テレビ収録の裏側ってどうなってるの?金曜日のメタバース密着取材!

みなさんは最近テレビを見てますか?
見ているよ! という方も、最近見れてないよ……という方も、もしかしたらテレビ朝日で放送されている金曜日のメタバースという番組についてX (旧Twitter)や、VRChat上で聞いたことはあるのではないでしょうか。

ご存知ない方のために紹介すると、「金曜日のメタバース」はテレビ朝日で放送されている毎週金曜日の深夜0:45から放送しているメタバースを中心に特集した、メタバースに「沼る」人に注目した番組となっています。 

今回メタカル最前線では、金曜日のメタバースの収録に密着取材! テレビ撮影の裏側についてここでしか見られないような情報をお届けします!

今回の収録の内容は?

今回の収録では、VRChat内でのダンスを広める活動を行っているVRP Dance StudioとVRChat内のグラフィティカルチャーについて注目した収録内容となっています。
ダンスサイファーとは、ダンサーで円を作って音楽に合わせ、ひとりもしくは複数人で順番に円に入り、ダンスを披露するというものです。

グラフィティとは自分のデザインした絵を缶スプレーを使用して壁などに描くもので、カラフルな色彩や、ポップなデザインが特徴のストリートアートです。
また、株式会社LDH JAPAN所属のFantasticsの世界さんとGirls²の山口綺羅さんをゲストに招き、VRChat内のダンスサイファーとグラフィティを紹介するという内容とのこと。

VRChat上のテレビ収録ってどうやるの?

VRChat上のテレビ収録では、通常の収録とは違った撮影方法を行っています。

カメラマンとゲストはVRChat内、スタッフの方々はそれを外から補助するという形をとっているのです。 その他にも、ゲストの感じた事や感想などをそのまま使われている事が多いのがかなり特徴的に感じました。

カメラマンやゲストの方達は、実際にVRChatにログインした上で撮影をされているため、VRChatならではの問題もあるとか……。そんな中で放送の質を保てるように頑張っているそうです。

たとえば、出演者の操作画面を本番中見ることが出来ないため、トラブルが起きた際は操作画面を口頭で説明出来るようにスタッフの方が熟知した上でロケを行っているのだとか。

メタバースに対する「本気度」が伺えるお話ですね。

ついに本番、当日の様子は?

当日は収録開始1時間前に、スタッフやVRPのメンバー、グラフィティライターも集まり、撮影の準備を行います。

良い番組になるように入念な打ち合わせをDiscordを通じて行い、様々な情報を共有している事がかなり感じられました。 VRPのメンバー達も実際にダンスサイファーを先におこなって体を温めている様子。 まだ撮影が開始される前にもかかわらず、強い熱気が伝わってきました。

また、グラフィティを担当するグラフィティライターの4人も、下地を描いて本番に備えていました。果たしてどのようなグラフィティが完成するのでしょうか。

そして、いよいよ撮影が開始。
VRP代表のたみさんがワールドを順に案内していきます。

まずは大きなミラーがあるサブの練習場所から。もうこの時点でダンスを踊っていない私からすれば、驚くような動きをしていました。是非テレビで見て頂ければと思います。

更にワールドの奥へと進み、メインのサイファー会場へ。

なんと実際にライブでDJをされているJentagawaさんのDJプレイに合わせ、様々なダンスが披露されていきます。ワックと呼ばれる手や体をムチのようにしならせるダンスや、激しい動きと静止を特徴とするロックダンス。音楽に合わせてアクロバティックな動きをするブレイキングまで……。
VRChatでどうやってそんな動きをしているのだろうと思ってしまうダンスと、スムーズな繋ぎをみせるレベルの高いDJプレイに、ゲストのおふたりも加わって驚くようなダンスを披露されていました。もしテレビで見たら、自分もやってみたい! と思ってしまうかも?

続いて、完成したグラフィティを見るゲストのおふたり。4人で個別に書かれたグラフィティはこの短い時間でどうやって……? と思ってしまうほどのレベルの高さ。VRChatならではの自由さを感じさせる魅力的なグラフィティを完成されていました。
ここで素敵なグラフィティを紹介したい所ですが、こちらも是非2月2日に放送される金曜日のメタバースで見て頂ければ!

