2月4日、VRChatにてリアルテイストな水族館ワールド「Sushi Aquarium」がオープンしました。今回は「Sushi Aquarium」のワールド紹介と制作者であるロングポテトさんとkaiiiiiiiiiさんのインタビューをお届けします。
「Sushi Aquarium」とは
VRChatに公開されている水族館のワールドで、地球上に実在する数多くの水生生物の展示を間近で見ることができます。制作者はロングポテトさんとkaiiiiiiiiiさんのお二人。
「Sushi Aquarium」は、海洋棟と淡水棟の2つのワールドに分かれていて、それぞれの生態を色濃く展示できる構成になっています。水族館としての再現度も非常に高く、生物1種ごとの小さい水槽や、海のような構成になっている大水槽、南米の熱帯をイメージしたエリア、そしてお土産屋が設置されています。
生き物好きクリエイターこだわりの魚たち
ワールドには当然ながらとても多くの水生生物が展示されていますが、特筆すべきはその再現度の高さです。70種類を超える展示は、自身が1匹1匹をモデリングし、その生物にあったアニメーションを用意、そして水槽の内部は、生息環境に沿って作られています。
ひらひらとした耳や足の動きが再現されたコウイカ。
下あごで地面の中の食料を探しているエレファントノーズフィッシュ。
南米に生息するドラド(右)とピラニア・ナッテリー(左)の水槽。時期によって森が水没して水辺に変わる南米の環境が再現されています。
2つの巨大な水槽
海洋棟と淡水棟には、それぞれ目玉となる大きな水槽があります。
海洋棟では、海を再現したフロア2つ分の高さの水槽が目玉として用意。
水槽の中にはジンベイザメやエイといった大型のものから、キンメダイやカツオ、カタクチイワシなどの中、小型のものまで展示。
岩で挟まれた下の層は、深海を表現しており、ミズウオやイヌザメが見られます。また、シーラカンスの展示やクジラの骨の飾りがあるなど、リアルの水族館では展示できないものまであります。
この水槽内には通路が用意されており、海の中を歩いているような感覚を味わえます。ジンベイザメやエイが優雅に泳ぐ姿を真下から鑑賞したり、サンゴ礁の魚たちの生態を観察したりといったことも。
中でも見てもらいたいのが、カタクチイワシの群れで、軽量化重視のUVスクロールでの表現ではなく、3Dモデルにアニメーションで動きを加えて、シェーダーで表現。軽量化を意識しつつもこだわりの展示になっているとのこと。
群れ自体が複雑な動きをしており、イワシの数はなんと約900匹。とてもこだわりが詰まったものになっています。
淡水棟
淡水棟には、通路で分割された大きな水槽があり、大型の淡水魚が展示されています。淡水棟の特徴として、水槽のガラス越し以外に、水面からの視点で魚を観察でき、そのため水槽には桟橋が架けられています。
桟橋には、小さな船が泊まっており、そこから大きなピラルクが通るところを見ることができます。このピラルクは3.5ḿあり、うっかり船から落ちてしまったら食べられてしまいそうな大きさです。このピラルクは、テクスチャをkaiiiiiiiiiさん、3Dモデルとアニメーションをロングポテトさんが制作した合作となっています。
向かいの水槽には、ロイヤルナイフフィッシュが展示されており、腹から尾までのひらひらとした長いひれの動きをアニメーションで忠実に再現されています。ひれの動きは、こだわった部分だそうです。
出口前のお土産コーナー
水族館といえばお土産コーナー。もちろんこのワールドにも設置されています。
ナマズやカンブリア紀の古代生物であるハルキゲニア、車えびなどのぬいぐるみ、ザリガニやウーパールーパーのお菓子のようなものまで置かれて面白い品揃えとなっています。展示物の鑑賞を終えたあとは行ってみてはいかがでしょうか。
制作者インタビュー
ーーこのワールドを作ろうと思ったきっかけは何でしたか?
kaiiiiiiiii フィッシュヘッド集会というイベントで、ロングポテトさんと出会ったことがきっかけでした。初めて魚の3Dモデルを作ったのは集会で使うためでしたが、作っていくうちにこの魚モデルを他のことに使いたいと考えるようになりました。その中で話題の展示系ワールドを見て、自分も魚モデルを使った展示ワールドを作りたいと思いました。そんな時に出会ったのがロングポテトさんでしたね。
ロングポテト 自分は、昔から生き物が好きで、ゲームに登場する生き物にリアリティを持たせることに強く興味を持っていました。リアル志向な生き物を展示するワールドを制作したいと考えていた時に、kaiiiiiiiiiさんも同じように水族館ワールドを作りたいという話をしていたのを聞いて、一緒に制作することを持ちかけた流れです。
ーーそれぞれリアル志向な水族館を作りたいと思っていたんですね。このワールドのこだわりや見てもらいたいポイントを教えてください。
ロングポテト 特にがんばったのは、ワールドの軽量化です。ポリゴン数は、トータルで100万ポリゴンを超えないことを目標にして、直線的なデザインにしました。多くの魚モデルは、1000ポリ以下を目安に制作しています。
あとは、海洋棟の大水槽の構造です。海を岩盤で上下に区切ることを、この企画の初期から考えていました。魚の動きにも水槽内で受ける慣性を意識しているので、よく見ていってほしいです。
kaiiiiiiiii 私は多くの魚モデルを作っていました。カタクチイワシのモデルでは、遠くからだとわかりにくいのですが、しっかりエラを作りこんでいます。
魚の動きを苦心しながら作っていたので、動きが1ループするまで見ていってほしいですね。
ーーそんなに細かいところまで作りこんでいたんですね!クリエイター魂を感じます!最後にこれから来場される方へ一言をお願いします。
kaiiiiiiiii このワールドには、70種類ほどの魚がいて色々な魚を見られますが、リアルの水族館では、小さいところでも200種類ほどの魚がいます。ぜひ、このワールドをきっかけにリアルの水族館にも興味を持ってもらえると嬉しいです。
ロングポテト フィッシュヘッド集会にも来てね!お前もフィッシュヘッドになれ!!
そして、VRChatの皆さんにこの水族館を楽しんでいってもらいたいです!公開後のアップデートも予定していて、海洋棟に生き物を追加したいと考えています。
ーーインタビューは以上になります。ありがとうございました!
(TEXT by きんとと)
●参考リンク
・ロングポテト(Twitter)
・kaiiiiiiiii(Twitter)