「赤と茶色の区別がつかない?」私の“見え方”と、VRChatで体験できるワールドを紹介

中学校の美術の授業で、赤と茶色の絵の具の区別がつかず、クラスメイトに何度も尋ねたことがあります。また、工業高校では、抵抗器の値を表すカラーコードが読めず、先生に判別してもらって実習を進めた経験もあります。

VRChatの中ではアバターの衣装改変の相談を受けて、Discordにて画面を一緒に観ながら作業をしている際に、エラー表示に使われる色の説明をどうしよう……と悩んでしまっていた時もありました。

「人によって、世界の見え方はこんなにも違うことがある」

実はこの記事を書いている私自身、色覚特性を持っています。そのため、先ほどの話は、私の実体験です。

言葉にすれば当たり前のようなこと。とはいえ、「見え方の違い」について知識としては知っていても、実際にどう見えるのかイメージできない人もいるでしょう。

VRChatには、まさにそうした体験ができるワールドがあります。

今回は、色覚特性だけでなく、近視や老眼、乱視など、さまざまな「見え方の違い」をリアルに体験できるワールド「NearSighted Classroom」をご紹介します。

このワールドでは、主に以下の「見え方の違い」をシミュレーションできます。

  • 色覚特性: 特定の色が見えにくい、区別しにくい見え方
  • 近視: 近くは見えるが遠くが見えにくい
  • 老眼: 加齢により物が見えにくくなる
  • 乱視: 物がぶれて複数に見える

それでは、いつもと「異なる見え方」をするワールドを見に行ってみましょう。

【訪れる前の注意点】

  • このワールドのギミックは全てグローバル(ワールド内の全員に影響がある)仕様です。
  • ギミックを操作すると画面酔いを引き起こす可能性もあるため、フレンドと一緒に訪れる際は、操作する前に声をかけるなど、配慮することをおすすめします。
  • また、この記事を書いている時点(2025年4月)で、ワールドは2021年5月から更新されておらず、一部のギミックが動作しない可能性もあります。ご注意ください。

教室で「色覚特性」を体験してみよう

ワールドに入ると、そこは学校の教室。入ってすぐの黒板に、「色覚特性(Color Vision)」と書かれた操作パネルが見えます。

左側で色覚特性のタイプ(1型:赤、2型:緑、3型:青が見えにくい)を選び、丸いスライダーを右に動かすと、見える世界の色が変化し、程度が重い「2色覚」の状態を体験できます。通常の色覚に戻すには、スライダーを左に動かしてください。

比較しやすいように、スライダーを右端まで動かした状態の「1型2色覚(Protanopia)」「2型2色覚(Deuteranopia)」「3型2色覚(Tritanopia)」のスクリーンショットを用意しました。

まずは、色覚が多数派の人の見え方です。

1型2色覚(Protanopia)

2型2色覚(Deuteranopia)

3型2色覚(Tritanopia)

色が変わった事が分かりましたか?

筆者は3型2色覚(Tritanopia)が古い写真のように変化した以外はまったく違いが分かりませんでした!

黒板側に視線を移動すると、時計の針がお昼時を指しています。給食の時間かもしれません。

黒板の別の場所には、近視(Myopia)、老眼(Presbyopia)、乱視(Astigmatism)を体験する項目もあります。Lvが上がるにつれて視界が悪化していく仕組みです。通常の視界に戻したい場合は「None」を選択してください。

面白いのは、ワールド内に置かれている眼鏡です。この眼鏡は、近視・老眼・乱視のギミックを操作しても影響を受けません。このレンズを通して見ると、通常の見え方に矯正されます。

こちらも比較用のスクリーンショットを用意しました。乱視は3タイプあります。

近視(Myopia) Lv3

老眼(Presbyopia) Lv3

乱視(Astigmatism) TypeA

乱視(Astigmatism) TypeB

乱視(Astigmatism) TypeC

近視は近づくとハッキリ見え、逆に老眼は近づくとボヤけて見えるように作られています。普段眼鏡をかけている人が眼鏡を外した時のような視界を、VRゴーグル越しに体験できるのです。この再現度の高さには、本当に驚かされました!

もし身の回りに「色の見え方」で悩んでいる人がいたら

もし、あなたの周りに色覚特性を持つ同僚や友人がいるなら、何か物を指し示す際に「色」だけでなく「形」や「置いてある場所」で伝えてあげると、お互いのコミュニケーションがよりスムーズになるかもしれません。

例えば箱に入っている物を運んできてほしい時に「○○色の箱を持ってきて!」と伝えるよりも「棚の前に置いてあるプラスチックの少し大きい箱」のように、色に頼らない説明をしてもらえると筆者としては助かります。

この記事が、VRChatの面白いワールドを知るだけでなく、「色の見え方の多様性」や様々な視覚について、あなたが理解を深めるきっかけになれば嬉しいです。

ABOUT US
広小路トトカ
2022年12月からVRChatを開始。物を創ったりSNS上で暴れたり飲酒しながら気が向いたら配信しているだけの一般人です。トトカは呼んだら来ます。