さすがに撮影が終わるとみなさん疲れた様子ではありましたが、楽しそうな歓談が繰り広げられておりました。撮影の緊迫感から急にいつものVRChatに変わるのも、またVR内での撮影の特徴なのかもしれません。

2時間という長い撮影ではあったものの、こちらも熱気に包まれてついつい時間を忘れてしまうほどの楽しい時間でした。

テレビ放送ではどのように編集され、どんな感じで放送されるのか……私もまだ放送を見ていないので、とても楽しみです。

メタカル最前線が登場メンバーや番組にインタビュー!

今回メタカル最前線では、テレビ収録をより深く堀りさげるべく、金曜日のメタバースのスタッフ、VRP Dance Studio、グラフィティライターの方々にメールインタビューを実施。読まれた上で放送を見ていただけると、もっと面白くなるかも……!

テレビ番組をつくる人の思い

-メタバースをテーマにした番組を作ることを決めたきっかけはなんですか?

金曜日の
メタバース
スタッフ

テレビ朝日が開発を進めるオリジナルメタバース空間「メタバース六本木」これまで延べ160万人を超える方にご来場いただいております。テレビ朝日だからこそお届け出来る魅力的なエンタメと最先端メタバースを掛け合わせた、新しいエンタメ開発を目指しています。

-収録しているときに感じたリアルとメタバースの違いはありますか?

金曜日の
メタバース
スタッフ

メタバースの住人は親切な方がとても多い!メタバース空間で取材させていただいた方は、とにかく親切な方ばかりです!

「もっと多くの人にメタバースの魅力を知って欲しい」という強い想いが皆さんにあるので、取材中分からないことがあると、毎回親身になって協力してくれます。多くの方の支えがあって成立している番組だと日々ひしひし感じます。

-VRChat上での収録で工夫していることはありますか?

金曜日の
メタバース
スタッフ

番組出演者のVRChat熟練度が都度違うので、起こりうる様々なパターンを想定しながら毎回収録に臨んでいます。

ヘッドマウントディスプレイをつけている出演者の操作画面を本番中は見ることができないためまずはスタッフ間は操作画面をイメージして説明できるようになるまでリハーサルを行い出演者様の熟練度に応じて、都度対応できるしくみ作りを心掛けています。

スタッフとしては毎回スムーズにロケが進行して 出演者に「メタバースって楽しい!」と言っていただける度、時間をかけてよかったと達成感を感じております。

ーVRChatでの収録で大変だったエピソードをおしえてください

金曜日の
メタバース
スタッフ

VRChatの初期設定のまま迎えた初回ロケのリハーサル時が一番大変でした。ワールド内へ入室するまではよかったのですが…
 ・自分以外のアバターがエラー表示
 ・マイク表示がテレビ画面で放送上で気になる
 ・ワールドの音声バランスがバラバラ
などトラブルが続出しました。
設定を変えようとメニューを開いても基本的には英語表記でアタフタ…専門用語もわからない。次から次に生じる問題に対応するのに非常に苦労しました。
しかし、ロケを終えた後に取材した方から感謝の言葉をいただいた時は大きな嬉しさを感じました。
これからもこの気持ちを忘れず、取材していきたいと思います。

VRでフルトラッキングダンスをする人々

今回、VRP Dance Studio運営チームのみなさんから回答をもらいました。

たみ

VRP dance studio代表。元ダンスインストラクターの知識と経験を生かしてVRダンスの発展を狙って活動するVRダンサー。VRChatでダンスレッスンを開催中。最近はSNSでダンスレクチャー動画の配信も行っている。

Hare

VRP Dance Studio副代表。超入門者向けダンスレッスンを実施。私立VRC学園、clusters学園での開催実績有り。自身も初心者ながら、ダンスを始めやすい環境をつくるために活動中。麺類が大好物。

こげ丸

VRP Dance Studio運営チームスタッフ。元プロのゲームエンジニア&商業ラノベ作家という異色の経歴のVRダンサー。ダンス歴は累計10年ほど。メインジャンルはハウス、サブでカポエイラ。

ー様々なダンスの種類を披露/練習しているVRPメンバーで共通する部分はどんな部分がありますか?

たみ

各々が好きなダンスジャンルを踊っていますが、共通しているものはアバターへの順応を工夫しているという点です。

リアルと同じように踊っても、ほとんどのアバターではイマイチかっこよくなりません。VRで表現できるように緩急を工夫したり、設定を工夫したり、アバター自体を工夫したり、それぞれが自分のダンスジャンルの魅力を最大限に生かす工夫をして踊っています。その工夫の方向性は人それぞれです。

ーダンス初心者さんが来た時にどんな案内や、お話をしたいと思っていますか?

