総合マーケットプレイス「BOOTH」にて売買されている「3Dモデル」カテゴリアイテムの取引データをまとめた「BOOTH 3Dモデルカテゴリ取引白書2025」が発表されました。
2024年の3Dモデル取扱高は、前年比約187%の58億円を突破。注文件数、注文者数も増加し、人気配信者や人気ワールドを起爆剤としたVRChat人口増加が、BOOTHにも大きく影響したことが明かされています。
取扱高は58億円に!人気配信者などが追い風になったか
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まず驚くべきは、3Dモデルカテゴリ取扱高の成長率です。2023年は約31億円だったのに対し、2024年は58億円超。前年比約187%と大きな成長ぶりを見せています。
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取扱高だけでなく、注文件数は前年比約2倍の402万件、注文者数も前年比約1.5倍の21万人となり、2024年に多くの人が3DモデルをBOOTHで購入するようになったことがうかがえます。
この急成長の要因として、白書内では以下のような考察がされています。
2024年の急激な成長の背景として、以下が推測されます。
・VRChatを取り上げた人気配信者の動画が話題になったこと
・VRChat内での出会いを広げるワールドが人気を博したこと
・アバターの衣装などの着せ替えを簡易化するツールや環境が普及したこと大きな要因がひとつだけあったわけではなく、さまざまな出来事が影響しあったことで想像以上の化学反応が起こったと言えそうです。
中でも、人気配信者の動画をきっかけにVRChatを始めたユーザーは多かったと思われます。(「BOOTH 3Dモデルカテゴリ取引白書2025」より引用)
2024年は、ストリーマーのスタンミさんがVRChat配信をスタートし、VRChatの知名度を大きく引き上げた一年でした。また、1対1の会話が楽しめる「NAGiSA」の登場や、「Modular Avatar」などのアバター改変向けツールの充実など、新規ユーザーも参入しやすい環境が急速に整いました。
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これを裏付ける資料として、2023年から2024年の注文件数推移グラフが提示されています。一目でわかると思いますが、スタンミさんのVRChat配信の人気が高まった2024年8月を境に、注文件数が一気に増えています。この時期にVRChatを始めた人が、なにかしらアバターや服を買った……と推測できます。
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また、2023年から2024年にかけての「初回注文者数」の推移を記録したグラフも公開。ここからわかるのは、8月に初めて3Dモデルを買った人が多数いる一方で、9月以降の数が2024年7月以前よりも多いこと。
瞬間的な増加にとどまらず、8月を境目として、より多くの人がVRChatと3Dモデル文化に触れている……わかりやすくまとめるならば「新規ユーザーが一気に増えた」と言えるかもしれません。
アバターの相場が決まってきた?ギフト文化も着実に浸透
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ユーザーの支出についてのデータも公開されました。まず、年間支出額ごとのユーザー数の分布は、全金額で人数が増加。少額出費のライトユーザーが一気に増えた……とはならず、高額出費のヘビーユーザーもまんべんなく増えています。
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「3Dモデル」のサブカテゴリ「3Dキャラクター」商品の価格帯と注文件数をまとめたグラフも、全体的な傾向は2023年と同様なものの、「5,000円〜6,999円」が特に伸びています。現在のアバターの平均的な価格帯がこのあたりですが、この金額に手を出す人が増えているとなると、いわゆる「相場」がここに定まっていると見られます。
数値などは公開されていませんが、「3D衣装」「3D装飾品」カテゴリも大きく伸びたとのこと。白書内では、「流行に乗りたい」「自分もいろんな服を着て見てもらいたい」といったユーザー動向を推測しつつ、リアルクローズ風の衣装が人気を得ていると言及しています。
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また、ギフト機能を活用するユーザーも増えているようです。2023年から2024年にかけての3Dモデルカテゴリのギフト注文件数は右肩上がり。2024年12月25日(つまり、クリスマス!)のギフト注文の割合はなんと30%だったそう。クリエイターではない第三者のギフトキャンペーンが物議を醸しつつも、ギフト文化は着実に浸透していそうです。
BOOTHの機能追加も検討中
白書の最後では、さらなる3Dモデルカテゴリの成長と、3Dクリエイターとファンへの貢献につなげるべく、以下のような機能追加が検討されていると紹介されています。(※あくまで検討段階であり、変更や中止となる場合があるとのこと)
- ライブラリの構造見直し
- 無料ダウンロード商品の入手履歴を残すようにする
- ライブラリ内のアイテムの検索をできるようにする
- 検索条件としてカテゴリでの絞り込みなどを追加
- メッセージ機能の拡充
- 画像送信を可能にする
- メッセージ送信画面にショップからの案内文言を掲示できるようにする
- 重要なメッセージを見つけやすくする
(「BOOTH 3Dモデルカテゴリ取引白書2025」より引用)
「VRoid Studio」の新機能「着せ替え機能」の拡充も予定しているとのこと。アバターとアバターファッション文化は2025年もさらなる盛り上がりを見せていきそうです。
●参考リンク
・「BOOTH 3Dモデルカテゴリ取引白書2025」
・BOOTH 公式X