フォトグラファーの活躍一つとっても、その振り幅はさまざまです。
フォトコンテストの受賞を目指すのか、あるいはワールドを使って個展を開くのか。
何のために撮影するのかは十人十色。それこそ、フォトグラファーに聞いたり、作品を見るのが1番です。
今回インタビューするエスカルゴ・クオさんは、「写真が撮れなくなる」という葛藤を抱えながらも、現在は個展『奇跡の軌跡展』の開催を控えています。撮影に対するマインドの変化や、フレンドとの交流から生まれた作品について、お話を伺いました。
ようやく自分の写真が好きになれた
──個展の会場である『Gallery & fanCafé Kittens』主催の写真教室にも参加され、その卒業制作も見ていました。教室に通う前後での変化が印象的でしたが、教室を終え個展を控えた今、どのような心境でしょうか?
講師のmaido39さんは光と影を重視される方で、その影響もあり、撮影の際に光と影を意識するようになったのが一番の変化でした。ですが、教室の終盤には逆に写真が撮れなくなってしまったんです。

──かなり大変なことに……
自分の写真に求めるハードルが上がり、シャッターが切れなくなりました。心の中から自分が認められるものが出てこなくて……なんだろう基準が変わったのかな。
── 教室での学びを通じて目が肥えたことで、自分の理想と現実の作品との乖離に悩まされたということでしょうか。
もともと僕の根底には、フォトコンで賞を取らなければ価値がないと思っていました。ですが、撮りたいものが撮りたいっていう気持ちとフォトコンの審査委員が求めている写真を出さないといけないという矛盾している点に葛藤し悩んでいました。
──自分の写真に対して好きになれたのは心境の変化としては大きいですよね。
写真教室と個展を経て心の底から感じたのは、自分の写真は上手いなということでした。ちゃんと素直になれたのは、写真教室と個展を通じて良かったと思ったところですね。最初は自信がなくて色んな人に話を聞きに行ったり、本を読んだりしていましたから。
フレンドを通じて出会った写真撮影
──VRChatをはじめたのはいつ頃でしょうか。
2024年8月14日ですね。スタンミさんの動画を見て入ってきた感じですね。
──写真撮影との接点を持ったのはどういったきっかけでしたか?
初日に仲良くなったフレンドが、もともとリアルで写真を撮っている方で、その人に楽しさを教えてもらいました。最初はただ撮っていただけでしたね。いろんな人の写真をSNSなどで見るようになって、作品的な写真を撮ってみようと思ったのが2026年1月月頃になります。
──写真以外でのVRChatの楽しみ方はありますか?
今も変わらずなのですが、元々ワールド巡りがすごく好きです。もともとメンタルがすごく落ち込んでいた時期にはじめたのもあり、キレイな景色を見て心を癒やされたいなって思ってワールド巡りをよくしています。あとは仲良くなった友達とチルワールドでおしゃべりすることも多いですね。

──今回の個展はどういった流れで引き受けることになりましたか?
主催のkoujiさんのほうから僕の写真を見たいとおっしゃっていただいたので、それなら活動1年となる節目にこれまでの1年の軌跡を見ていただけたらと思って考え始めました。選定は、僕が綺麗だな、楽しかったなといった思い出があるものとなっています。
──アバターは『墨澄(スミスミ)』を使っていますが、どの点で気に入っていますか?
VRChatをはじめたときに『[JP] Tutorial world』に行ったのですが、そのときに展示されていたんですよ。一目惚れでしたね。最初は女性アバターはちょっと恥ずかしいなって思っていたのですが、1週間ぐらいで周りがみんな女の子だったので慣れました。

