初心者の方について回る問題が「所属コミュニティ」。VRChatでは他の人と繋がるためのきっかけが多くはありません。
また、「友達に会いに行ったけど、もう人の輪が出来上がっていて入るのが気まずい……」なんてことを聞くこともしばしば。
私も始めたばかりの時、「Unityが……」「Blenderが……」とチンプンカンプンなハナシが繰り広げられていてスゴスゴと退出したこと数知れずでした。そんな時に耳にしたのが「同期会」の存在。始めてすぐの初心者がたくさん所属しているコミュニティだそう。これはVRChat初心者の為の拠り所としてはうってつけの場所なのでは……?
ということで今回はVRC同期会を作るイベント『同期会を作ろう!』主催をしつつ自身も『2021年11月同期会』の主催をしているmagariまがさんと『2024年1月同期会』主催の天波たくみさんにインタビューしてきました。
初心者同士だからのコミュニケーション
──VRC同期会のコンセプトはどのようなものですか?
magariまが 同期会という名前の通り、VRChatを同じ月に始めた人同士で「同期」として仲良くなってもらうというようなコンセプトです。
──やはり同じ時期に始めた人同士だと仲良くなりやすいものなのでしょうか。
magariまが そうですね。初心者同士であるとかコミュニティを持っていない人同士であるということもあってか、積極的に交流されますね。イベントでも、5分か10分ほどしたらあちらこちらで交流の輪が出来て会話を楽しんでいます。最近のイベントはインスタンスが4個ほど建つのですが、インスタンス間で参加者をシャッフルしてもすぐに打ち解けて交流が活発になります。
──4インスタンスほど建つとのことですが、参加者は100人ほどになるのでしょうか。
magariまが 最近のイベントの参加者数は130〜140人ほどになります。このほぼ全員がその月に始められた方と思ってもらって構いません。
──同期会の運営方法はどのようなものですか?
magariまが 『同期会を作ろう!』の開催をすると共にDiscordサーバーを開設してそちらへの参加を勧めています。参加された方に立候補していただいて運営スタッフや主催などをお譲りするという形です
──そして立候補して『24年1月同期会』の主催になられたのが天波さんということだと思いますが、主催に立候補された理由などございますか?
天波たくみ 24年1月に始めたからにはこの同期会以外に参加するということはないじゃないですか。なので自分たちがこれから先ずっと所属していく同期会を自分の手でより良い所にしていきたいなという思いがありました。その中で主催という形で貢献できるのであればそれは凄く良いことなのかなと思い、立候補した形です。
安心感と多様性の両立
──『同期会を作ろう!』というイベントを主催されていますけれども、なぜこのイベントを始めたのか教えてください。
magariまが 2021年の11月に私自身VRChatを始めたんですけれども、始めてすぐに『VRChat初心者集会』というイベントに参加しまして、イベントのアフターで同期会というものの存在を知りました。その後初心者集会のスタッフをすることになった際、姉妹イベントとして『同期会を作ろう!』の原形ができあがりました。
1年ほど経って初心者集会に参加してない方も同期会に来られるようになったので、独立するかたちで現在の『同期会を作ろう!』のイベントができました。同期会自体は2018年くらいからTwitterのハッシュタグなどであったもので、私自身はその同期会を積極的に作るのを促す形でイベントを開催しています。
──VRC同期会では普段どのようなことをしているかについて教えてください。
magariまが 私が所属している21年11月同期会では定期的に交流イベントを開催しています。最近は同期会をきっかけに仲良くなった人同士で集まったりしている様子です。
基本的には同期会のイベントの開催、あとは興味関心に応じた部活を同期会内に設立して活動したりというのも見受けられます。とはいえこの部活の方は運営が何かするというよりは有志の方がされるような形です。
天波たくみ 24年1月同期会は同期会イベントを月に1回開催しています。そしてまがさんの話の中に出てきた部活の話ですと、1ヶ月で10ほど部活が立ち上がりました。
たとえば『Unityガチでマジで本当に何もかもわからん部』では部室ワールドに集まってUnityについて教えあったり、作業配信をしたりしています。また『V睡部』では週に1回集まってV睡して、朝6時半になったらラジオ体操をして解散するというような催しをしています。
とくに力を入れたいなと思っているのは『お誕生日お祝い部』です。月単位で合同の誕生日会を行う部活です。
──同期会同士の交流会などってあるのでしょうか。
magariまが 合同の同期会という形で交流することもありますし、同期会の主催者が集まる場所を用意したりもしています。また、前後の月のスタッフ同士で交流を促すようなことも行ったりと、横のつながりを作りやすいような環境です。
ただ1つルールとして『同期会が出来てから2〜3か月の間は合同の同期会とかはしないで同期会内の人との交流を大事にしてね』とお願いしています。
『Apex Legends』や『Valolant』、麻雀の月対抗戦も開催されました。これは有志の方が企画されてたのをお手伝いしましたね。部活の設立も結構盛んなんですけれども、時間が経ってくると活動が下火になることもあります。なので月を跨いだ部活の交流会をこれから設けていこうかなと思っています。
magariまが 同期会というコミュニティの性質上メンバーはゆるやかに減っていく一方です。なので、たとえば3か月とか半年、最終的には1年の単位で交流できる機会も作っていくつもりです。
──VRC同期会に参加してよかったことは何ですか?
magariまが 偶然同じ月に始めたという絆や共通点があるのは参加してよかったことです。また、VRChatで既存のコミュニティに入ることに抵抗を感じてしまう人もいるので、抵抗感のある人でも集まれるグループや機会になっているというのは、主催していてよかったなと思います。
天波たくみ コミュニティ内では、さまざまな趣味嗜好や異なる界隈に属している人がいます。自分が行ったことのなかった界隈やイベントについて、交流の中で情報を貰えるというのは同期会ならではの良さかなと思います。不特定多数がいる場所に行けば同じことができるかもしれませんが、安心な場所で多様性のあることを知ることができるのは魅力だなと思ってます。
最後に
──VRC同期会に参加するにはどうすればよいですか?
magariまが 同期会を作ろう!のイベントに関しては、私のTwitterにて告知をしているので、それを見て頂いて参加してもらう形になります。他にもVRC同期会のTwitterとウェブサイトは用意してあります。
──VRC同期会に参加するにあたって何かしら注意すべき点はありますか?
magariまが とくにはありません。ただ同期という形にはなっていますが、アカウントを開設した日とか明確な定義を持っているわけではありません。アカウントを開設したのは昔だけどほとんどプレイしておらず、最近本格的に始めたという方にもご参加いただきたいなと思っております。ただ、Trastedになるくらいプレイされた方で、今まで狭いコミュニティに閉じこもっていたのでこれから始めるという方にはその月の同期会はご遠慮いただき、開始月の同期会をご案内しております。
同じ物が好きな訳でも同じ物に興味があるわけでもない、ただただ同じ時期に始めた人。そんな人たちが集まって運営しているからこその活気やエネルギーをお2人のインタビューから感じました。
初心者で不安なあなたも、長い時間を経てVRChatでの生活が少しマンネリ化してきたあなたも、まだ見ぬ「同期」に出会ってみませんか?
(TEXT BY 柿崎あおい)
●参考リンク
・magariまが(Twitter)
・天波たくみ(Twitter)
・VRC同期会(Twitter)
・VRC同期会(Web)