【超入門】メタバースとは?定義と今注目の理由を徹底解説

【超入門】メタバースとは?定義と今注目の理由を徹底解説

最近、メタバースという言葉を様々なところで耳にするようになりました。日本トレンドサーチが今年1月18日に発表した調査によると、「メタバース」という言葉の知名度は約25%だといいます。それから3ヵ月、マスメディアでの報道なども鑑みると、知名度はさらにあがっているでしょう。

しかし、「メタバース」がいったいどういった概念なのか、それを正確に説明できる人はまだ少ないです。それは、統一的かつ明確な定義がまだ存在しないからです。本記事では、こうしたメタバースの定義と、そしてなぜ今話題になっているのかについて、現在のメタバース・ブームの原点であるMeta社「Connect 2021」の基調講演を振り返って、徹底解説します。

Meta社「Connect2021」ザッカーバーグ氏による基調講演

メタバースはもともとSFの造語?

そもそも、「メタバース」(Metaverse)とはアメリカのSF作家ニール・スティーブンスン氏が1998年に出版した小説「スノウ・クラッシュ」に登場する架空の仮想空間サービスの名称です。超越するという意味の「Meta」と宇宙を表す「Universe」を組み合わせた造語で、自分自身の分身となる「アヴァター」(Avatar)を通じて行動することができ、人々はゴーグルとイヤホンを装着してその世界に入ります。

スノウ・クラッシュ〔新版〕 上 ニール・スティーヴンスン(著/文) - 早川書房
2022年11月に早川書房より復刊した「スノウ・クラッシュ」

まだインターネットも普及しきっていない時代に、VRを用いた仮想空間コミュニケーションまで到達していた本作。その先見の明からGoogleの創業者ラリー・ペイジ氏やセルゲイ・ブリン氏、Oculus創業者のパルマー・ラッキー氏なども支持を公言しており、現在まで多くの著名人、技術者などに影響を与えてきました。

現在のメタバース・ブーム 原点は「Connect2021」

「Connect 2021」で社名変更を発表したMeta社

現在、30代以上の世代だと、いまのメタバース・ブームに対して、2003年にサービスが開始され、一時日本のマスメディアでも大々的に取り扱われた「Second Life」のブームを想起する人もいるでしょう。なぜ、約20年ほどたった今また「メタバース」という単語やその動きがブームになっているのでしょうか。

それは、昨年10月29日に旧Facebook社が行った年次開発者会議「Connect 2021」の基調講演および、そこで発表された同社の「Meta」への社名変更が要因です。GAFAの一角であるビックテックカンパニーMeta社は、自社ブランドを改革し、今後はメタバース企業としてその開発により注力することを宣言しました。これを機に、メディアを中心に関連報道が加速し、多くの企業もメタバース領域への進出を目指し、現在のブームへと至ります。

いわば「メタバース・ブームの原点」ともいえるこの基調講演でザッカーバーグ氏は何を語ったのでしょうか。これを手掛かりにメタバースの定義となぜ今なのかに対する考察を深めていきます。

メタバースの定義とは?

では、実際に基調講演を見ていきましょう。基調講演の冒頭、ザッカーバーグ氏はメタバースの定義を、「人々の体験や繋がり、人間を中核に据えて構築されるテクノロジー、それがメタバースです。」と語っています。

私たちはメタバースがインターネットの新時代を築くと信じています。私たちはどれだけ離れていてもおなじ場所にいるように感じられるようになるのです。より楽しくより没入感のある新しい表現方法が可能になります。息をのむような新しい体験が実現するでしょう。それこそが私たちが提唱する具現化されたインターネットです。

Meta社CEO マーク・ザッカーバーグ氏(「Connect2021」基調講演)

この「具現化されたインターネット」というのはひとつ分かりやすい定義です。そして、メタバースの根幹となるもっとも大事な要素は「その場にいるという感覚」であるとし、次にメタバースで自分を表現するアバターが大切だと語りました。

