「アレステッド・レポート」独占取材!VAGRANTの新作、背後の制作秘話とは?

BOOTHショップ「VAGRANT」は9月2日、新作衣装「アレステッド・レポート」を発売しました。JINGO CHANNELによるオリジナルアバター「マヌカ」のリリースに合わせ制作された同衣装。現在は、「セレスティア」「萌」「桔梗」に対応しているほか、今後「森羅」への対応予定もあるとのことです。

そんな本商品の魅力に迫るため、「VAGRANT」オーナーのRain Minstrel(以下、レイン)さんにインタビューを敢行。制作秘話や、こだわりポイント、さらには先日開催された「アレステッド・レポート集会」についてなど、深掘り取材を行いました!

【マヌカ対応】アレステッド・レポート

ショップ名:VAGRANT
価格:2400円(税込)

※萌、桔梗、セレスティア対応はこちらのリンクから

マヌカちゃんは純真無垢なお嬢様 キャライメージを反転し「警察官」に

――改めて「アレステッド・レポート」の発売おめでとうございます。さっそく好評となっていますが、まず今回の制作に至る経緯についてお聞かせください。

はじめに、ジンゴさんが「マヌカ」ちゃんの制作発表を見て、お問い合わせをしました。それで、8月くらいに先行して素体をいただけて、そこからデザインなどを考え始めました。

まず、ジンゴさんにキャラクター設定をいろいろとヒアリングしてみたんです。マヌカちゃんは、幼いけどカフェのオーナー店長なんです。デフォルト服はカフェの制服ですよね。幼いのにカフェのオーナーということは、親がお金持ちなんだろうなとか、良いところで育ったお嬢様なんだろうなとか、温室育ちでちょっと天然なところもあるけど、素直な子なんだろうなとか、想像を膨らませてみました。

最初はそんな純真無垢なイメージから、休日のお嬢様みたいな感じでゴシック系のデザインを考えてみたんです。ただ、ちょうどその時期に他のショップさんからゴシック系の衣装が出たりして、それだと被っちゃうなと。そこから、一度白紙に戻して考え直していました。

――初めは全然違うテイストで考えてたんですね。そこから一気に「警察官」というテーマを選んだのはまたどうしてなんでしょう?

また一から方向性を考えているときに、キュビクローゼットさんの「舞夜」ちゃん向けの衣装を制作した時のことを思い出したんです。いま販売している「ファースト・ラブ」のリメイク元になった衣装ですね。あのときも、同じくキャラクターの解釈から始めたんですけど、魔女っ子から敢えて逆を突いて現代風の衣装にしたんです。

それで今回も、この図式で、キャラクターイメージから真逆に反転してあげる方向で考えてみようと思いました。

――なるほど。先ほどのお話でいうと「幼いけどカフェオーナーのお嬢様」から反転するということですね。

そうです。それで、カフェの真逆ってなんだろうと。職業制服系にしようと思ったんです。

カフェの制服って、おとなしいイメージがあるじゃないですか。そこの逆ということで、振り切って強いイメージにしようと。それで、警察官を思いつきました。警察官の制服ってコスプレだと定番なのに、BOOTHだとまだあまり見かけないんですよね。ただ、警察官で決定するかは何日か悩んだんです。イメージに合うかなと。

マヌカちゃんってJINGOさんのデザインの中でも幼いイメージで、新米の女の子という感じならワンチャンあるかなとか、それで制作を始めました。

プラベポリスな演出も?作者に聞いたこだわりポイント!

――なるほど。ちなみに、警察官といってもいろいろな制服がありますよね。国によっても違うし。そのあたりは、どうデザインの参考にしましたか。

そうなんです。警察官にしようと思ってからも、例えばアメリカと日本だと制服のデザインが全然違う。今回は結構混成タイプですね。

例えば、帽子はアメリカンポリスな感じです。肩にあるロープは、日本に特有なデザインですよね。あと、無線とかはアジア圏の警察官に多いイメージです。

他方でフィクションっぽいところもあって。無線機のコードが背中の方に繋がっているのはちょっと現実だと変な感じですよね。これは、今回小物が多すぎて上半身がごちゃごちゃしちゃいすぎるので、後ろに回しました。

あと、お腹周りですね。最初のデザインでは露出もなくてこんなに大胆なデザインじゃなかったんです。ただ、普通に警察官さんの制服を再現してもあまり色気がないなと思って。それで、ジンゴアバターの最大の強みはおへそ周りだろうということで、大胆に開けてみました。ただ、やはりここにも説得力を持たせたいので、ハーネスとサスペンダーを追加したんです。

――たしかに。おヘソ周りを大胆に出してあげることで、VRChat衣装らしくなってますよね。

あと、これは余談ですが、今回の衣装を見てフレンドさんが「プラベポリスだ!」って言ってて(笑)

ちょっとエッチな要素はあえて入れてるんです。ただ、コスプレっぽくするんじゃなくて、あくまでも説得力やリアリティがあるデザインにもしたいと。素材の質感とかは今回もかなり気を使っています。中でも特に力を入れたのが、このシャツの胸ポケットのところです。ここだけで6時間くらいかけてるんですよ。

――6時間も!シャツだと大体形も決まっているものだと思いますが、どこをそんなにこだわったんでしょうか?