Hare

レッスンやイベントに来る人によって目的とするレベルは大きく異なるため、自分の大事なものをよりよく見せることを1つの共通目標として提示しています。

それはアバターです。VRのアバター文化の延長線上にVRダンスがあります。VRダンスにおいて「こうしなきゃダメ!」といったものはなく、また、レッスンに来たからといって「ダンスを続けなきゃダメ!」というものでもなく、アバターを輝かせる自己表現の1つの手段だということも伝えるようにしています。

私のレッスンの後にはダンスショーも入れるようにしていて、もし、踊るのは楽しいと思えなくても見るのは楽しいと思える人が増えたら良いなと考えています。

ーVRで踊るきっかけは何でしたか?

こげ丸

元々はVRで踊るつもりなんて全くなかったのですが、HaritoraXを購入して検証動画を撮ったのが最初です。

ただ、周りでストリート系のダンスを踊ってる人がいなかったので、暫くは一人でたまに踊ってる動画を撮って公開するだけしかしていませんでした。

そのうちもっと遅延が少なくて綺麗に追従できるVIVEトラッカーが欲しくなって乗り換えたのですが、ちょうどその頃にASAKAさんのダンスストリートでたみさんたちと知り合い、イントラとして誘われたのが本格的にVRでダンスをするきっかけですね。

VRだから描けるグラフィティがある

今回の収録でグラフィティを描いていたうぃすてりあさんKNSTAGさんにもお話を伺いました。

うぃすてりあ

2021年7月からVRCでグラフィティを始め、2022年1月から2022年6月頃までVRC内でグラフィティイベントの主催を務める。2023年末に、今回DJを務めたjentagawa氏主催のイベントで初ライブペイント。

KNSTAG

VRChatでは、グラフィティ以外に雑談やワールド巡りを楽しんでます!お寿司とQvPen、映画と音楽が大好物!グラフィティの依頼や話し相手も募集してます!

ーグラフィティ歴はどれくらいですか?

うぃすてりあ

2021年7月頃、2年半くらいです。街中でやると怒られてしまうのでVRCだけで活動しています。

KNSTAG

リアルでは2~3年、VRchatでは2年です。

ーグラフィティという分野にたどり着いたきっかけを教えて下さい

KNSTAG

高校生の頃、LAのベニスビーチで生まれたアート集団「IGA」が手掛けたブランドの「GML」というアパレルを扱っている服屋で、IGAに属する日本人ライター「cooz」のグラフィティを見て、グラフィティの存在を知ったのがきっかけです。

そこから、授業で配られる用紙やノートに落書きし始め、卒業してから別の服屋で同級生のライターと出会い、実際にグラフィティを始めました。

うぃすてりあ

グラフィティの存在を明確に認知したのはいくつかのゲームですね。ただ、その時点では「いつかやってみたいなぁ」程度の興味でした。

VRCを始めた後に、その頃はフレンドもおらず、暇だなと思った時に「そういえばグラフィティって描けるワールドないかな」と探したのがグラフィティを始めるきっかけになりました。

ー自分がグラフィティをやる際にこだわっていることはなんですか?

うぃすてりあ

できるだけ得るものがあるように、なるべく新しい手法を考えるようにしています。僕はイラストや漫画も描けないし、色彩のセンスもないので、動画を見たり画像検索したりたくさんインプットして色々試します。

KNSTAG

真っ白な状態から自分なりの形を作り、イラスト感ではなく書きなぐった雰囲気のあるボム感のあるグラフィティを楽しみながら作っています。

良くも悪くも、まだ自分なりのスタイルが形成されていないため、制約なく色んな形や表現を追求でき、純粋に書くことを楽しめています。

ただ、VRCでのグラフィティは、ヴァンダリズムという要素が無い以上、ペイントソフトで書くのと大差なく、イラストの領域を出ることがないと思っているので、自分の中では「VRaffiti」という別ジャンルとして区別しています。

放映日は2月2日!

「金曜日のメタバース」の放送日は2月2日深夜0:45~を予定しています!魅力的なサイファーやグラフィティに、ゲストのFantastics世界さんとGirls²山口さんがどんな反応をしたのか、そしてどんなサイファーやグラフィティが繰り広げられるのか。気になる方は、是非テレビ朝日にチャンネルを合わせて見てください!
(TVerでも放送終了後1週間配信されます)