「Connect2021」でザッカーバーグ氏が語ったメタバースに必要な8要素

ここまでをまとめるとザッカーバーグ氏は「メタバースは、具現化されたインターネット。私たちの過ごす時間をより豊かにするもので、距離を超えてアバターを通じたコミュニケーションが取れる時代で、ひとつのプラットフォームではなく相互運用性の高い形で実現されるべきもの」と定義していることが見受けられます。そして、なかでも「その場にいるという感覚」を実現するVR技術をかなり重要視しています。

先日、「メタバース進化論」を出版したメタバース文化エヴァンジェリストのバーチャル美少女ねむ氏は、メタバースの定義を「リアルタイムに大規模多数の人が参加してコミュニケーションと経済活動ができるオンラインの三次元仮想空間」とし、以下の7要件を提示しました。こちらも簡潔に定義がまとまっているので紹介いたします。

メタバースの7要件(出典:バーチャル美少女ねむ著「メタバース進化論」)

・空間性:三次元の空間の広がりのある世界
・自己同一性:自分のアイデンティティを投影した唯一無二の自由なアバターの姿で存在できる世界
・大規模同時接続性:大量のユーザーがリアルタイムに同じ場所に集まることのできる世界
・創造性:プラットフォームによりコンテンツが提供されるだけでなく、ユーザー自身が自由にコンテンツを持ち込んだり創造できる世界
・経済性:ユーザー同士でコンテンツ・サービス・お金を交換でき、現実と同じように経済活動をして暮らしていける世界
・アクセス性:スマートフォン・PC・AR/VRなど、目的に応じて最適なアクセス手段を選ぶことができ、物理現実と仮想現実が垣根なくつながる世界
・没入性:アクセス手段の一つとしてAR/VRなどの没入手段が用意されており、まるで実際にその世界にいるかのような没入感のある充実した体験ができる世界

なぜ今メタバース?「VR技術」「常時接続型コミュニティ」「コロナ禍」

約20年前にもブームと化したメタバース。当時は、一時大手企業などが参入し、報道が過熱するもブームは一時収束したという見方が大半です。そんなメタバースですが、Meta社により引き起こされた現在のブームはまた収束してしまうのでしょうか?ザッカーバーグ氏が語るようにメタバースは本当に社会を大きく変える革命なのでしょうか?

なぜ、いまメタバースなのか。筆者は、これには大きく分けて3つの要因があると考えています。それは、「VR技術の発展と普及」「常時接続型コミュニティの流れ」「コロナ禍によるオンライン化・DXの流れ」です。それぞれ解説していきましょう。

VR技術の発展と普及

先ほど紹介した「Connect 2021」の基調講演に置いて、ザッカーバーグ氏は「メタバースの根幹となるもっとも大事な要素はその場にいるという感覚だ」と語りました。これを実現しているのがVR技術です。

VRゴーグルの技術開発は1960年代に始まりました。コンピュータグラフィックスの祖である研究者・アイバン・サザランド氏は1968年にVRゴーグルの先祖ともいえるメカニカルトラッキングシステム「The Sword of Damocles」を開発し、1980年代にはNASAにより「The Virtual Environment Workstation」が開発されるなど、研究・産業用途での進化を歩んできました。

そして、2012年にアメリカのパルマー・ラッキー氏がクラウドファンディングKickstarterに登場。当時は、研究・産業用途でのみ流通していたVRゴーグルをコンシューマー向けに開発することを発表しました。同時期に、ソニー・インタラクティブ・エンターテインメント社から「PlayStation VR」が、Valve社HTC社により「HTC Vive」も発表。この3製品すべてが、2016年の発売となり、この年は「VR元年」と呼ばれました。

このパルマー・ラッキー氏が創業したVRメーカー・Oculus社を2014年に当時のFacebook社(現・Meta社)が買収。2020年10月には、「Oculus Quest2」(現:Meta Quest2)が3万円台で発売され、同機は現在世界で1000万台以上の販売を記録するなど、この6年の間にVR技術は大きく発展・普及しました。