たまたまなのですが、VRChatを始める前にPEOPLE 1の『魔法の歌』って曲をオススメされて聞いていたのですが、そのミュージックビデオの動画を『墨澄』のキャラクターデザインをされたcoalowlさんが制作されていたんですよ。だから、『墨澄』と親和性を感じたのかなって今では思っています。
展示された作品を振り返って
──今回の展示では1階から3階まで古いものから最新のものへと辿る形式だと伺いました。1階からお気に入りの作品を伺えたらと思います。1階でお気に入りの作品はなんでしょうか。
1階だと富士フイルムさんのイベントにも提出した写真ですね。これですね……自分が初めてうまく撮れたなって感じた写真なんですよ。当時は言語化できなかったのですが、風や空気感を感じて、花びらが右から左に流れる感じでドラマチックです。富士フィルムさんのイベントに提出した時のコメントがあって改めてVRCで写真を撮るのが楽しいと感じたお気に入りの写真です。

──2階はどういった作品が展示されていますか。
去年のゴールデンウィークあたりに撮影した写真になります。

──他撮りが中心ですね。フレンドの一瞬の切り取りがものすごく上手いなぁって思います。
中には『墨澄』以外のアバターを使った自撮りもありますが、基本的には他撮りですね。

──そして展示方法もなかなか個性がありますね。写真立てを使うのは珍しいような。
作品の中にフレームがあったほうがいいものが何枚かあり、写真立てに飾ったら可愛いだろうなと感じた写真を数枚、あえて枠に入れて並べています。

──VR、スマートフォンなど見る環境によって印象が変わってくるものはありますよね。
写真立てのような小さい枠の中で見るのも、また別の感じ方ができると思います。実際に僕も見てみたいなと思って並べました。
──ワールドの主催者であるkoujiさんが、個展で輝くタイプだとおっしゃっていましたが、まさにといった感じがしますね。作品とワールドの配置に「こうしたい!」といった意図が全面に出ていて楽しいです。
好き勝手配置しようと思ったのは、moyukさんの影響もあったりしましたね。ちょうどそのときに公開された記事を読みました。

──2階でお気に入りの写真があればお願いします。
この5枚セットはフォトコンテストに出した作品です。これは2人とも僕のフレンドで、フォトコンテストには受賞できなかったのですが、他撮りを撮るのが楽しいなって思えるようになった1枚ですね。

元々最初の2枚は、僕が作品として写真を撮ろうと思ったkennzouさんとコバぽこさんへのリスペクトを表しています。2人とも魚眼を活用した写真を撮っていて、すごく面白いなって思って。
後の3枚は最初は僕のアイデアはなかったのですが、フレンド2人が一緒にアイデアを出して撮りました。

自分の撮りたいものをこれまで以上に撮ることが増えてきました。その結果、他撮り写真の楽しさを知り、他撮り写真を撮る機会が増えました。
──フォトコンテストで活躍するか、個展で活躍するか、同じフォトグラファーであっても方向性は人それぞれであり、求めたいものは異なるわけですね。
ターニングポイントになった写真なので思い出に残っています。一番最後の写真は絶対に僕だけじゃ撮れなかった写真だし、当時の撮影技術もない状態でこの写真が撮れたことが自分自身あり得ないと思ってて。なので、今回の個展の名前である『奇跡の軌跡展』にあった通り、1人では生み出せなかった奇跡をたくさん集めた展示になっています。

──3階に行きましょう。机の上にも作品がありますが、こちらはどうでしょうか。
右側の写真はフレンドが写っているものなのですが、その写真を見ながら帰るシーンを撮りたくて作ったものです。

旅をテーマにしたフォトコンテストに向けて出した作品なのですが、旅と聞いてイメージしたのが別れた後の瞬間、またねってなる瞬間でした。そう思ったのが、大阪で行われた展示会の帰りのバスの中で思って、それをVRの写真でやりたくて撮影しました。

──最後にここまで読んでくださった方へメッセージをお願いします。
個展に入った瞬間、挨拶のパネルがあるのですが、そこに書かれていることが僕が伝えたいことすべてです。
個展は15日から1ヶ月の期間限定開催
3階の一番奥にある写真はSNSには公開されていない新規に撮影した作品です。1年の軌跡の最後、今を切り取る作品はぜひとも自分の目で確かめてください。
エスカルゴ・クオさんの個展『奇跡の軌跡展』は、3月15日から4月18日までVRChatのワールド『Gallery & fanCafé Kittens』で公開中です。




