この胸ポケットのスリットのところです。ここはなるべく完璧にしたかった。

BOOTHでもシャツの衣装って結構多いじゃないですか。ただ、大体の胸ポケットってスリットの部分は閉じてるんですよね。ここをなるべく立体的に表現したかったんです。胸が大きい女の子が多いので、そのふくらみでスリットの部分が少し広がっちゃうという。

――細かいですね~。そういうところが説得力のある表現につながってくると。

ミニスカートの部分もこだわってます。おしりのラインになるべくぴったり合うように調整して、影も塗ってあげたりしていて。一度、VRでVRChatに来た時にフレンドさんがアレステッド・レポートを着てくれてたんです。それで目の前でおしりを振ってくれて、「これはエッチすぎる。なんてものを作ってしまったんだ」と我ながら驚きました(笑)

――エッチな表現みたいなところでいうと、今回下着がニップレスになってますよね。これは随分攻めたデザインだなと思いました(笑)

せっかくの女性警察官制服ですよ。治安を守るみたいなロールプレイをしてほしいわけです。それで、夜が更けてくると……。そのときに、急に別の衣装になったら冷めちゃうよなと。警察官さんとロールプレイをして、そのまま脱いでみたら…….。みたいな演出です。

やっぱりVRChatの衣装はキレイなだけじゃ足りないと思います。ある程度大胆さがないと。あくまで持論ですが。それで、僕は「フレンドプラスインスタンスで着られる」衣装を意識してるんです。今回は、さらにそこから一歩踏み出して、「表向きには普通の恰好だけど、パーツを少し着脱すると……」という趣にしてみました。

ショップワールド制作も? ブランドを起点に生まれるコミュニティ

――ちなみに、先ほどキャラクター設定を重視されているというお話がありましたが、「マヌカちゃんが警察官になる」というところにもストーリーを持たせてたりってするんでしょうか。

ストーリーというほどではないですが。僕の頭の中では、なんとなくありますね。マヌカちゃんっておっちょこちょいなところがあると思うんです。新米で警察官になって、それで先輩にはよく怒られてそう。今回、衣装を作っていく中で、ジンゴさんに進捗をお知らせした時に「マヌカちゃんに合うようにって作ってくれてるけど、これいろんなアバターに似合いそうだね」と言ってくださって。

まだ対応できてませんが、「森羅」ちゃんとかは結構厳しそうですし、立場も上にいそうですよね。刑事ドラマとかでよくあるバディみたいなところでいうと、「桔梗」ちゃんと「セレスティア」ちゃんはベテランでバディを組んでそう。「萌」ちゃんは、マヌカちゃんよりは少し早く入ってきたけど、他の皆ほどではないという感じで。マヌカちゃんの世話役みたいな感じでバディを組んでてほしいですね。

――ロールプレイングで撮影会とかしてみたら楽しそう!そういえば、先日集会イベントも開催されてましたよね。

そうなんです。実は主催するのは今回が初めてだったんです。これまでは、「ナイト・イン・シャンハイ」のときにユーザーの皆さんが集会を開いてくれていて。今回も衣装発売をしてから、にゃるきーちゃんという方が集会イベントを開きたいとお問い合わせしてくれて、そこからじゃあ一緒に開いちゃいましょうと。

――そうだったんですね。今回自ら主催してみようと思ったのはどういう想いがあったんでしょうか

これまではお忍びでの参加だったんですよ。僕自身はあまり名前も出してこなかったので、集会の最後の方になって「実は作者でした」みたいな露出の仕方が多くて。やっぱりもっと直接ユーザーさんの声が聞きたいなという動機からですね。

――今回は2インスタンス制で、各40人、計80人が参加されたそうですね。かなり盛り上がったんじゃないでしょうか。

もうほんとに。にゃるきーちゃんの提案で「作者とツーショット」という企画を立てたんです。僕としては、僕自身と写真撮りたい人なんてそんなにいるのかなと思っていたんですが、いざ蓋を開けてみると、時間内に撮影しきれないほど希望してくれて。「こんなに並んでくれるのか」と驚きましたね。

しかも、イベント用に立ち上げたVRChatグループには160人くらい登録があったので、半分くらいはインスタンスフルで入れなかった方もいた。自分のブランドの衣装でこんなに集まってくれるというのは嬉しいですよね。

――もともと「ナイト・イン・シャンハイ」からユーザー発で始まった集会イベントを、今回はご自身で開催されたわけですが、今後もこうしたブランドのファンとの交流や集会イベントなどは行っていく予定ですか?

集会イベントに関しては、今回はたまたま制服衣装で、ロールプレイに適しているなと思って主催しました。今後も気紛れでやることはあるかもしれませんが、いまのところは特に予定していないですね。ただ、今回グループを立ち上げた理由にもなるのですが、『VAGRANT』の常設展示ワールドを現在制作しているんです。

オープン予定日は未定ですが、バーのような雰囲気のワールドになっています。そこで、僕がバーテンダーみたいな形で、お客さんと意見交換するようなイベントを定期開催したいと思っています。僕のショップのファンももちろんですが、BOOTHでいろいろと商品を購入したり、改変をしたりしているユーザーの声をもっと直接聞いていきたいなと。

●参考リンク
「VAGRANT」公式Twitter
「VAGRANT」BOOTHショップページ

ABOUT US
アシュトン「メタカル最前線」初代編集長
2021年3月より「VRChat」はじめソーシャルVR/メタバースの魅力を発信するメタバースライターとして活動。週100時間以上仮想空間で生活する「メタバース住人」として、AbemaTV「ABEMA PRIME」、関西テレビ「報道ランナー」、TBS「サンデー・ジャポン」ほか多くのメディア取材を受ける。2022年4月に「メタカル最前線」を創刊。