの方針としては、プロフェッショナルから技能を借りる場合は代価を払っています。例えば作曲の葉月さんとか音響監督のくっしーさんとかにはお支払いをしています。

ヤスナカの良いところは不老不死にあるわけではない

ーー新作「ヴードゥー・キングダム」ではゾンビ映画を撮るのですが、ジャンルを決めた理由ってなんでしょうか。

だめがね 僕が好きだからですね。

すま 全部そうだよね。

だめがね カデシュのフィーチャーデイは、僕の好きな順でジャンルを選んでいます(笑)とはいえ、最近はどの映画ジャンルを全部好きだなと思うようになりました。あとは、ジャンルと結びつくキャラクターを検討して物語を決めます。

ーー今回のメインであるヤスナカとグレイはゾンビ映画で輝けると思い浮かんだわけですね。

だめがね 今回だとヤスナカはそうなります。ゾンビ映画といっても、なぜゾンビになるかというのは色々解釈があるのですけども、カデシュ世界のゾンビはヤスナカを基準に設定を作っていますね。

「ホテル・カデシュ」公式サイトより引用

ーーホテル・カデシュの設定ってどのように決めているのでしょうか。

だめがね 基本的に各キャストが持ち込んできた設定を尊重しています。そのうえで、設定を見て他のキャラクターと絡ませられないかってのは考えていますね。例えば、架空の国出身というのをいくつも出すのではなくて1つにまとめるみたいな感じです。

ーーVketの特別展にて不老不死設定を出していましたし、ゾンビ映画での抜擢は納得ではありますね。

だめがね あれは間違って出してしまったんですよね(笑)「ヴードゥーキングダム」はVketまでに間に合っているだろうと思っていました。

すま 実際はゾンビ映画とVketの出る順番は逆でしたね。

ヤスナカの不老不死についてはVketの特別展で展示されたフロップから判明していた

ーー特集記事に協力していただいたファンにさらっと不老不死なのを明かしましたねって話していたのですが、まさかミスだったとは……

Hatoya まぁみんな気づいているでしょって思っていたし、イベントでも見た目以上に年を重ねていることを混ぜていたりしていたのでいつ出ても大丈夫かなって思っていました。

ーー不老不死設定を先出ししちゃって大丈夫でしょうか

Hatoya 演じている自分が言うのもアレだけども、ヤスナカの良いところは不老不死なところにあるわけではないので大丈夫です。

だめがね ヤスナカはすごいしんどいキャラクターなんですけども、それはおいおいですね。

ーーヤスナカに合わせて相棒にグレイを抜擢したというわけですね。

だめがね 組ませて面白いヤツってことでグレイにしましたね。それに1人ずつメインをやっていたら順番が回ってきませんからね……(笑)

「ホテル・カデシュ」公式サイトより引用

「ヴードゥー・キングダム 眠れる王母」ゲームワールドを独占で最速体験!

そして、新作「ヴードゥー・キングダム」と併せて制作されるゲームワールド「ヴードゥー・キングダム 眠れる王母」を体験させてもらいました。製作途中のワールドを体験させてもらったため、ストーリー要素のネタバレはなく、変更される場合があります。

だめがね

今回はストーリーの量が膨大になってしまったのでゲームワールドを2つに分けることにしました。1つ目のゲームワールドは前日談的な内容になるのですが、10月21日12時に公開予定になっています。

今回のゲームワールドは、ゾンビを倒しながら施設の奥へと進んでいく流れとなっており、ゾンビを倒すのには斧などの近接武器と銃の2つを用意。同時プレイ可能人数3人×2で最大6人となっており、5人プレイ推奨のゲームとなっています。また、Standardモード(初回推奨)とRole Playモード(アバターパーティクル使用可)の存在もアナウンスされています。

※画面は開発中のものです。©2022 HOTEL QADESH PROJECT/COLORILAB
※画面は開発中のものです。©2022 HOTEL QADESH PROJECT/COLORILAB

施設の中にはかなり暗い場所もあり、ゾンビのうめき声とダメージと出る血しぶきもあって、ホラー要素が苦手な人はフレンドと一緒に行くなど備えておくのがオススメです。びっくり演出などはないものの、ホラー要素が苦手な筆者が、1人だと行けないぐらいには怖い仕上がりです。

※画面は開発中のものです。©2022 HOTEL QADESH PROJECT/COLORILAB

読んでいる人に向けてメッセージ

ーー最後に1人ずつ記事を読んでいる人に向けてメッセージをおねがいします。

くっしーEX

これからも素敵なコンテンツを作っていきますので、応援よろしくおねがいします。

葉月しおん

楽曲の方で映像作品やムシコロリさんの作るゲームワールドの雰囲気をバッチリ楽しませていこうと思いますのでよろしくおねがいします。

ムシコロリ

近々発表されるゲームワールドですが、いままでにない2つのゲームワールドを楽しみにお待ちしてください。

すま

イベントワールド、ゲーム問わず広がっていくカデシュの世界観に注目してもらえればと思います。

Hatoya

ヴードゥー・キングダムで、カメラ撮影以外に初めての主演をやります。どうぞご期待ください。

だめがね

ホテル・カデシュ10月で1.5周年になりますけども、これからも毎月新コンテンツが出ると思いますのでよろしくおねがいします。

ーーお忙しい中、本当にありがとうございました。

●参考リンク
「ホテルカデシュ」公式サイト
「ホテルカデシュ」Twitter