Amazon | Quest 2—完全ワイヤレスのオールインワンVRヘッドセット—128GB | ゲーム
Meta社販売「Meta Quest2」。価格は3万7180円

常時接続型コミュニティの流れ

常時接続型コミュニティは、昨年2021年2月に行われたアル社けんすう氏とREALITY社DJ RIO氏の対談イベント「アルとREALITYがライブ配信の次、常時接続型コミュニティについてかんがえる」にてフィーチャーされたけんすう氏が提唱する概念です。

「TwitterなどのテキストSNS」「Instagramなどの画像SNS」「TikTokなどの動画SNS」と「人間はより密に、リッチに向かう傾向がある」と分析。次に来るSNSは、「リアルタイムで繋がるSNS=常時接続SNS」だと仮説を立て、そこで形成されるコミュニティを「常時接続型コミュニティ」と称しました。

上記スライドでも示している通り、最終的にはVRに行き着くとしていますが、これはまさにMeta社が指している「メタバース」の流れそのものです。

コロナ禍によるオンライン化・DXの流れ

2020年初頭から猛威をふるった新型コロナウイルス感染症(COVID19)の流行。それは、私たちの生活を大きく変えました。そのひとつに、世界的なオンライン化・DXの流れの急速化があります。多くの仕事や学校は、リモートとなり、外出制限・飲食店等の営業自粛から、人々はオンラインで過ごす時間が圧倒的に長くなり、在宅での活動を余儀なくされました。

こうした中で、ビデオ会議の流行や、ライブ配信市場の拡大なども加速しました。VRやメタバースも例外ではありません。リアルでのつながりを感じる機会が限りなく減ってしまったために、上記でけんすうさんが指した「常時接続型コミュニティ」への流れはさらに加速したといえるでしょう。

現在、さまざまな企業がVR・メタバースソリューションに興味を示しているのも、コロナ禍で失われた顧客とのコミュニケーション機会をいかにして復活させるのかという課題とマッチしているからという部分も大きいのです。

メタバース上で開催される世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」PV
昨年12月開催の「同2021」では、約80社の企業ブースが出展した

必要最小限のメタバース「ソーシャルVR」

上記3つの要因をうけて、現在徐々にその利用者数を増やしている仮想空間コミュニケーションサービスがあります。それが「ソーシャルVR」です。事実、代表的なソーシャルVRサービスの1つである「VRChat」は、2020年末に同時接続数約4万人であったのが、2021年末には約8.8万人と2倍以上を記録するなど、着実にそのユーザー数を増やしています。

代表的なソーシャルVR「VRChat」の公式トレーラー

「ソーシャルVR」とは、3DCGで構成された空間(VR空間)上で、アバターを介してコミュニケーションをとることができるソーシャル・ネットワーキングサービスを指す総称で、その多くは、VR空間上のコンテンツ(アバター・ワールドなど)をユーザーが制作し、提供する、いわゆるUGCの形式が取られている点などが特徴です。

先述した「メタバース進化論」においても、7要件をすべて最小限に満たしている「必要最小限のメタバース」として取り上げていたり、「未来ビジネス図解 仮想空間とVR〈メタバース〉」においても、VRChatを「メタバースに最も近いサービス」と紹介するなど、現在注目を集めるサービスです。

次回は、この「ソーシャルVR」に注目をして、サービスの特徴や具体的なプラットフォーム、始めるために必要なものなどを紹介していきます。

ABOUT US
アシュトン「メタカル最前線」編集長
2021年3月より「VRChat」はじめソーシャルVR/メタバースの魅力を発信するメタバースライターとして活動。週100時間以上仮想空間で生活する「メタバース住人」として、AbemaTV「ABEMA PRIME」、関西テレビ「報道ランナー」、TBS「サンデー・ジャポン」ほか多くのメディア取材を受ける。2022年4月に「メタカル最前線」を創刊。