本日11月8日~13日までの期間に、「JIMTOF2022」と呼ばれる工作機械の見本市が行われていることをご存じでしょうか?正式名称は、「第31回 日本国際工作機械見本市」。東京ビックサイトにて行われている、業界向けのBtoB展示会イベントです。
そんな一見するとメタバースと何ら関係のないこのイベントに合わせ、あの稲盛和夫氏や京セラドームなどで有名な大企業・京セラ株式会社が、ソーシャルメタバース「VRChat」上にVR展示会場をオープンしました。
ディレクションは、日産自動車やモスバーガーなど数多くの企業メタバース展示ワールドを手掛ける株式会社往来。今回も、ワールド制作は音楽イベント「OpenMicBarSpotLightTalks」の店長としても知られるAONEKOさんや、なまのなまこさん、パーティクル楽曲制作にSUSABIさんなど、VRChatに親しんでいるユーザーであれば、よく名前を聞くクリエイター陣が制作にかかわってます。
往来によれば、VRChatのBtoB展示活用は、国内においては初とのこと。現実の「JIMTOF2022」に展示されているブースのデジタルツインや、メタバースならではのパーティクル表現、ワールド表現など見どころ満載のワールドをさっそくレポートしていきます!
リアル会場とメタバースがつながる!デジタルツインに再現したブース展示
往来主催のプレス向けフロアツアーに参加してきました。まず、出迎えてくれたのは京セラの制服に身を包んだ京セラ担当者のみなさま。往来プロデュースの企業イベントでは、お馴染みとなってきたNEJIさんによる男性アバター「瀬羽(せば)」くんと、がそさんセットアップのVRoidアバターを使用していました。
展示エリアに進むと、現実のJIMTOF2022にて出展しているブースをほぼそのまま再現したというデジタルツインブースが現れます。京セラといえば、電子部品、ファインセラミック部品などを製造する電子部品・電気機器メーカーです。加工に用いる工業部品が、専門用語の多い説明書きとともに展示されていました。
ちなみに、こうした展示物の多くは、実際に部品製作において使用しているCADによる設計データをもとにVRChat展示へ最適化した3Dモデルとのこと。かなり精工に再現されており、「本物」のデータを使っているからこそのリアリティがありました。
メタバースならではの活用ポイントとしては、スポーツEVのコンセプトカーを展示していたエリア。ここでは、ボタンを押すことで、コンセプトカー内部に使われている京セラの部品製品が拡大され車の前に表示。目の前で分解されて仕組みが解説されるという演出が。こうしたアニメーションを活用した部品の説明は、初心者や業界に詳しくない一般来場者にも分かりやすく、新たな顧客接点が生まれる可能性があるなと感じました。
カーボンニュートラルを表現したパーティクルライブ CSR・広報でのビジネス活用
また、今回の展示ワールド全体のコンセプトは「カーボンニュートラル」です。温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味するカーボンニュートラル。工業加工においては、何をするにも電力や排出を伴うため、業界全体でも特に注意が集まっているとのこと。実際、展示ブースにおいてもおなじ生産量でもCO2を削減できるといったエコな部分がセールスポイントとなっている点が見受けられましたが、今回のメタバース展示によって、業界知識がまったくないエンドユーザーなどもターゲットにした表現ができていました。
まずは、京セラが実現するカーボンニュートラルな未来を表現したパーティクルライブです。SUSABIさんの優しいピアノ楽曲に合わせて、ドーム状のエリアが一気に開けた草原へ。四季を意識した草木や空の表現と、ビルや風車などの都市表現がホログラムで融合し、都市と自然の共生を訴えかけました。
パーティクルライブを視聴した後に、ワールド全体を見渡してみると、ワールド自体もソーラーパネルや風力など再生可能エネルギーを中心とした近未来な空中船であることがうかがえます。人工物である巨大な空中船の上に、緑豊かな草木が生えるハイソな空間となっています。
ここで、ふと気になるポイントが見えてきました。それは、いち展示ワールドにしてはワールドがかなり広く作りこまれているという点です。
展示エリア以外にも、かなり広いプレゼン会場や、ゆったりと落ち着ける椅子やテーブルのある休憩スペース、景色のいいロケーションなど、「滞在」や「汎用性」を意識したつくりになっていることに気づきます。
取材時に、ワールド制作を担当したAONEKOさんに伺ってみると、本ワールドはJIMTOF2022に限らず、今後も他イベントへの転用や、商談での利用なども想定しているとのこと。ワールド自体も、JIMTOF2022会期終了後には、ワールドをパブリック化し誰でも来られるようにするということで、toBから一般来場者までさまざまな利用者を想定していることがうかがえました。
BtoBにおけるビジネス活用で、「VRChat」のユースケースが生まれたことはひとつ特筆すべきポイントです。メタバースの最大の利点は、体験デザインの自由さにあります。パーティクルライブなどの没入型プレゼンテーションは、VRならではの表現ですし、展示スペースに囚われない空間ごとの設計もメタバースならではです。自社のコンセプトを分かりやすく、体験として伝える際にも、メタバースのビジネス活用は有効なのではないでしょうか。今後の事例にも注目していきます。
フロアツアーイベントが毎日20時~、22時~の2回開催!誰でも参加可能
なお、今回のワールド「Kyocera_JIMTOF2022」は、11月13日までのJIMTOF2022会期中限定にて、毎晩20時~、22時~の2回に分けて公認スタッフによるフロアガイドツアーを実施しています。ガイドツアーは、約40分ほどとなっており、展示エリアはもちろん、パーティクルライブや同社のカーボンニュートラルへの取り組みに関するプレゼンテーションなど、ワールドを楽しみながら京セラについて深く知れる内容となっています。
参加希望者は、「kyocera1」にフレンド申請のうえ開始10分前よりPublicにてインスタンスを建てているため、JOINをお願いします。
日中には、「JIMTOF2022」のリアル会場へ来場した参加者に向けて、同じくガイドツアーを実施しているとのことです。もし、現地にも伺う機会がありましたら、体験してみてはいかがでしょうか。
●参考リンク
・JIMTOF2022公式サイト
・京セラ公式サイト
・株式会社往来公式サイト